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ロシアと中国を接近させる「米ドル支配からの脱却」というパラダイム・チェンジ

米ドル支配の国際的支払いシステムからの離脱に関して、中国とロシアが一致協力するとの報道に注目です。紙幣システムは今、大きな転換期を迎えつつあります。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)

※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2017年11月8日, 16日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

今がマネーの大転換期? 止まらない「脱アメリカドル」の潮流

中国とロシアが「米国の弱体化」で一致協力

米ドル支配の国際的支払いシステムからの離脱を願う、中国とロシアが協力するとの報道に注目です。
※参考:http://www.newsweek.com/russia-and-china-talk-joining-forces-shake-dollars-dominance-698545

報道のポイントを翻訳しながら解説します。

・ロシアのDmitry Medvedev首相が北京で、「中露の支払いシステムを連結させるべく、協議を開始する」と発表

ロシアのItar-Tass通信によると、2017年11月1日、中国人民元の国際化への努力、中国の支払いシステムの統一化成功に関連して、ロシア首相は「ロシアの支払いシステムKarta Mirと中国の支払いシステムとを何らかの方法で連結できないものかと、現在協議中である」と述べた。

ロシアのKarta Mir支払いシステムへの取り組みは、2014年のクリミア統合及びウクライナ内戦に対する米国の対ロシア経済制裁後に始まったものである。

ロシア首相は、中国の李克強国務院総理と並んで、「この支払いシステムの連結で、中露双方でのクレジット・カードの共通使用を可能ならしめ、これにより米国のVisaやMasterCardなどの支払いシステムから派生する諸問題から逃れることが可能となる。世界は、均衡の取れた金融システムを必要としており、異なる取引には、異なる準備通貨を利用すべきであり、単一通貨による支配を受けてはならないのだ」と語った。

少なくとも、米ドル支配体制の打破に関しては、中露は一致協力して動いていくのは間違いありません。

Next: 米国内でも「米連銀による独占的な紙証文システム」に反発の動き



米国アラバマ州の「金貨を正貨に」運動

アラバマ州でも「金貨を正貨に」という動きが出ている。腐食が進むシステムは、徐々に蚕食(さんしょく)されていくのかも知れない。
※参考:http://blog.tenthamendmentcenter.com/2017/10/alabama-bill-would-help-encourage-use-of-gold-and-silver-as-money/

こちらも、報道のポイントを翻訳しながら解説する。

2018年のアラバマ州議会にて、新たに「貴金属の売買には州税を免税にする」法案が上程される予定である。これは、米国連銀の独占的な紙証文紙幣システムに挑戦する、最初の一歩となるかも知れない。

この法案は Ronald Johnson 共和党議員が作成したHB19法案であり、金、銀、プラチナ、パラジウム地金及びそれらの貨幣の売上金には、州販売税の免税を目指しているものだ。

食料品店で5ドル紙幣を小銭に交換してもらう際に、35セント(7%)の州販売税を取られることを想像して見ればすぐにわかることだ。こんな馬鹿げたことが正しいと誰が思うのだろうか?それと同じなのだ。

金貨は、米国憲法上では正貨である。金貨と紙証文紙幣と交換するのに、どうして州販売税が必要なのか? アラバマ州の州税が金貨・金地金に賦課されるのは、まったくおかしいのだ。

貴金属との交換取引に関しては州販売税を免税にすることによって、アラバマ州は、貴金属を商品とみなすのではなく、正貨として取り扱うことになるのだ。連銀による紙幣独占を打ち破り、金貨・銀貨を法定通貨にする目標に向かって小さな一歩になるのだ。

実際的な面で言えば、貴金属地金の取引から州販売税を取り除くと、州民は通常の商売にこの貴金属を通貨として使い始めるだろう。そうなると「通貨の競争」が始まるだろう。

州民は、価値を失っていく連銀の印刷した紙証文紙幣よりも、金貨・銀貨等の貴金属を選択するだろう(注釈:良貨は悪貨を駆逐する。良貨は退蔵され、悪貨が市中を流通する。庶民の眼からすれば、真逆で、悪貨が良貨を駆逐するように見える)。

米国憲法上の法定通貨を専門に研究している William Greene教授は「複数の州で、連銀紙幣の代わりに金貨・銀貨等を使用し始めれば、事実上、連銀は不要となり、連邦政府の紙証文紙幣の独占の終焉となる」と語っている。

この法案が議会委員会の審議にかけられるのは2018年1月9日である。議会での審議を開始する前に、委員会で賛成多数の評決が必要となる。

実際のところ、現在のペーパー・マネーシステムが信用を失っていくのかどうかが試されているのだと思いますが、その行く末は未だまったく見えません。

Next: 金貨と米ドル紙幣、あなたはどちらを選ぶ?



金貨と米ドル紙幣、あなたはどちらを選ぶ?

報道のポイントについて、図入りで補足します。

<(ア)及び(イ):来年から審議が始まるアラバマ州の「金貨を正貨に」法案の1頁目表紙と2頁目>

<(ウ):19世紀後半に流通していた1ドル金貨(上の金貨)と10米ドル紙幣6枚(下の紙幣)>

実際に流通していた貨幣ですから、耐磨耗性向上の為に銅を10%混ぜていますので、純度90%です。金重量としては0.4837オンス、1.504gです。

2017年10月27日時点での1オンス金価格1270ドルから計算すると、61ドルになります。ちなみに、2006年12月末頃の1オンス金価格は635ドルでした。つまり、11年で約2倍の価値となっています。

【関連】紙幣よさらば? 米アリゾナ州はなぜ今になって「金貨」を法定通貨にしたのか

あなたはどちらを選びますか?

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image by:plavevski / Shutterstock.com

※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2017年11月8日, 16日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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・国家方針に従って、進んでいる/追い込まれるシアーズ・グループ(11/17)
・米国の弱体化に関しては中露は一致協力する/第2のゴールド・コネクト(11/16)
・2017年9月 上海黄金交易所/紙証文よりも現物が良いから(11/15)
・米国新車販売 2017年10月(11/14)
・ベネゼエラ中央銀行金準備の行く末(11/13)
・バーレーンからの、救援要請に湾岸産油国は応じられる?(11/12)
・豪州中央銀行2003財政年度年次報告書(11/10)
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いつも感謝している高年の独り言(有料版)』(2017年11月8日, 16日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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