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バフェット至極の名言に学ぶ!資産を築くお金持ち「4つの秘訣」=東条雅彦

本稿では、バフェットの名言をもとに、資産を築くための「4つの秘訣」をご紹介します。とはいえ、単純に名言をアトランダムに紹介するだけではなかなか頭に入ってこないため、体系的に整理を行いながら解説していきます。(『ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』東条雅彦)

ウォーレン・バフェットと普通の投資家の「大きな違い」とは?

天才の投資原則と自分の投資戦略を比べてみよう

ウォーレン・バフェットは、人々の投資戦略、人生観、思想に大きな影響を与える発言を行っています。本稿ではそのバフェット名言の中から、主に投資戦略に関する発言をピックアップしていきます。

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あなたが投資で成功したいなら、投資で大成功をおさめたバフェットの考え方と自分の考え方を合わせていくことが大切です。私たちは100%脳からの司令を受けて行動しています。身体が勝手に動き出して、行動している人はいないでしょう。

「脳から正しい指令を出す→正しい行動を取る→正しい結果を出す」この3ステップが実現できるように、バフェットの名言から学んでいきましょう。

バフェットの投資原則は、「安全域」「長期投資」「集中投資」「ワイド・モート」という4つの言葉に集約されます。それぞれを文章に落とし込むと、次のようになります。

  1. 「安全域」を確保する
  2. 「長期投資」で複利の力を活用する
  3. 「集中投資」で資産を築く
  4. 「ワイド・モート」を持つ企業に資金を投入する

さらにこの4つを一文にまとめると、次のようになります。

安全域を確保しながら、ワイド・モートをもつ企業に資金を集中投資して、長期投資による複利マジックで資産を大きく育てる

原理原則はとても簡単で単純なのですが、私たちの司令塔である脳はその通りに行動するようにはなっていません。

学校教育では「平均点の高さ」を競っていますし、「難しいことをできる人が偉い」と教えられます。そのため、シンプルなことをやるのが逆に難しくなってしまっているのです。

1.「安全域」を確保する~バフェットの名言に学ぶ投資術

バフェットは、師匠のグレアムから学んだ教えの中で、「安全域」という概念を重要視しています。

ベン(ベンジャミン・グレアム)は、「堅固な投資の極意を3つの単語で言い表すという同様の難題に直面するいま、我々は勇気を奮ってそれを『安全域(MARGIN OF SAFETY)』であると述べよう」と指摘しています。

このシンプルな3つの単語を心に刻まない投資家は、膨大な損失を被ることになるでしょう。

わかりやすくいえば、価値が1億ドルの事業を9900万ドルで買ってはいけないということです。時価に対して大きな安全域を有した価値ある銘柄を探すべく、誰よりも投資先を調べ上げ、慎重にタイミングを図るのです。

バフェットは、師匠にあたるグレアムの「安全域(MARGIN OF SAFETY)」の概念を、具体的な数字を挙げて説明しています。

価値1億ドルの事業を9900万ドルで購入した場合、事業価値が1%下落しただけで、買い値に届いてしまいます。バフェットはたった1%だけでは「安全ではない」と考えています。たった1%価値が毀損するだけで、買い値とイコールになってしまうからです。

反対に、本来の価値よりも大幅に安い値段で仕入れておけば、後から価値の毀損が多少生じたとしても、耐えてくれます。

商品のバイヤーは仕入れ先と交渉して、ギリギリまで価格を下げようとします。安く仕入れられれば利益が大きくなるし、仮に売れ残ってもセールなどで売りさばける余力(安全域)を確保できるからです。

株式投資においても、厳しいバイヤーのような視点で、ギリギリまで価格交渉をする(株価が激安になるのを待つ)べきです。

私の仕事とは、大きな安全域の中で、「企業の内在的な価値」と、市場価格の差を利用して利益を得ること。これに尽きます。

バフェットは財務諸表を読んで、その「企業の内在的な価値」を算出します。その後に株価をチェックして、乖離が大きい場合に買いに走ります。

<バフェットの行動>

・財務諸表を読む。
・企業の内在的な価値を算出する。
・株価をチェックする。
・内在的価値が株価よりも大幅に安い場合、買いに走る。

<他の投資家の行動>

・株価をチェックする。
・株を買う。
・財務諸表を読んで「へぇー、こういう事業をやっている会社なんだ」と後から事業内容を知る。

多くの投資家は、バフェットとは逆の行動を取っています。

金持ちになるためには2つのルールを守りなさい。
【ルール1】絶対にお金を損しないこと。
【ルール2】絶対にルール1を忘れないこと。

これはバフェットの名言の中で、最も有名な言葉です。「さぁ投資でこれからお金を増やしまくるぞ!」と鼻息が荒くなっているところにこんなことを言われたら、拍子抜けするかもしれません。

しかし、これは真実です。何よりも「損しないこと」が大切なのです。

例えばA社に100万円を投資しました。A社の株価が50%下落して、50万円になってしまいました。ここで慌ててA社の株を売って、損切りしたとします。

手元には50万円が残りました。次にB社に50万円を投資しました。

このような場合、B社の株価が何%上昇したら、元の100万円に戻るでしょうか?

<計算式>

100万円÷50万円=2倍

答えは100%です。B社の株価が100%上昇して、2倍にならなければ、元の100万円にはなりません。

一度、損切りして減らしてしまった資金を元の通りにリカバリーするには、以前よりも大きなエネルギーが必要となるのです。

この「損しない」というルールを守るためにも、「安全域」を確保することが大切です。

バイヤーは仕入単価をできるだけ低く抑えようと努力して、損する確率を減らしています。投資家も同じように、損する可能性を減らすために「安全域」を確保していくべきです。

Next: バフェットの名言に学ぶ投資術(2)「長期投資」で複利の力を活用する



2.「長期投資」で複利の力を活用する

バフェット氏のバークシャーは、1965年から2015年の50年間で、資産を毎年約20%(19.2%)ずつ増やしてきました。(『バフェットからの手紙2015年度版』より)

この年率20%という成績は一見、地味に見えるかもしれません。

しかし、毎年のように資産を20%ずつ増やし続けると、次のように資産が変化してきます。

<年率20%ずつ毎年資産を増やし続けた場合>

3年後…1.72倍
5年後…2.48倍
10年後…6.19倍
15年後…15.40倍
20年後…38.33倍
30年後…237.37倍
40年後…1469.77倍
50年後…9100.43倍

計算間違いではないかと疑ってしまうぐらい、大きく資産が増えていきます。バフェットはこの「複利マジック」の威力を十分に生かすために、長期投資できる企業を好みます。

喜んで10年間株を持ち続ける気持ちがないのなら、たった10分間でも株を持とうなどと考えるべきですらない。

バフェットは最低でも10年間、株式を保有するつもりでなければ、そもそも買ってはいけないと説いています。同じような教えを説いている、次の発言も有名です。

たとえ10年間市場が閉鎖されるとしても構わないと思える企業だけを買いなさい。

バフェットは、最低でも10年は保有を継続しなければいけないと考えています。10年未満の投資では複利マジックが十分に機能しないためです。

年率20%のリターンで、3年後1.72倍、5年後2.48倍、10年後6.19倍に増えていくので、保有期間は長いに越したことはありません。

実際には、バフェットは本当に良いと考える企業については、100%買収を実施して、バークシャーの子会社にしています。

GEICO(ガイコ)という保険会社はバフェットの超お気に入りの企業です。バフェットが21歳の時に、尊敬するベンジャミン・グレアムが同社の会長を務めていたことから、同社に興味を持ちました。

当時、GEICO株を手持ち資産の4分の3を投資しました。1996年1月にはついにGEICOの全株式を購入して、バークシャーの傘下に置くことにしたのです。2010年にはなんとバフェット自ら、GEICOのテレビCMにも出演しています。
GEICO Lizard Ballad with Warren Buffett – YouTube
(1:45頃からバフェット本人がロックシンガーに扮して、ガチで歌っています)

バフェットは10年どころか、もっと長い保有期間が理想だと発言しています。次の言葉はバフェットの名言の中でも代表的なものです。

株の理想の保有期間は“永遠”だ。

また、株式投資を結婚に例えて、次のような言葉も残しています。

カトリック教徒の結婚のように投資をしなさい。一生添い遂げるつもりで。

複利マジックで巨大な富を築くバフェットの投資手法に感心したAmazonのジェフ・ベゾスCEOは、バフェットに次のように質問しました。

何でみんなあなたの投資戦略を真似ないんですか?

その時にバフェットが次のように答えました。

ゆっくり金持ちになりたい人なんていないよ。

とても真実を突いた言葉です。

複利マジックで資産を10倍、100倍、1000倍と増やせることを理解していたとしても、多くの人は、そのかかる時間を我慢できません。戦略的な思考ができず、ついつい目先のチャンスに振り回されてしまうのです。

Next: バフェットの名言に学ぶ投資術(3)「集中投資」で資産を築く



3.「集中投資」で資産を築く

世界時価総額ランキングを見ると、現在バフェットの経営するバークシャー・ハサウェイは第4位にランクインしています。

<世界時価総額ランキング(2017年1月1日時点)>

第1位 アップル 5,893億ドル
第2位 アルファベット 5,286億ドル
第3位 マイクロソフト 4,685億ドル
第4位 バークシャー・ハサウェイ 3,889億ドル
第5位 エクソン・モービル 3,620億ドル

現在のバークシャーはあまりにも規模が大きくなりすぎて、投資先を分散せざるを得なくなっています。しかし、昔はもっとシンプルに集中投資を行っていました。

ブラックマンデーが発生した1987年には、次の3銘柄に絞っていました。

<1987年:バークシャーハザウェイのポートフォリオ>

銘柄  株数  時価(千ドル)  投資割合
キャピタルシティーズ・ABC  3,000,000  1,035,000  49%
GEICO  6,850,000  756,925  36%
ワシントンポスト  1,727,765  323,092 15%

バフェットは「分散とは無知に対するリスク回避だ」と述べています。

分散とは無知に対するリスク回避だ。だから勝手知ったる者にとって分散手法はほとんど意味を成さない。広範囲な分散投資が必要となるのは、投資家が投資にうとい場合のみだ。50から75の銘柄管理は私の手に余る。ノアの箱舟の投資をすれば、結局は動物園みたいなありさまになるだけだ。私は数銘柄を大量に持つのが好きだ。

確かに50から75に分散投資をしていたら、管理がとても大変です。もっとシンプルに少数の「自信のある銘柄」で勝負した方が良いでしょう。

あと、バフェットの次の言葉は、インデックス投資家にとっては耳が痛いかもしれません。

ブリッジであれチェスであれ銘柄選別であれ知恵の競争をしている時に、「考えるのは時間の無駄使いだ」と相手が教えられていること程、有利な条件は考えられるだろうか?

インデックス投資については、近々、本メルマガでも詳しく扱うつもりです。本稿では簡潔に「市場平均株価に投資して、市場全体が成長したリターンを得るという投資手法」だと定義します。

市場平均株価に投資するので、銘柄は幅広く分散されています。

<例>

日経平均株価=255社
S&P500=500社

確かに安全性が高く、経済合理的な手法なのですが、インデックス投資の信望者が増えれば増えるほど、バフェットから見ると、「ラッキーな状況」になると言っているのです。

ただし、バフェットは別にこの投資手法(インデックス投資)を完全に否定しているわけではありません。これはまた別の機会にお話しします。

Next: バフェットの名言に学ぶ投資術(4)「ワイド・モート」を持つ企業に資金を投入する



4.「ワイド・モート」を持つ企業に資金を投入する

ワイド・モートとは「大きな堀」という意味です。

城を守るためには、「大きな堀」が必要となります。どんなに高収益の企業でも参入障壁(大きな堀)がなければ、競争相手がどんどん増えてきて、低収益のビジネスに落ちていきます。

バフェットは次のように発言しています。

本当にすばらしいビジネスは不朽の「お堀」が存在し、それによって高い利益が守られている。

また、バフェットはROEという指標を使って、「大きな堀」を持っているかどうかを確認しています。

年間のROEが15%以上ある限り、四半期の業績を見てうろたえる必要はありません。

ROEは「1株あたりの利益(EPS)÷1株あたり株主資本(BSP)」で求められます。

バフェットは、どのぐらいの株主資本を投入して、どれだけ大きな利益を出せるのか?を重視しています(自動車でいう「燃費の良さ」のような指標です)。過去10年ぐらいのROEを確認して、高いROEを維持していれば、「ワイド・モート」があると判断しています。

また、ワイド・モートは長期投資にも関係しています。次の発言です。

信頼できるもの、そして10年、20年、50年経ってもみんなが欲しいと思うものをつくっていく事業なのか。これらが、私が投資判断するうえでの基準であります。それについて、見方はまったく変わっていません。

単純にROEという数字だけを見て、機械的に判断するのではなく、事業そのものを評価して、「ワイド・モート」を持っているかどうかも確認しています。

10年、20年、50年という長い期間にわたり、「みんなが欲しいと思う物やサービスを提供している企業」を選択しています。

長期投資で複利マジックを生かすためにも「ワイド・モート」を持っているかどうかはとても大切なのです。

ワイド・モートは有料ブリッジ型ビジネスとも言われています。「有料ブリッジ」とは、名前の通り、泳がずに川を渡るためには、料金を支払って渡るしかない橋を意味します。

バフェットはワイド・モート(有料ブリッジ)を持つ企業の具体例として、コカ・コーラを挙げています。

コカ・コーラが10年後、どれほどの業績をあげるかは多少の幅で予想がわかれるかもしれません。しかし、長期にわたって投資を続けたときに、世界中の企業をリードできると確信しました。そして所有していなければならないと考えました。コカ・コーラは20年後には経営者が変わっていることでしょう。しかし、それでもコカ・コーラの優位性は揺るぎないと思うから、投資をするのです。

もしあなたが9兆円を私にくれて、コカ・コーラから飲料水のシェアを世界で奪えと頼んだら、私は全額あなたに返し、出来ませんと言うよ。

「ワイド・モート」は必ずしも「数字」だけではなく、「目に見えないもの」も含まれるため、判断するのが難しい面があります。

一つヒントになるのが、バフェットは「コカ・コーラが子どもの時から大好きだった」という事実です。自分の興味・関心のある分野だったら、「ワイド・モート」かそうでないかを的確に判断できます

バフェットはチェリーコークという超甘いコーラが好きで、今でも毎日、飲んでいるそうです。

成功した人に「真似ぶ」ことの重要性

ウォーレン・バフェットの投資原則は次の4つに集約されます。

  1. 「安全域」を確保する
  2. 「長期投資」で複利の力を活用する
  3. 「集中投資」で資産を築く
  4. 「ワイド・モート」を持つ企業に資金を投入する

もし今の自分の投資スタイルと見比べて、合っていない部分があれば、訂正していきましょう。この4つの要素をまとめると、次の一文に集約されます。

安全域を確保しながら、ワイド・モートをもつ企業に資金を集中投資して、長期投資による複利マジックで資産を大きく育てる

私たちは無意識のうちに「自分流」に流れがちですが、成功した人に「真似ぶ」ことこそが最も合理的な成功方法だと、私は信じています。

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ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』(2017年1月15日号)より抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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