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今年の主役はNYダウとビットコイン、そして…?未来予測プログラムが分析=高島康司

今回は、元マイクロソフトの人物が開発した未来予測プログラムの2017年展望を紹介する。従来の的中率は決して高くなかったが、最近複数の予測を的中させ再評価されている。(『未来を見る!ヤスの備忘録連動メルマガ』高島康司)

※本記事は、未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 2017年1月6日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

海外発の「未来予測プログラム」による2017年の経済展望

人々の感情を分析する「ウェブボット(Web Bot)」

すべての主要メディアがクリントンの圧倒的な勝利を予測していたにもかかわらず完全に外したように、「抑圧されたものの噴出」のような怨念の爆発がなにをもたらすのか予想することは、通常の論理的なモデルでは極めて困難だ。

集合的な感情は、方向を絶えず変化させている地下水のような流れなので、どんな方法を使っても表面では捉えることは難しいからだ。今回の米大統領選挙では隠れトランプ支持者が選挙の行く末を決定したといわれている。彼らの動きはどの世論調査でもつかむことができていなかった。

ということでは、ウェブボット(Web Bot)のようなイレギュラーな予測を参照するのも意味がある。

【関連】狂気か?打算か?「トランプ外交」が世界に突きつける2つのシナリオ=高島康司

このメルマガの読者であれば周知だろうが、ウェブボットとはマイクロソフトのコンサルタントだったクリフ・ハイという人物が開発したコンピュータによる未来予測プログラムである。

ウェブボットはSNSやBBS、そしてチャットサイトなど、多くの人が集まるサイトの会話内容を収集し、人々が感情的に反応する言葉と文脈を調べるプログラムだ。それは感情値という数値で現され、グラフ化される。

大きな出来事が将来起こるとき、それに関連したキーワードの感情値は極めて高くなり、人々の集合的な感情は出来事が起こるはるか以前に反応しているという。そうした感情値の高いキーワードを検出し、将来起こる出来事を予想するのがウェブボットだ。

いま否定的な感情の噴出世界の趨勢を決定する主要因となりつつあるが、言葉の感情値の解析から未来を予測するウェブボットこそ、いまの状況に合っている予測の手法なのかもしれない。

なぜ最近になってウェブボットの評価が高まっているのか?

そのようなウェブボットだが、予測の的中率は決して高くはなかった。地震や洪水など自然災害が当たることは比較的に多いものの、社会的な出来事ではアメリカの経済の崩壊を示唆する同じようなシナリオが繰り返し出て来るだけであった。

それが昨年の後半くらいから、著名なYouTubeのチャンネルやネットテレビなどで頻繁に取り上げられるようになった。その理由は、ウェブボットの精度が上がっているようで、毎月配信されるレポートに将来起こる出来事のアウトラインが描写されていることが多くなっているからだという。

例えば11月にインド政府は、1000ルピーと5000ルピーの高額紙幣の流通を停止させて大きな混乱をもたらしたが、これが起こる前にウェブボットのレポートに予測されていた。さらに、いま仮想通貨のビットコインが急騰しているが、これが1000ドルを突破することをかなり以前から予測し、的中させている。

最近そうした事例が相次いだため、ウェブボットに注目が集まっているのだ。

ウェブボット史上もっとも重要なレポート

ちなみにウェブボットがプロジェクトとして始まったのは、20年前の1997年であった。それ以来、ほぼ毎月予測レポートを出してきたが、ウェブボットを紹介している多くのネットテレビやラジオでは、12月に発表された2017年予測が、これまでのレポートのなかでもっとも重要なものではないかと評価されている。

大抵ウェブボットのレポートは25ページから30ページ程度の長さだが、2017年予測は45ページと分量がかなり多くなっている。その内容を詳しく分析すると数回の記事に分けなければならないので、今回は有名な経済系のネットテレビで行われたインタビューの概要を紹介する。

Next: トランプ、NYダウ、米ドルはどう動く?ウェブボットの2017年経済予測



ウェブボットによる2017年経済予測(1)

<トランプの大統領就任に関して>

Q1:
オバマ政権はトランプの就任をブロックしたいようだが、トランプは大統領に就任できるだろうか?

A1:
危機を示すデータがイスラエルに集中している。これは、国連安保理のイスラエル非難決議が可決されたことを示すものだ。2月にはイスラエルでなんらかの争いが起こり、これが混乱を引き起こすかもしれないが、トランプに関する限り、就任前の暗殺を示すデータはいまところ存在していない。だから、予定どおりトランプは大統領に就任するだろう。

<経済の予測>

Q2:
市場は高値をつけ、まだ上昇しつつあるが、2017年の経済はどのような状況になるのか?

A2:
感情値の視点から見ると、政治の領域では多くの人がトランプの勝利を受け入れることができず、悲鳴のような感情の放出が起こっている。これは国民のみならず民主党や共和党の既存の支配層にもいえることだ。彼らは支配エリートの地位を追われつつあり、自分たちの地位が確保できないでいる。

他方市場は、トランプの就任を歓迎し、楽観的な感情の蓄積が行われている。

Q3:
いま米国債の価格は下がり金利は上昇しているが、経済がクラッシュするようなことは起こるのか?

A3:
アメリカの実体経済はすでに相当に悪い状態だ。仕事を見つけられず困窮している膨大な人々がいる。しかし、株価や社債の上昇という経済の金融的な側面に隠され、実体経済の状況はまったく報道されていない。そうした実体経済から見ると、すでに経済の崩壊は起こっていると見ることもできる。

一方ドルだが、ウェブボットのデータでは、2017年の2月から3月初めにドルの価値が大きく下落すると出ている。これは続いていた「トランプ・ユーフォリア」と呼ばれる楽観的な状況が終了し、市場が下落する転換点に入ることを示している。

<ドルの価値の推移とバンク・ホリデー>

Q4:
2017年はドルの価値はどのように推移するのか?

A4:
データでは、今年はドルと不動産の下落が連動しており、後者のほうが深刻な問題となるとある。トランプの就任に伴う楽観的なムードが終わる今年の春以降、金利が急上昇する可能性が示唆されている。下手をすると9%近くまで金利が上昇するとデータにはある。

この背景のひとつとなるのが、地方銀行の収益が悪化し、一斉に貸し渋りと貸し剥がしを行うことだ。銀行は自己資金が枯渇するので現金を必要とする。そのため、現金の流出を防ぐ必要から、貸出し金利を上昇させるとデータにはある。これが9%まで金利が跳ね上がる理由だろう。

この影響をもっとも顕著に受けるのが不動産市場だ。銀行の貸し渋りからローンが供給されないので、住宅がまったく売れず、価格崩壊する。これはアメリカのみならず、ドルを使っているカナダとオーストラリアでも起こる。

Q5:
バンク・ホリデーのような銀行の一時閉鎖が正式に宣言されることはあるのか?

A5:
あるかもしれないが、それは統制のとれたものとはならない。銀行の閉鎖が相次ぐので、さまざまな銀行が資金の流失を防ぐために、一時的に閉めるようなことは多く起こるだろう。

Next: 市場クラッシュは起こるか?ビットコイン、米ドル、金価格について



ウェブボットによる2017年経済予測(2)

<市場のクラッシュとビットコインの急騰>

Q6:
オバマの在任期間中市場のクラッシュは起こるだろうか?

A6:
オバマの在任期間に市場のクラッシュを示すデータは存在している。しかしそれは、だれの目にも分かる大きな市場崩壊ではなく、ドルの価値が一時的に下落する「フラッシュ・クラッシュ」と呼べるようなものだ。これは1月8日から12日に起こるとある。

しかし、この変化は表面的なものだ。金融システムの根本的な変化が水面下で進行している。それは、仮想通貨のビットコインの急激な価格上昇である。この主な原因は中国だ。

中国の国民は人民元の変動を心配し、急速にビットコインへと逃避する。通貨の信頼喪失がビットコイン急騰のひとつの背景だが、これはドルなどの他の通貨でも同じようなことが起こる

ところで、ビットコインの市場は金や通貨のような他の市場のように操作されてはいない。市場の動向を素直に反映している。その意味ではビットコインの上昇は、既存の通貨の危機を現している。

ビットコイン急騰にはさらに別の背景もある。いま中国はAIIB(アジア開発投資銀行)で集めた資金を活用し、「一帯一路」という広大なユーラシア経済圏を形成する構想を進めている。これでこれまで世界経済につながっていなかった何億人もの人々が参加することになる。これらの膨大な数の人々が、ブームにのってビットコインを購入するとデータにはある。

<銀価格の動き>

Q7:
、そしてドルの価値との関係はどのように推移するのか?

A7:
2003年くらいだが、ウェブボットのデータには「ドルの死」というキーワードとともに、ダウが20000ドルに上昇し、銀が600ドルに高騰するとのデータがずっとあった。いまでもこのデータは存在している。いまダウが20000ドルの王台に乗る勢いなので、このデータが実現しつつあることを示している。したがって、これから銀も勢いよく上昇するはずだ。

銀が急騰する理由はいくつかある。ひとつは新興国の人々の所得は低いので、資産を守るためには金ではなく、まだ価格の安い銀を買う傾向が強いことだ。また、インド中国などの国々では、政府による金の没収が実施されるとデータにはある。このため、銀に乗り換える人々が増えるのだ。

この銀の急騰は、1月最初の取引日から始まるとデータにはある。データでは、20000ドルのダウ600ドルの銀、そしてビットコインの急騰という3つの要因が相互にリンクして進むとある。

もちろん「600ドル」というのは、集合的な感情が強く反応する値である。つまり、「高騰」を表現する象徴的な言葉であるということだ。したがって、実際に600ドルまで上昇するかどうかは分からない。しかし、124ドルと345ドルという2つの数字もデータにはあるので、このレベルまで急騰する可能性は否定できない。

<金価格の動き>

Q8:
では、の価値はどうなるのか?

A8:
データでは、金はこれから急騰するとある。金の暴落の予想もあるが、金はこれとは逆の方向に動くことだろう。

Next: 2017年の地政学的リスク~「大きな戦争」が起こる可能性は?



ウェブボットによる2017年経済予測(3)

<大きな戦争の可能性>

Q9:
今年、大きな戦争が起こる可能性はあるのだろうか?

A9:
今回のデータには、「戦争」というキーワードは確かに存在している。しかしこれは、異なった支配勢力の間の抗争のことだ。これは実に激しい戦いとなる。

ロシアが核戦争の引き金を引いたり、アメリカが戦争を仕掛けたりするようなデータは一切存在していない。ウェブボットのデータから見ると、2017年や2018年はアメリカの経済が悪化するため戦争どころではなくなるとある。反対に、海外に展開している米軍基地の閉鎖が相次ぎ、米軍が本国に帰還してくるはずだ。

以上である。

NYダウ、ビットコイン、銀の急騰を予測

これがウェブボットによる2017年の経済予測だ。ここではダウの20000ドルの高騰、ビットコインの1000ドルを越える高騰、そして銀の600ドルを目指す急騰の3つがリンクし、進むと予測している。

これが今回のウェブボットのレポートが注目される理由だ。すでにビットコインは一時1000ドルを越え、ダウは20000ドルを突破しそうな勢いだ。では銀はどうなるだろうか?これから数回に分けて、2017年がどんな年になるのか展望する記事をシリーズで書くことにする。
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※本記事は、未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 2017年1月6日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ(2017年1月6日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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