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投資対象としても魅力アリ?「平均年収1千万円超」の会社いろいろ=山田健彦

給与の高い会社は業績も良いものですが、ではその株価にはどんな傾向があるでしょうか?今回は平均年収や給与伸び率をヒントに投資先の候補を探してみます。(『資産1億円への道』山田健彦)

継続してウォッチしたい、平均年収&給与伸び率トップ10企業

給与の高い会社は株価も高くなる?

給与の高い会社は、業績が良いというのが通常です。

では、株価はどうなのか。株価は業績の絶対的な水準の高さよりも、その伸び率に反応します。ですので、「業績の良い会社の株価は上昇するのか?」というと、イエスでもあり、ノーでもあります

しかし、社員の給与額をヒントとして投資先の候補を探るのは決して無駄な作業ではないので、今回はそのようなアプローチを取ってみたいと思います。

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平均年収1千万超の企業は47社

検索をかけてみると、社員の平均年収が1千万円を超える上場企業は47社ありました。

平均年収ですので、これより高い社員の人も当然います。また、企業によっては平均年収を公表していないところもありますので、そこは注意する必要があります。

どのような企業が該当すると思いますか?

一般には、高給イメージの高い金融関係放送会社総合商社、最近では人材の奪い合いから高給での引き抜きが続いているIT関連の企業が思い浮かぶかもしれません。

以下、年収順のトップ10の企業です(数字は東証銘柄コード、会社名は一部略称)。

  1. GCA<2174>:2,139万円
  2. M&Aキャピタル<6080>:1,905万円
  3. キーエンス<6861>:1,861万円
  4. TBS<9401>:1,661万円
  5. ストライク<6196>:1,616万円
  6. フジメディア<4676>:1,485万円
  7. 日本テレビ<9404>:1,427万円
  8. 日本M&Aセンター<2127>:1,419万円
  9. ヒューリック<3003>:1,418万円
  10. スクウェアエニックス<9684>:1,365万円

このトップ10企業の中で、製造業はキーエンスのみです。といっても、同社は実際の製品製造は他社に外注しているので、厳密には製造業とはいえないかもしれません。その他は、コンサル放送局不動産管理ゲームの会社です。

ひところ「モノづくり大国 日本」など、まだまだ製造業はイケまっせ、という掛け声があちこちから聞こえていましたが、少なくとも給与水準面からは日本をリードするのは非製造業になってきたようです。

ちなみに日本を代表する自動車メーカーで売上高3位の日産でも、平均年収は816万円です(1位のトヨタ、2位のホンダは年収については非公開)。

この10社の中から、知名度の低いと思われる会社を見ていきます。

トップのGCAはM&A助言会社で、アセットマネジメントも手掛けます。のれん償却控除純利益を配当と自己株買いで利益を株主に100%還元。1株あたりの配当額下限は35円に設定。8/21の終値で算出した配当利回りは3.72%にもなります。

2位のM&Aキャピタルは、事業承継案件が得意で、調剤薬局に強い顧客基盤を持ちます。成長優先で当面配当は出さない予定だそうですが、ROEは今期予想で37.3%にもなる高収益会社です。近年、中小企業の経営者が「息子や娘にはこんな大変な思いをさせたくない」と、跡を継がせたくないという経営者が増えているのだそうです。さりとて、従業員やその家族の生活もかかっているので廃業するわけにもいかず、「できれば会社を従業員ごと引き取ってくれるところはないか」という相談が増えているそうです。M&Aキャピタルはそのような事業承継案件が得意とのことです。

3位のキーエンスですが、FAセンサーなど検出・計測制御機器大手です。「世界初、業界初」などイノベーションを追求する社風に特徴があります。株価は5万円を超え、売買単位は100株ですので、個人投資家にはちょっと手が出ないのが残念です。

5位のストライクですが、こちらもM&A関係です。公認会計士と税理士が経営の中心なので、そちらのルートから案件を獲得しているようです。

8位の日本M&Aセンターも、その名の通りM&A関係ですが、こちらは地銀とのネットワークで案件を発掘しているようです。シンガポールに拠点を開設し、クロスボーダー案件も増えてきています。

9位のヒューリックですが、もともとは旧富士銀行(今のみずほ銀行)の支店の土地、建物の管理会社だった会社です。そのため東京23区の駅近接ビル中心に好物件を多数所有しています。昨今は観光ホテル、商業施設、高齢者住宅、賃貸マンションなど開発・投資物件を多角化しています。

10位のスクウェアエニックスですが、人気作「ドラゴンクエスト」と「ファイナルファンタジー(FF)」を持つゲーム制作会社です。攻略本・雑誌・コミックなどの出版も収益源で、アミューズメント施設運営と業務用ゲーム機のタイトーや英中堅ソフト・アイドスを買収するなどM&Aに積極的です。

このように、「額に汗して働く」というよりは、「頭脳に汗して働く」という企業の方が給与は良いという流れになってきているようです。

Next: 継続的にウォッチしたい、過去5年間で給与が増えた企業トップ10



給与の伸びはどうか?

ところで、日経産業新聞の調べによりますと、過去5年間で給与が増えた企業のトップ10は、次のようになっています(カッコ内は東証銘柄コード、数値は過去5年前の平均給与と直近決算時の平均給与)。

  1. キーエンス<6861> 1,314万 → 1,861万
  2. 福田組<1899> 506万 → 950万
  3. ミスミグループ<9962> 425万 → 696万
  4. トレンドマイクロ<4704> 693万 → 937万
  5. 安藤ハザマ<1719> 625万 → 868万
  6. ファナック<6954> 1,077万 → 1,318万
  7. 日比谷総合設備<1982> 700万 → 916万
  8. ルック<8029> 370万 → 579万
  9. ダイダン<1980> 730万 → 930万
  10. ゴールドウイン<8111> 442万 → 638万

こちらは社員数500名以上の約1,000社を対象に検索した結果になりますので、先程の「平均給与トップ10」とは検索基準が異なります。給与の増えた企業は、全体的に成長市場で稼ぐ力を高めている企業が多いようです。

増加額トップのキーエンスは、17年3月期までに従業員1人当たりの年間の給与が約540万円も増えました。キーエンスの給与は会社の営業利益の増減に連動するので、給与の決め方としてはちょっと特殊かもしれませんが、それにしても高給ですね。背景には同社の業績絶好調があります。

2位の福田組は新潟最大規模のゼネコンで、首都圏にも進出してマンション建設など民間需要の獲得で業績が拡大したそうです。

3位のミスミグループ本社は、自動車や電機業界で広がる自動化の需要を取り込んで、6期連続最高純益予想です。

5位の安藤ハザマは、トンネル工事など大型土木工事に強い建設会社。リニア新幹線など長距離のトンネル掘削工事受注など期待が持たれています。

6位のファナックは作機械用NC(数値制御)装置と多関節ロボットの世界的大手メーカーで、自動化投資の追い風を受けます。ただ、キーエンス同様、売買単位は210万円を超える
ので、残念ながら個人投資家向きの銘柄ではありません。

第7位の日比谷総合設備は、空調主体の設備工事会社。特に情報通信向け床下空調システム等に強みがあります。

8位のルックは、旧レナウンルックで、婦人アパレル中堅。婦人服主力ブランド中心に経営資源集中。新規出店を推進しています。

9位のダイダンは電気、空調、水道衛生工事の大手ですが、再生医療用の低コスト細胞加工施設を開発するなど再生医療分野に本格参入してきています。

10位のゴールドウィンは、スポーツ衣料品で有名ですが、人工合成クモ糸繊維(強度は鉄の4倍、伸縮性はナイロンを上回り、耐熱性は300度超)を使用したムーンパーカーの開発を発表しています(発売時期は未定)。

これらの銘柄の株価チャートなど、継続的にウォッチするのも良いと思われます。

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資産1億円への道』(2017年8月22日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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資産が1億円あるとゆとりある生活が可能と言われていますが、その1億円を目指す方法を株式投資を中心に考えていきます。株式投資以外の不動産投資や発行者が参加したセミナー等で有益な情報と思われるものを随時レポートしていきます。

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