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「貧乏な家の子どもほどスマホ・ゲーム保有率が高い」調査結果に想うこと=三宅雪子

最近の調査で、貧しい家庭の子どもほどスマホ・ゲーム機器などの保有率が高いことがわかりました。なぜ困窮する家庭ほど「モノ」が多いのでしょうか?(『三宅雪子の「こわいものしらず」』三宅雪子)

※本記事は有料メルマガ『三宅雪子の「こわいものしらず」』2017年11月10日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:三宅雪子(みやけ ゆきこ)
元衆議院議員。玉川学園女子短大、共立女子大学を卒業。テレビ局勤務を経て、2009年群馬4区で民主党から立候補し、比例復活当選。現在は、執筆やネット配信、福祉や介護のアドバイザーなどをしながら政治活動を行っている。

現代日本の貧しさ。なぜ困窮する家庭ほど「モノ」が多いのか?

スマホは豊かさの象徴ではない

最近の調査で、貧しい家庭の子どもほど、スマホ、ゲーム機器などの保有率が高いことがわかりました。

どういうことかというと、高い家賃は払えないので狭い家に住んでいる、塾に通わせてあげられない、大学や私立高校に行かせることも難しい、海外旅行などもってのほか。「せめて日常品だけでも好きなものを持たせてあげたい」といった、親心なのではないでしょうか。もしくは、本人(子ども)のバイト代などで購入できる範疇のものなのかもしれません。

貧困にも種類がある

全体の中で貧困という「相対的貧困率」と、その日食べるものにも困る「絶対的貧困率」。この2つが日本ではあまり理解されていません。そのため、たびたび誤解が起きることに心を痛めています。

「困窮女子高生」バッシングがそれを如実に表していました。女子高生がCDを買える、映画を観ている、ランチをしている。「困窮していないではないか!」と、大勢の方がよってたかって叩いたのを覚えていますか? 非常に浅い考えです。家を訪ねるとわかります。実は、困窮している家ほど「モノ」が多いんです。それも安価のものばかり。

外食率にもその傾向が見て取れます。自炊はよほど工夫をしなければ、かえって高くつくんですよね。野菜は高いな、といつも思います。健康的な食材ほど高額です。そのせいか、コンビニの弁当、ファーストフード、ファミリーレスランは比較的、困窮層で賑わっています。1人300円ですめば、3人家族であれば外食の方が安上がりだとも言えます。とはいえ、食べ盛りの子どもが母親の手作りの食事ではなく、100円のハンバーガーを食べさせられているのも不憫になります。

「子ども食堂」の取り組み

やや話が逸れますが、「子ども食堂」が全国でできています。保護者の帰りが遅い子どもが家庭的な食事を食べられる民間のこの仕組みはいいことですし、食事のときに1人ではないことがいいなと思います。私のように大勢で食卓を囲んだ世代は、「孤食(1人の食事)」に違和感があります。

生まれる場所は選べません。困窮もそれぞれ。自分の思った困窮ではないと叩くような風潮は、嫌だなと思います。公平に学べて、就職ができる。そんな理想の社会を目指したいですね。

Next: 日本は申請主義、黙っていては福祉サービスを受けられない



社会保障が大きく後退している

1年に1度、住んでいる自治体の福祉窓口で、障害のある弟のために「障害者のための福祉サービス一覧」をもらいます。黙っていたら届くものではありません。窓口の方に「新しいサービスはありますか?」と訊いたら、「最近は減ることはあっても増えないんです」とのこと。

消費税増税の際、条件は「社会保障の維持・充実」でした。私は当時から「維持はともかく充実?」と思っていましたが、まさかここまで社会保障が大きく後退するとは想像だにしませんでした。我が家は福祉サービスを受ける側ですからとくに実感します。

なぜ福祉軽視の自民党が勝つのか?

じゃ、どうしてそれでも自民党が勝つの?と思われるでしょうが、福祉や介護に携わっている方々は忙しくて投票に行くのもままらないし、「自分の1票で変わらないでしょ」という諦めの気持ちがあるようです。

昔から「福祉は票(とお金)にならない」と言われていて、しかるに福祉系議員は選挙に強くないんです。2012年以降、国会の福祉畑の議員がごっそり落選してしまい、団体や組織も「困った!」とはなったらしいのですが、後の祭り。せめて「投票に行こう」の啓蒙だけでも、関係各所にはやって欲しいと願うところです。

今回(2017)の選挙では、福祉畑のエースで京都6区の山井和則さんまで九死に一生でした。当選できたから良かったようなものの、気が気でなかったです。

私はそもそも山井さんの「希望の党」行きに反対だったのですが、政局にあまり関心がない山井さんは代表の「全員で合流」の言葉に組織が決めたことだからと、あまり考えずに同意してしまったのかなと。それが甘いんだと私までお叱りを受けました。「中山成彰さん(差別的発言がよく問題になるので)と山井和則さんが同じ党にいるって、どうなんですか!」主にはこんなご意見ですね。

日本は申請主義

話はそれましたが、医療・福祉は、政策やその変更を知っていると知っていないとでは、大きな差がつきます。新聞もテレビも読まない高齢者の方は、ある日突然、医療負担が2倍となってびっくりということもあるかもしれません。医療機関に張り出してはありますが、ああいったものを見る人がいるのかどうか

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日本は申請主義です。黙っていても、福祉サービスは受けられません。コンビニで売っている「社会保障一覧表」は便利ですよ。あとは口コミですね。

微力な私ですが、せめて発信することで、社会のお役に立てたらと思います。

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三宅雪子の「こわいものしらず」』(2017年11月10日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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3年3ヶ月の与野党国会議員の経験を生かし、三宅雪子独自の語り口で、あたたかみのある中にも、言うことは言う「こわいものしらず」なコラムを展開します。加えて、「教えて!○○さん」「名言・迷言・明言」「永田町コトバ」「ヒトリゴト」「話はそれますが…」など、私的なコンテンツもローテーションでお届けする予定です。

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