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女性に多い老後の「おひとり様」。貧困転落を回避するための資産は?=川畑明美

老後を考える際、女性は夫が亡くなった後の「おひとり様」をどう乗り切るのかが重要です。10年間を単身で過ごすと仮定して、不足金額をどう補うかを考えましょう。(『教育貧困にならないために』川畑明美)

プロフィール:川畑明美(かわばた あけみ)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。

不足金額は年間36万円。老後目前でもできることはたくさんある

女性は老後「おひとり様」になる可能性が高い

老後を考える際、女性は夫が亡くなった後の「おひとり様」をどう乗り切るのかが重要です。まずは、もらえる年金額を計算してみましょう。

最初にご自身の年金額を確認してくださいね。次に、夫が亡くなった後の上乗せ部分ですが、妻の働き方によって違います。

扶養控除内でパートをしていた場合の例で考えてみましょう。

その場合、夫が亡くなった後は、妻の老齢基礎年金に、夫の老齢基礎年金の3分の4からご自身の老齢基礎年金額を差し引いた金額が上乗せされます。

これは、個人差があるので現状の平均でザックリと計算してみましょう。現状では、夫が亡くなった後の年金収入は12万円/月程度が多いようです。

また、60歳以上の単身の女性世帯の平均支出額は、15万1,000円/月程度

毎月3万円くらい不足するということです。

10年をひとりで過ごした場合の不足額は…

何年おひとり様で過ごすのかは人それぞれですが、仮に10年だとすると360万円が不足します。

医療費は、それほど多くなく70歳以上の患者負担は1ヶ月1.2万円、入院で4.4万円程度。なので、1.2万円×12ヶ月×10年で144万円と、平均入院日数は31.9日なので余裕をもって2ヶ月分で8.8万円。医療費の合計は、153万円くらい。

介護費用は、程度によりますが800万円ほど準備しておくと安心です。

なので、10年間の不足額の合計は1,300万円ほどになります。割と高額ですね。

60歳を過ぎても「月3万円」は収入を得たい

例えば、「つみたてNISA」を活用すれば、年間40万円×20年でも額面だけでも800万円です。5%で複利運用できれば約1,344万円になりますので、ちょうど足りるイメージです。

つみたてNISAは、若い人だけのものではありません。10年おひとり様になるのかどうかは今から予測できませんが、予定しておいてもいいでしょう。

60歳以降でも、つみたてNISA分の「月3万円」をアルバイトなどで稼ぐくらいはできそうです。

何にお金を使いたいのか、よく考えて運用してくださいね。この部分は、ご自身しか答えを出せません。

Next: 50代からでも確定拠出年金(iDeCo)を活用する



50代からでも確定拠出年金(iDeco)を活用しよう

去年から制度が変わって、公務員でも専業主婦でも誰でも加入できるようになった確定拠出年金。個人向けは、iDeco(イデコ)という愛称も付きました。

私は、50代の方にでも確定拠出年金の利用をおススメしています。

確定拠出年金は、運用益も非課税です。元本保障の定期預金や保険でも、利率が銀行よりも良い0.1~0.2%のものもあります。

月5,000円から加入できますが、できれば限度額の「月2万3,000円」を積み立てたいですね。

なぜなら、戻ってくる税金の金額が多くなるからです。例えば税率20%のサラリーマンが2万3,000円を積み立てた場合、所得税控除で5万5,200円が年末調整で戻ってきます。

50代からのシナリオは?

50代から確定拠出年金を始める場合、60歳で積み立ては終了しますので、期間が10年と短いため運用商品での冒険はせずに、元本保証の金融商品だけでもよいでしょう。税金の還付を考えると、それでも十分にメリットがあります。もちろん、運用した方が増えますよ!

例えば、限度額いっぱいの月2万3,000円を10年間積み立てた場合、1%で運用できれば276万円が約290万円になります。5%で運用できれば、約356万円です。

年末調整で戻ってきた税金も、もちろん運用に回してください。これはリスクをとって、NISA口座で運用するとよいですね。

年利8%で運用できれば、税金の還付金5万5,200円が10年で2倍になります。還付金を使うのであれば、心情的に冒険もできますね。

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教育貧困にならないために』(2018年2月13日, 1月14日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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