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近づく日経平均2万円台回復。それでもドルを買ってはいけない理由=長谷川雅一

毎年、この時期から年末にかけて株は上昇することが多く、市場関係者は「年末までに、日経平均2万円達成だ」と鼻息が荒いですね。僕は日経平均については「(年内ではなく)来年1月下旬までに2万円達成か」と、もう少しゆるやかな上昇を予想しています。一方で為替(米ドル/円)は、さすがに過熱感が出てきました。(『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』長谷川雅一)

プロフィール:長谷川雅一(はせがわまさかず)
1959年、岐阜県生まれ。株式会社プレコオンライン(金融商品取引業)代表取締役社長。2000年より株式投資の研究を始め、日本で初めて「株の自動売買」という言葉を使った著書を出版。株式投資の世界では、「株の自動売買」ブームの火付け役として知られている。現在は、自動売買ソフトの開発、投資教室、メルマガの執筆など、多忙な日々を送っている。

落ち着きどころは1ドル100円。「いつもの円高」に戻る可能性が高い

足元の市場動向から分かること

先週末のマーケット、終値は、

という、やや軟調な結果となりました。

為替相場では、「中国がアメリカの無人潜水機を奪った」というニュースに反応して、米ドル/円が118.40円付近から1円近く下落する場面がありました。この程度のニュースで、ここまで反応するわけですから、やはり米ドル/円には過熱感が出てきていますね。

日経225については、このところ東京市場では軟調でも海外市場ではむしろ高いことが多かったのですが、週末の海外市場で日経225が弱かったことも少し気になりました。

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今週の注目は「日銀金融政策決定会合」

今週は、20日(火)の昼頃、日銀の金融政策決定会合の結果が明らかになります。この時間に相場が大きく動く可能性がありますので要注意です。

ただ、現在、トランプ氏のおかげで、日本は「円安・株高」の「絶好調」状態ですから、日銀は「何もする必要なし」というところでしょう。おそらく今回の「日銀金融政策決定会合」は、波乱なく通過するものと思われます。

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「日経平均2万円」はいつ?

毎年、この時期から年末にかけて株は上昇することが多く、市場関係者は「年末までに、日経平均2万円達成だ」と鼻息が荒いですね。

僕は日経平均については「(年内ではなく)来年1月下旬までに2万円達成か」と、もう少し「ゆるやか」な上昇を予想しています。日経平均は、異常なまでの勢いで進んでいる円安に追随できていませんから、2万円達成には少し時間がかかるかもしれない、と見ているわけです。

ただ、その分「上値余地もあるのかな」と思いますし、年末のラストスパートで勢いがついて、一気に「2万円」を達成する可能性も残っていると思っています。

Next: いつ反転してもおかしくない、米ドル/円の長期トレンドは「下落(円高)」だ



米ドル/円はまだ上がる?

為替(米ドル/円)については、さすがに過熱感があります。

現在の1ドル=118円が、すでに相当な割高感のある水準であり、本誌でたびたび書いているように、120円付近から上の水準では上値が重くなるでしょう。依然として125円までの上昇がありえる状況ながら、注意深いトレードが必要な局面に来ていると考えます。

米ドル/円の長期的なトレンドは「下落(円高)」

米ドル/円の長期間のチャートを見ると、米ドル/円があきらかな「円高傾向」にあることがわかります。1ドル=360円だった時代から、どんどん円高方向に進んで(下がって)いるのです。その「円高傾向」の中で、ときどき円安が起きるのですが、円安は一時的で、結局は円高方向に戻るのが常です。

また、米ドル/円の上値は、時間の経過とともに切り下がっています。1998年には1ドル=148円がありましたが、2002年の円安局面では、1ドル=135円が上限、2007年以降は1ドル=125円付近が上限と、徐々にピーク値が下降しているのです。

今回の急騰も、125円付近でピークを打ち、そのあとは「いつもの円高」に戻る可能性が高いと見ていますし、長期的なトレンド(円高)から見れば、米ドル/円は、1ドル=118円でも、すでに「行き過ぎ」です。米ドル/円の「落ち着きどころ」は100円付近なのです。

「ドル買い」にはそろそろブレーキが必要

目先の米ドル/円については、まだしばらく「買い優勢」の動きが続くでしょう。しかし、米ドル/円は、この先どこで大きな調整が来るか、わからない水準に来ています。1ドル=120円に接近している現在の水準を考えても、「米ドル/円のここから上を積極的に買うことは難しい」と考えざるを得ません。買うにしてもロット数を減らすべきでしょう。

1ドル=125円到達もある」と予想している僕ですが、だからと言って今の水準から上の米ドル/円を積極的に買おうとは思っていません。そろそろ「ドル買い」にはブレーキが必要だと思っています。

Next: 「決めつけトレード」は危険!トランプ相場の持続性など予測不可能だ



トランプ相場の持続性など「予測不可能」だ

最近よく話題になるのは「トランプ相場の持続性」です。これについては、いろいろな説がありますが、ハッキリしているのは、「トランプ相場の持続性など予測不可能だ」ということです。なぜなら、トランプ氏自身が、なにかと「予測不可能」な人物であり、彼がこれから何を言い、何をやるか、誰にもわからないからです。今、言えるのは、「今後、トランプ政権下のマーケットは、かなりスリリングなものになるだろう」ということぐらいでしょうか。

トランプ相場は、意外と長く続くかもしれません。来年1月の大統領就任式でマーケットがさらに盛り上がり、2月の予算教書をキッカケに、さらにもう一段上昇し、トランプ相場が春まで、いえ、もしかしたら2017年末まで続くかもしれません。

あるいは逆に、トランプ相場は今年(2016年)いっぱいで終わるかもしれません。2017年、年明け早々に大量の売りが出て相場暴落、トランプ相場終了というのもありえない話ではないわけです。「このクリスマス前に大量の売りが出て、トランプ相場は終わる」という予想さえあります。

根拠のない「決めつけ」に基づくトレードは危険

僕は、来年の1月末までは堅調な相場が続くものと予想していますが、それは予想であって確信ではありません。ですから、僕はできるだけトレードのスパンを短くしています。

僕が運用責任者である、弊社の「ロボトレーダーRT10」が持っている買いポジションも、年末までには、いったん手じまい、ノーポジションで2017年を迎える予定です。年が明けると、相場のムードがガラリと変わることがあります。まずは年明けの相場がどうなるか、見極めるべきだと考えるからです。

トランプ相場の持続性を予想して楽しむのはいいのですが、「こうなる」と決めつけてトレードするのは「ギャンブル」ですから、やめた方がいいでしょう。これは、「買い」だけでなく、「売りで大きな損が出ている場合」についても同様です。

つまり、「トランプ相場が続くだろう。買いは強気でホールドだ!」は危険。逆に、「トランプ相場は早々に終わるはず。売りで損が出ているがホールドで大丈夫だろう」というトレードも危険です。

Next: いつまで続くか、いつ終わるか分からない「トランプ相場」の乗り越え方



売りで損が出ているなら損切りすべき

今、「売り」をやっているトレーダーさんは、前述のように、「トランプ相場など、長くもつはずがない。来年には暴落があるに決まっているから、それまでガマンしよう。そのうち下がる。大丈夫」などと考えがちです。

その気持はわかるのですが、もしも「すでに損失が限度額を超えている」のであれば、相場の見通しに関係なく、すぐに(明日にでも)損切りすべきだと思います。

だって、もしもトランプ相場があと1年続いたら? そうなったら「破滅」ではありませんか? 大丈夫ならいいのですが…。

切るときは切る。切ったら振り返らない

損切りについての考え方は、いろいろありますが、「耐えられる限度額を超えたら切るべきだ」というのが、僕の考え方です。

また、損切りすると決めたら「ポジションを解消すること」そのものが重要なわけですから、「少しでも損失額が少なくなるように損切りしたい」といった「未練」は捨てて、さっさと切るべきです。

さらには、「損切りしたら振り返らない」ことも大切です。「今日まで待てば、もう少し損失額が減らせたのに」といった後悔は愚かです。「損切りを断行できた。それでよし。さあ次はどうしようか」という感覚で前に進む。それが正解だと思います。

まとめ

今日の内容をまとめます。

以上、参考にしていただければ幸いです。さあ、今年も残すところあと2週間。緊張感をもってトレードに臨みましょう。

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長谷川雅一のハッピーライフマガジン』2016/12/18号より一部抜粋、再構成
※記事タイトル・太字はMONEY VOICE編集部による

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