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アルゴリズムをぶっつぶせ! 人を追い込むAIに裁量取引で打ち勝つ方法=今市太郎

AIを使ったアルゴリズム取引が猛威を振い、過去には考えられなかった値動きが随所で見られる今の相場。裁量取引を行う個人投資家はどう対応すべきでしょう?(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2017年11月22日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

将棋と相場は全く違う。人間がAIを出し抜く余地はまだ残されている

存在感を増すアルゴリズム取引

今年はどこのファンドも、AIを実装したアルゴリズム投資がかなり好調な成果を収めるようになっています。今後は人からAIが行う投資へのシフトが進み、AIを活用した投資がますます主流になっていくことがが考えられます。

一方、その合間を縫って個人が行う裁量取引は、さらに難しい時間帯にさしかかっているようです。一体、どのように対応していくのか。これがかなり大きな問題になってきています。

チェス将棋の世界では人に対して完全勝利したと言えるディープラーニングのAIですが、為替の世界ではまだ完全勝利には程遠い状況です。分散投資では人よりも高いパフォーマンスを得られるようにはなってきてはいるものの、常勝という状況には至っていないのが現状です。

しかし現実の相場では、人間が行う裁量取引では過去にお目にかからなかったような猛烈な動きが随所で見られるようになっており、アルゴリズム取引の増加による具体的な影響が既にではじめていると言えます。

こうした相場環境の中で、我々個人投資家の裁量取引はどう対応していったらいいのでしょうか? 今回はそんなポイントについてまとめてみました。

「過去データからの現況分析」で人間に勝ち目はない

今や自宅で利用できるパソコンでも、ちょっとした高機能機のものであれば、20年前のオフコンをはるかに超える高い処理能力を発揮できるようになっています。さらに、米系の大手証券会社がAIを利用したアルゴリズム取引に使っているコンピュータは、そんなものでは太刀打ちできないほどのCPUとメモリを実装しています。それによって、立ちどころに過去のデータから今の相場の動きに近いチャートの形を割り出し、その中から先行きの売買を選択している状況です。これに関しては、とてもではないですが人間は太刀打ちできないのが実情になりつつあります。

直近でも10月末のECB理事会以降、ユーロドルはいわゆる三尊天井のネックラインを下抜けたことから多くの市場参加者がこぞって売りで参入しましたが、結局、売りばかりがたまってしまったところで大きなショートカバーが出て、ユーロドルは1.18超レベルまで戻すという、なんとも不甲斐ない結果を示現しています。

情報未発達の江戸時代の米相場ならば、チャートの形から判断して先行きを占っても十分にワークしたのでしょう。それがいまや、誰しもが同様の情報を瞬時に取得できる時代です。人と同じことを考え、とくにその方向にポジションがたまり過ぎると、AI実装のアルゴのような存在がいきなり反対売買に動いて、一気に相場を踏み上げて利益を手中に収めるというとんでもない動きに出てしまいます。そして、ほとんど同じことだけを考えていた市場参加者の残りは、全滅に至らしめられてしまうのです。

もちろんチャートの形は役に立つ情報ではありますが、この領域にはAIの達人がいて常に目を光らせており、相場の変化によって戦略をコロコロと変えてくるということを、相当意識しておく必要があります。

正直、過去のチャートから現況を判断することにおいて人間はAIには敵いませんから、違うところで差を出さざるを得なくなっていると言えます。

Next: どこまでも追い込んでくるAIアルゴ。人間の勝機はどこに?



どこまでも追い込んでくるAIアルゴ

怖いのは、AIアルゴは週足から始まって日足、さらに短い1時間足、5分足、1分足に至るまでトレンドが出ているかどうかを常にチェックしており、動きが出れば時間足に関係ない、いわば容赦なき順張りの追随をはじめることも判っています。

人間の世界では高値だとさすがに気が引けるような場面でも、AIは臆せず買いを入れてくることになりますから、ストップを入れて一定の覚悟を決めたうえで、我々も動きはじめたらついていくことが求められる状況です。

昨年のトランプラリーが始まった11月相場や今年のNYダウの動き、さらに総選挙が決まってからの日経平均の爆上げ状態では、50日以上の移動平均線の日足のボリンジャーバンドをことごとく相場が上抜けて外側で推移するという、驚くべき状況が続きました。したがって、ボリンジャーバンドを逆張りに使っていた向きは、ほぼ踏み上げられて損切全滅となったことは言うまでもありません。

ただ、こういう高値順張りのAIアルゴも、相場に変化が出るといきなり反転して反対売買に突っ込み、しかも他のアルゴの動きに追随するので、驚くほど相場が下落してしまうケースもあるのです。日経平均の2万3300円超からの反転がAIアルゴに仕業かどうかはわかりませんが、それに近い向きがいきなり売り向かったことだけは間違いないようで、こうした驚くべき相場が示現しやすくなるのです。

また一定のトレンド終了後に相場が異常に上下するような動きも、アルゴの関連性が高く侮れない存在といえます。

人がAIに勝つ要素はどこにあるのか?

ここまでお読みいただくと、人はAIに勝てるのか、絶望的な気分になってしまいます。それでもAIは、現実的には完全に勝利することはできない状態が続いています。つまり、AIでは想定できない事業や要件が相場に入り込んでくると、うまくいかなくなることが予想されるわけです。

たとえば実需の買いや売りなどはそれにあたるでしょうし、オプションが大量に設定されていて相場がスタックしてしまうような状態も、プライスアクションで人が認識できることが、意外にAIには認識できていないこともありそうです。

どうもこのあたりに、人が裁量取引で勝利できそうなエッセンスが隠れているように思えます。

Next: 「AIに負けない投資」を実現する最重要ポイント



「AIに負けない投資」を実現する最重要ポイント

確実に人がAIに勝てる要素は今ひとつよくわかりませんが、ひとつだけ心掛けなくてはならないのは、予断をもった売買をしないということです。

多くの個人投資家が「年末はドル円が上昇するのではないか」とイメージすると、結局それに収斂した取引をしてしまいます。ですがAIは、そういう予断とはお構いなしの売買を仕掛けてきますから、妙な方向感をもって相場に臨むことは負けにつながりやすいことになります。

AIがいくらでも宗旨替えするような取引を行うならば、人間もそれに対応できる相当柔軟な動きをとれるように、常に意識しておく必要があるのではないでしょうか。

メディアに出てくる為替の専門家というのは金融機関に務めているわけですから、いろいろ解説はしますが、結果ありきの説明が多く、予測も自分で取引してみて実感しているわけではないことは、相当割り引いて聞いておく必要があります。

【関連】「相場の名人」も人工知能には勝てないのか?人間を凌駕するアルゴ=高梨彰

彼らはプロであって、本当の取引のプロではないという点は忘れてはなりません。

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今市太郎の戦略的FX投資』(2017年11月22日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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