マネーボイス メニュー

「今年のクリスマスプレゼントは安物にしておこう」米年末商戦に異変アリ

毎年盛り上がりを見せる米国の年末商戦。強気な株式市場と低い失業率のなか、なぜか今年は昨年よりもプレゼントの金額が低くなるという報道がされている。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)

※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2017年12月22日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

クリスマスプレゼントに予算は割けない? 将来を悲観する米国市民

年末商戦は低調か

今年の年末商戦は、昨年よりも悪いかもしれない。米国でそんな報道が流れているので、ポイントを解説します。

米国家庭で繰り広げられているクリスマス準備。今年の話題は、割安なプレゼントと、その支払い方法だ。中には、クリスマスなんてバカバカしい! もうクリスマスなんて無くなればいいのに!と言う声も聞かれる始末である。

CreditCard.comの報告では、米国の成人1100名を対象に調査した結果、50ドル以上のクリスマスプレゼントを買うと答えたのは、たったの53%だけだった。年収8万ドル以上の富裕層の場合でも、その44%は、最も高額のプレゼントでも100ドル以下に抑える計画だと回答している。

CreditCard.comの主席アナリストMatt Schulz氏は、「株式市場は強気。失業率は低い。それなのに、この結果にはとても驚いている。多分、将来を悲観的に見ているからだろう。多くの人々は、将来的に賃上げがないと考えているからだろう。収入が来年は上らないと考えれば、クリスマス消費も落ちるだろう」と語った。

さらに「もう1つ、この超不況は記憶に新しいものだから、ほとんどの米国人は質素な休暇にしようと考えているようだし、そうなると贈り物も携帯電話などではなく、セーターになるのは当然だろう」と述べている。

未来の収入をあてにしての前倒しの消費をするのだから、それに来年1月の支払をどうするのかも心配だろう。調査対象者の54%は、クリスマス休暇の買い物の支払に、何ヶ月も先になる来年の税還付金を充てると回答している。

ダラスのノン・バンク系住宅金融業者のCooper氏は、「調査対象家庭の1155軒のうち3分の1の家庭では、贈り物にお金をかけずに、休暇時期そのものをスキップしたいと考えている」と語った。

米国の消費者の借金は毎年0.5T$づつ増加しているので、新たな借金のプレッシャーは大きくなるだろう。

Nationstar Mortgage Holdings社のトップであるJay Bray氏は、「我々の調査結果は、この家庭の借金が現在進行形の危機として再確認したようなものだ。Home Equity債務も2008年以前よりも高いレベルだ」と語った。

次は、このNY紙報道の元になった調査レポートを紹介します。

Next: 男性は妻・恋人への贈り物に一番お金をかける。ところが女性は…



クリスマスプレゼントについてのリアルな調査

CreditCards.com社の調査では、クリスマスの贈り物に50ドル以上支出するのは53%のみで、35%は50ドル以下、そして残りの12%は何も買わないと回答しています。

調査結果によると、財布に優しい小さな贈り物で、貰い手にとって意義があるものが良いと米国人は考えているようだ。

この調査を率いたウィスコンシン大学の市場調査を専門とするEvan Polman教授は、「これは良い結果だ。普通、贈り物は高ければ高い方が良いと思いがちだが、実際はそうではないからだ」と語った。

調査結果は下記のようなものである。

男性の場合、配偶者をプレゼント・リストのトップに置いている。男性の37%は、最も高いプレゼントを配偶者や恋人に贈ると決めているが、女性の場合はそのように答えたのは26%しか居ない。

女性は子供たちをまず最初に考える。女性の47%は、プレゼントの筆頭に来るのは子供や孫たちへのプレゼントだと回答した。男性の場合は、そう回答したのは24%だけだ。

ネット通販が伸びており、39%が最も高額の贈り物はオンラインで購入し、36%は店頭で買うと答えている。

18歳から26歳の若年世代、及び63歳以上の高年世代は、クリスマスプレゼントを店頭で購入し、それ以外の世代はネット通販を選んでいる。

250ドル以上の贈り物を買うと答えた消費者は、たったの9%のみだった

この調査は2017年10月19日、20日に、1093名を対象に実行されたものだ。

昔は50ドルと言う金額は、高額を意味したものだ。20世紀前半・中頃に若者だった世代にとって、クリスマスの贈り物に50ドルをも支出するなど、ありえない話だった。当時の50ドルは、現在の2倍以上の値打ちがあったものだ。

リーマンショック後は低成長を続けており、消費者は、この後に新たな不況が襲来するのではないかと危惧している。また、最近の株高ですら懸念の材料となっている。確信が持てない時は、人はお金の使い道に保守的な態度を取るものである。

消費者の債務額は、不況期のレベルへと戻っており、クレジットカード債務残高は2017年8月時点で1T$に達している。

消費者がクレジットカード借金をどのようにやり繰りしているのかについての情報はほとんどなく、米国銀行協会によると、カード払いの債務不履行率もここ15年で最低レベルになっている。その理由の1つは、貧困層にカードを渡しても、借金の限度額を低く抑えているので、大金を使うにも使えず、ちょっとした買い物で与信限度額になって使えなくなるからだろう。

与信限度額いっぱいまで借りると、今度は返済に必死となり、もう借金どころではなくなるのだ。思考が浪費から、何が人生にとって本当に重要かを考える転換点になるのだ。

Next: 「貧しさ」を感じるアメリカ家庭が増加中



「貧しさ」を感じるアメリカ家庭が増加中

ウィスコンシン大学のPolman教授は、贈り物の価格が高い場合も安い場合も、受け取った人は同じレベルで贈り主に感謝することがわかっていると説明する。

「高額の電子オモチャ、例えばスマートフォンを貰っても、数年経てばもう旧型になる。つまり、そんな高額なものよりも、相手のことを考えて考えて選んだものや、手作りのようなものの方が喜ばれるものだ。それは思い出となり、何年も経った後でも、その思い出がよみがえって幸せな気持ちに浸ることができるからだ」と語った。

【関連】「好景気なアメリカ」の百均ブームが暗示する米国社会の暗い未来

所得格差の拡大と中間層の消滅で、貧しさを感じる家庭が増えてきているのだ。それは間違いないが、それでも小さなプレゼント、「貧者の一灯」が大事なのだろう。

続きはご購読ください。初月無料です


※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2017年12月22日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

<初月無料購読ですぐ読める! 12月配信済みバックナンバー>

・不安だから、クリスマス・プレゼントも安い物にしよう(12/22)
・北米地域の経済の動脈/世界一の海運会社の国際貿易量 2018年予測(12/21)
・ビットコイン創設者の一人が全部売却したそうな、そしてEUも――(12/20)
・暗号通貨を大量に持っている人達はホンの一握りだけ(12/20)
・イラン原油の対価は中国人民元?それとも金地金?(12/20)
・雇用状況の実態/不況は拡大し、貧富の格差も増える一方(12/19)
・米国のホームレス:7年ぶりに増加/劇症肝炎の蔓延の原因(12/18)
・Sears Canada その後/米国破産申請件数(12/15)
・金貨&銀貨の供給不足/生産販売実績2017年11月(12/14)
・人間と言うものは本質的に馬鹿のところがあってね!/PAC3(12/13)
・ETFは何を目的として産まれたのか?/資金流出(12/12)
・米国新車販売2017年11月:短・中・長期的分析(12/11)
・ビットコインは急上昇で、金価格は下落の舞台裏で(12/10)
・12年後の2030年には、労働者の3分1はもう不要になる(12/8)
・米国に対するロシアの警告(12/7)
・米小売チェーンの店舗閉鎖数、今年は史上最高に/来年はさらに悪化(12/6)
・チリ新産金量(12/5)
・BRICS 対 欧米:金市場の未来(12/4)
・お嬢様御用達の衣料専門小売チェーンJ Crewでも売れなくなってきた(12/1)

<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>

※12月分すべて無料の定期購読手続きを完了後、各月バックナンバーをお求めください。

・BIS vs Reg Howe訴訟(11/30)
・借金漬けで債務不履行世代がやってくる(11/29)
・栄養補助食品も売れなくなってきた/米国、増える焦げ付き(11/28)
・工業分野が悪いから/原油需要が減っているから(11/27)
・投資資金の流入・流出/運用方針の転針か?(11/24)
・欧州中央銀行が変更すれば、全世界横並びになるはず?(11/23)
・中退者の半分は、借りた学生ローンを踏み倒している(11/22)
・新興国中央銀行の買い増し/ロシア極東開発基金:北方四島よりも中国と金探し(11/21)
・悪魔は手を代え、品を変えて、やって来る~モンサント社製除草剤(11/20)
・国家方針に従って、進んでいる/追い込まれるシアーズ・グループ(11/17)
・米国の弱体化に関しては中露は一致協力する/第2のゴールド・コネクト(11/16)
・2017年9月 上海黄金交易所/紙証文よりも現物が良いから(11/15)
・米国新車販売 2017年10月(11/14)
・ベネゼエラ中央銀行金準備の行く末(11/13)
・バーレーンからの、救援要請に湾岸産油国は応じられる?(11/12)
・豪州中央銀行2003財政年度年次報告書(11/10)
・バロン金鉱株価指数(11/9)
・マリワナのドライブ・スルー販売(11/8)
・GSCI商品指数をS&P500で割った比率/これも物価上昇要因(11/7)
・AIが仕事を奪う/株価と税収比較(11/6)
・王立カナダ造幣局製(?)の偽小型地金(11/4)
・ワクチン接種は逆にその後の免疫力を減らす?(11/3)
・米国歴史上最大のバブル/造船業界から見ると(11/2)
・HUIは安いか?高いのか?/GMは矢張り過剰生産?(11/1)

【関連】「子どもを貧乏にしたくない」親が知るべきルール。自己責任論は本当に悪か?=午堂登紀雄

【関連】日本のデフレに「謎」はない。この経済政策の矛盾を自分の頭で考えよう=矢口新

【関連】「株価上昇操作」を目的に生まれたETF(上場投資信託)の知られざる闇

いつも感謝している高年の独り言(有料版)』(2017年12月22日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

いつも感謝している高年の独り言(有料版)

[月額660円(税込) 毎週月・火・水・木・金曜日(祝祭日・年末年始を除く)]新聞等に報道されない海外でのディープな情報をお届けします。出来る限り、時代を先取りした情報やデータをお届けします。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。