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日経平均、目先の総仕上げ「2営業日で約700円」の急騰劇は起こるか?=伊藤智洋

過去の日経平均終値と25日移動平均線の「かい離線」を見ると、勢いの強い動きとなっている場合、かい離線±1000円または±1500円が相場反転の目安になっていることがわかります。(『少額投資家のための売買戦略』伊藤智洋)

プロフィール:伊藤智洋(いとうとしひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、テクニカル分析の有効性についての記事を執筆。MS-DOS時代からの徹底したデータ分析により、さまざまな投資対象の値動きの本質を暴く。『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『FX・株・先物チャートの新法則[パワートレンド編]』(東洋経済新報社)など著書多数。

※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2016年12月11日号を一部抜粋・再構成したものです。只今、2016年9月までのバックナンバーも無料公開中!ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。

25MAとの「かい離」で考える、日経平均株価とドル/円のシナリオ

極端な動きには「かい離線」が有効

データ分析を20年もやっているので、当然、最初はテクニカル指標の有効性を検証してきました。1998年には、チャートの救急箱という本を書き、チャートの見方や、テクニカル指標の見方について紹介もしています。

振り返れば、当時はまだ甘かったと思います。実体験が乏しいまま、何十年というデータの検証だけで満足していました。その後、検証結果を実現させるための確認作業を経過し、少額の投資家にテクニカル指標など必要ないという結論に至りました。

【関連】今後1年でNYダウ21000ドルも。そのとき日経平均はどこまで上がるか?=伊藤智洋

ただ、唯一、困ったときに見る指標があります。困る場面とは、予測不可能な事態になっているとき、極端な値動きになっているときです。以前にも書きましたが、予想とは、通常を知り、通常ならどう動くかということを当てはめることから始まります。

通常ではない動きであっても、通常ではないときにあらわれるいつもの動きを知っていれば、それを当てはめるだけです。

唯一、その順番で予想しても、予想できないケースがあります。それは、値動きが極端になっている場合です。極端な値動きでも、経験上、過去に似た動きがあるのですが、そうなるという予想を頭が否定してしまいます。

例えば、極端な動きに入り、今週、金が300円上げるという予想が有力だという結論になったとします。結論では、そうなる可能性が70%くらいあると考えていても、頭が否定してしまい、上がらないという恐怖に負けてしまいます。

極端な動きは、はずれた場合、反対方向への極端な動きになることが多いのです。どうしても、その怖さが先にきてしまいます。

そのような場面で、必ず見ておく指標がかい離線です。終値から移動平均線(25日移動平均線を使っています)を引いただけの折れ線グラフなのですが、価格が極端な値動きへ入っているとき、どこまで行くのか、どこまでしか行かないのかを明確に示してくれます

ドル/円の「6円かい離」は珍しい現象

図8 円・ドル相場日足


図9 25日移動平均線とのかい離線

図8と9は、上段が円・ドル相場日足、下段が終値から25日移動平均線を引いたかい離線です。図8を見ると、どんなに価格が勢いの強い動きとなっても、かい離線が±6円を超えることがめったにないのだとわかります。

かい離線は、極端な水準をつける場面で、価格が上昇(下降)して、高値(安値)を切り上げ(切り下げ)てるにもかかわらず、かい離線の反転の下降(上昇)水準を切り下げる(切り上げる)動きになることがあります。

これを逆行現象と呼び、この動きは、戻り高値(押し目底)をつける可能性があることを示唆しています。

図9を見ると、円・ドル相場は、前述した、どんなに勢いづいていても、超えることがめずらしい6円を超えて、逆行現象の動きがあらわれています。円・ドルの上値の限界が120円だとするなら、すでに115円を超える位置まできているので、無視できないサインです。

テクニカル指標の経験値をあてにするなら、円・ドルは、当面、かい離線が6円を超えないような値動きになると考えられます。緩やかな円安を継続するか、調整入りするかのどちらかです。どちらになるかは、14日を経過すればわかります。

Next: 2営業日で700円上昇の可能性も?日経平均の「1500円かい離」に注目



日経平均の「1500円かい離」に注目

図10と11は、上段が日経平均株価日足、下段が終値から25日移動平均線を引いたかい離線です。図10を見ると、勢いの強い動きとなっている場合、かい離線が±1000円、または±1500円が反転の目安になっていることがわかります。

図10 日経平均株価日足


図11 25日移動平均線とのかい離線

図11では、12月9日の終値の時点で、かい離線が1000円前後に位置しています。

1000円前後で上値を抑えられるなら、9日の高値付近が強い抵抗になるはずですが、9日の夜間の先物が上昇している流れや、週明け後、すぐに円高になる動きを期待できないことなどを考慮すれば、今回、かい離線が1500円以上をつけるケースである可能性を考えておけます。

あとはかい離線が1500円以上をつけるのを待ちましょうというのであれば、何の予想にもなりません。次に考えなければいけないのは、かい離線が1500円をつける場合の展開です。

前述した通り、円・ドルは、もうすでに今回の円安の限界にきています。トランプ氏の政策を好感した買いが入っているとはいえ、実際、FRBが利上げを開始すれば、期待値よりも現実が優先して、株式市場全体の上値を抑えられ、NYダウは、調整局面へ入ることになります。

日経平均株価のかい離線が1500円を超えるには、あと数日で500円以上の上げが一気にあらわれる必要があります。3日かけて、500円の上げがあっても、その分、移動平均線も上げるので、かい離線の数値が500円幅の上げになりません。

1営業日で500円以上、2営業日で700円程度(日柄が長くなると上げ幅がさらに大きくなる)の上昇になる必要があります。

どうなるのか楽しみです。

なお、以上の予想は、そうなると言っているわけではありません。極端な値動きの場合の基準になる予想の組み立て方を示しているだけです。基準があれば、基準の通りにならない場合の次のシナリオがあります。基準の通りになるか否かは、結果でしかわかりませんが、利益を得るには、結果が出てからでは間に合いません。どうすればいいのかは、過去のここの記事を読めばわかることがあります。

過去の日経平均株価のシナリオの精度は、以下のアドレス(PDFファイル)で確認できます。
http://www.p-trend.jp/docs/Ito-NKPFM160801.pdf

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※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2016年12月11日号を一部抜粋・再構成したものです。只今、2016年9月までのバックナンバーも無料公開中!ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。

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『少額投資家のための売買戦略』』(2016年12月11日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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