昨年末、GACKT(ガクト)さんがICO(Initial Coin Offering=新規仮想通貨公開)事業への参画を発表して話題になりました。今回は本格的なブームとなりつつある仮想通貨を含めた2018年の資産形成について考えます。(『週刊「年金ウォッチ」-自分年金作りのためのメルマガ』持田太市)
プロフィール:持田太市 (もちだたいち)
SBIハイネットワース株式会社 代表取締役。2007年にSBIホールディングス入社。住信SBIネット銀行開業を経験後、ウェブマーケティング部署を経て、海外でのオンライン金融事業の進出プロジェクトに従事。2013年よりロシアのモスクワに駐在し、インターネット銀行サービスを導入。2015年に帰国後、ウェブを活用した国際資産運用の情報プラットフォームプロジェクトを立ち上げ、現在オンライン金融サロン「ヘッジオンライン」を運営中。
2018年は資産が増える年! 仮想通貨も含めた堅実な分散投資とは
GACKTさんがICOに参画
ヤフーニュース等でも知った方はいるかもしれませんが、シンガーソングライターのGACKTさんが、自らがICOに事業として関わっていることを昨年末に公表し、大きく話題になりました。
ご本人のブログでも2度にわたって書かれており、その内容は私見では素晴らしいと思っています。仮想通貨経済圏の拡大と浸透が起きてくると見ている私ですので、応援したいという気持ちもあります。
しかし、年金(老後のための資産形成)という観点ではICOはお勧めできません。GACKTさんのファンであって、彼のプロジェクトを応援したい、という気持ちであることが最重要だと思います。最悪、無くなっても構わないという気持ちで参画すべきですね。
実際に昨年から当メールマガジンで書いてきた内容を素直に実践していたとすれば、確定拠出年金の運用パフォーマンスも、仮想通貨のパフォーマンスも、相当プラスであったことは事実です。こういうかたちで確実に年金を作ることを目的にしていきたいというのがメールマガジンの趣旨です。
今年は堅実に資産を増やせる相場
さて本題に戻りますが、今年の資産形成については、結構ポジティブになっていくのではないかというのが私の見立てです。
というのも、世界的に景気は良い状況が続いていますので、基本的には見通しは明るいからです。リスク要因を要所で抑えながら、しっかりと分散投資をすれば、堅実に資産を増やすことができる相場が待っていると言えましょう。
足元で見えている(今後3ヵ月から半年の)リスク要因は、昨年に引き続き「北朝鮮」という地政学リスクが挙げられます。逆に言えば、それ以外はかなり落ち着いていると言えます。
一触即発ということで、仮に米国が北朝鮮に先制攻撃でも仕掛けようものならば、円高に為替が振れるのは容易に想像がつきますし、それによって日本株や韓国株はネガティブインパクトを一時的には食らってしまうはずです。
とはいえ、これが全世界的に大きく長くマイナスを与え続ける可能性があるかというと、そうは考えにくいというのが正直なところです。
リーマンショックのような金融システムの根幹を揺るがすような「信用」問題ではなく、事件性のある単発的な事象であると考えれば、そこで一旦落ち込んだとしてもそれは長く続かず、逆にリスク(膿)が出し尽くされたということを好感して、いずれ上昇トレンドに戻ることが想像されます。
ということを念頭におくと、これまでのリスク資産はそのままにしておくというのが、現時点から向こう3ヵ月から半年は正しい選択のように思います。
確定拠出年金で保有している、例えば海外株、海外債券、国内株といった値動きがある投資信託はステイで良いという話です。北朝鮮リスクが実現されたとしても、これまでの含み益も出ているでしょうから、それを十分に吸収できるのではないでしょうか。
Next: 今からでも遅くない仮想通貨。具体的な分散投資の方法は?
今からでも遅くない仮想通貨とビットコインの問題点
そして次に仮想通貨です。
大きな変動があるこの市場では、例えば保有資産の1~2割を上限としてやってみることがまず重要だと思います。既に投資をしており、大きな含み益が出ているようでしたら、利益確定する必要はまだありません。ビットコインやイーサリアム、リップルといった大手コインは、さすがに5倍・10倍になることは無いでしょうが、堅調に今後も推移することが想像されます。
これから仮想通貨をやってみる、という方は、投資金額にもよりますが「ビットコイン」ではなく「ビットコインキャッシュ(BCC)」にしてみてはいかがかと思います。つまり、「ビットコインキャッシュ」「イーサリアム」「リップル」の分散投資です。投資金額が少ない方は、このうち2つを選択する、というかたちでも良いでしょう。
ビットコインは先月の12月に大きく上昇しましたが、そこでみえた問題が結構致命的かもしれないと個人的に感じています。それは、端的に言えば仮想通貨としての「送金問題」です。
送金するにも時間とコストがかかりすぎるという、本来の利点(仮想通貨は即送金できて、かつ低コストという触れ込み)が達成されなくなったからです。
値段が上がりすぎると、まず手数料もそれに合わせて高く見えてしまうというのがまず1つ。そして取引量が一気に増えることと値段が上がることが同時に起きてしまい、それによって送金トランザクション処理が遅延します。
これは、先月の高値である1BTC=220万円というラインを上限としてみても差し支えがないだろうなというのがありつつ、仮にそれを超えたとしても、2倍・3倍というところはさすがに期待しづらいというところです。
ビットコイン以外の仮想通貨に注目
逆に、その送金問題を解決できるほど、機能性が優れているのが昨年8月にビットコインから分裂した「ビットコインキャッシュ」ということです。今年のどこかのタイミングで、ビットコイン限界説が常識となった瞬間、ビットコインキャッシュがそれにとって代わるでしょう。つまり値段が、少なくともビットコインに追いつく可能性が期待されます(現在、ビットコインキャッシュは1BCC=30万円ですので、追いつけば5~6倍の値上がりが期待できます)。
加えて、ビットコインへの期待が下がるということは、資金の流れが他の大手コイン(もちろんマイナーコインもあるでしょうが、ここでは触れません)に行くとしたら、イーサリアムやリップルという通貨価値も上昇期待が高まります。このように考えると、仮想通貨市場の選択と集中、淘汰と躍進、そして規制と正常化が一気に出てきそうなのが今年です。
Next: 2018年理想のポートフォリオは「1~2割を仮想通貨に」
2018年の資産形成まとめ
以上をまとめると、今年は、株や債券といった伝統的な資産にて堅調に底上げをしつつ、1~2割の資産を仮想通貨に投じて、それらが2~5倍といった値段に跳ね上がるのを期待しつつ、全体で見れば結構なプラスリターンとなる、というのが理想的な姿となります。
もちろん、3ヵ月や半年といったスパンで様々なリスク要因も抑えながら、危ない時は回避をする行動を取っていきますので、イケイケ・ドンドンだけではない、ということも併せてお伝えいたします。
『週刊「年金ウォッチ」-自分年金作りのためのメルマガ』(2018年1月4日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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これまで年金は国や企業が用意してくれました。しかし昨今の日本経済は、それが困難になっているのも事実です。だとしたら、自分で作っていくしかありません。しかし、自分で作りなさいと言われても、どうしていいかわからないし、むずしいことや面倒なことは、したくありません。それが人として、普通です。このメルマガを読めば、自分の年金作りに対する考え方やアクションが理解でき、新たな一歩が踏み出せる。さらに、他の情報源はいいから、このメルマガだけ読んでいれば年金作りはOK、と言っていただけるようにするつもりです。どうぞよろしくお願い申し上げます。