マネーボイス メニュー

仮想通貨は死なない。ブロックチェーン技術に注目してわかった次の有望コイン=高島康司

今後、仮想通貨は種類が増え、どんどん拡大することは間違いない。ブロックチェーンのテクノロジーに注目すると、投資対象として理想的なコインが見えてくる。(『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』高島康司)

※本記事は有料メルマガ『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2018年4月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

再生可能エネルギー分野に光明アリ。理想的な投資対象コインとは

このまま仮想通貨は終わるのか?

つい最近までビットコインをはじめとした仮想通通貨の熱狂的な投機が続き、相場が暴騰していた。2016年12月の時点では9万円台だった相場は、2017年12月の前半には230万円台になった。実に25倍の上昇である。これは17世紀の後半にオランダで発生したチューリップバブルの高騰を越え、史上最大の投機として注目を集めた。日本でも比較的にわずかな資金からスタートしながらも、億を越える利益を確保した人々も多数現れ、仮想通貨の熱狂をさらにあおった。

しかし、大手取引所のコインチェックからの580億円相当のネムの盗難、そしてほぼ同時期にはじまったマネーロンダリングや投機の抑制を目指した各国の規制強化などがあいまって、仮想通貨の相場は下落し、その後も大きく上昇する気配はない。

このようななか、なんの根拠もないバーチャルなデータでしかない仮想通貨の存在そのものを危ぶむ否定的な見解も多く見られるようになっている。このまま仮想通貨は終わってしまうのだろうか?

焦点はブロックチェーンのテクノロジー

しかし、重要なことは仮想通貨そのものではない。その基礎になっているブロックチェーンのテクノロジーなのだ。これはブロック化したデータをすべてリンクし、複数ある分散台帳に書き込むテクノロジーだ。

ブロック化したデータにはハッシュ関数の暗号が組み込まれているため、書き込まれるためにはこれを解読する必要がある。マイニングである。ブロックチェーンではこのような暗号化のテクノロジーが基礎になっているため、これまではサーバーの機能に依存していたセキュリティーを確保する必要がない。中央集権のサーバーに依存したシステムと比べ、分散台帳による管理コストは大幅に低減でき、なおかつ厳重なセキュリティー確保の必要もない。

さらに、イーサリアムのようなプログラムの自動実行機能を実装したシステムでは、サーバーの機能のほとんどが自動化される。そのため、コストが安く、セキュリティーの心配がなく、そしてプログラムの自動実行機能を持つシステムになる。

実は仮想通貨というのは、こうしたブロックチェーンテクノロジーの最初の適用事例にすぎない。これからこのテクノロジーは、サーバーによって管理されているあらゆるシステムに適用されるはずだ。それによって、既存のインフラも大きく変容する可能性が高い。

マイニングによる仮想通貨の生成

ブロックチェーンのテクノロジーはこのようなものである限り、マイニングによるコインの生成という過程はかならず伴う。そのため、ブロックチェーンテクノロジーが適用されたあらゆる分野で仮想通貨が生まれることになる。

こうした観点から見ると、仮想通貨は消滅するどころか、種類も増え、どんどん拡大することは間違いない。

ある分野で適用された有力なブロックチェーンとそれが生成するコインは、市場で高値で取引され、投資の有望な対象になる。すると、どのコインの相場がこれから上昇するのかという単純に投機的な見方ではなく、ブロックチェーンのテクノロジーという実質的な側面に注目すると、投資対象として理想的なコインが逆に見えてくるはずだ。

再生可能エネルギーとブロックチェーン

今回取り上げる分野は、再生可能エネルギー(太陽光や風力、地熱といった地球資源の一部など自然界に常に存在するエネルギー)による発電と送電だ。いまテクノロジーの急速な発展に伴い、再生可能エネルギーのコストが非常に安くなっている。

・石油火力発電(日本)   25円/kWh
・天然ガス火力発電(日本) 13.7円/kWh
・原子力発電(日本)    10.1円/kWh
・風力(イギリス、オランダ)7円/kWh
・太陽光(アラブ首長国連邦)3円/kWh

ここまで安くなると、再生可能エネルギーは石炭、石油、そして原子力など既存のエネルギー源と十分に競争できる水準になる。将来は再生可能エネルギーが発電の基本的なインフラになる方向にあることは間違いない。

Next: 投資対象になりうる? 解決すべき再生可能エネルギー特有の問題とは



再生可能エネルギー特有の3つの問題点

しかし、そのような再生可能エネルギーには拡大を阻む深刻な問題があることも事実だ。小規模のコミュニティーベースの発電であればまだよいが、大都市を対象にした巨大な発電と送電のインフラであればあるほど、この問題が拡大のための障害として立ちはだかる。それらは以下の問題である。

  1. 発電量が不安定なので送電網に負荷がかかる
  2. 世帯間の需給にムラがある
  3. 電力の売買に時間がかかる

これら3つが再生可能エネルギーの拡大の障害になっているのが現状だ。

<問題点その1:発電量が不安定なので送電網に負荷がかかる>

まず(1)だが、太陽光にしろ、風力にしろ、発電はそのときの天候に依存する。発電に都合のよい天気であればよいが、かならずしもそうではない。無風の状態では風力発電は機能しないし、雨や嵐、曇天などの状況では太陽光発電に期待することができない。これはこのような問題がなく、一定量の電力をどのような状況でも安定して供給できる既存の発電方法とは大きく異なる点である。

この出力の不安定さが原因となり、送電網には過重な負荷がかかってしまう。これは送電網を不安定にさせる大きな要因となるだけではなく、送電網を維持するための大きなコストとなって跳ね返ってくる。再生可能エネルギーが通常の発電方法として一般化するためには、まずはこの問題が克服されなければならない。

特に風力発電に対応できるような巨大な蓄電が存在していない現状では、発電量が送電網のキャパシティーを越えそうになると、風力発電を一時的に停止する必要が出てくる。特に風力の依存度の高いドイツのような国ではこれが頻繁に起こっている。風力発電の再起動にはコストがかかるので、これが電力会社の負担になっている。

<問題点その2:世帯間の需給にムラがある>

太陽光発電を行っている世帯では、当然ながら世帯間で電力の需給にムラが出てくる。消費量が多い世帯では電力の不足が生じ、消費量の少ない世帯では電力が余剰となる。既存のシステムでは、電力会社が供給を一括して管理しているため、この問題は発生しない。しかし基本的に自家発電である再生可能エネルギーの分野では、需給調整を行ってくれる中央集権的なセンターのようなものは存在しない。需給バランスの維持が課題になる。

<問題点その3:電力の売買に時間がかかる>

自家発電して余った電力を既存の電力会社に売る場合、その現金化には比較的に時間がかかってしまう場合が多い。すぐに現金化できないのだ。

Next: 問題はブロックチェーンで解決可能。具体的に有望なICOは?



問題の解決策は既にある

前述の通り、再生可能エネルギーの普及には大きな壁がある。しかし、プログラムの自動実行機能を持つイーサリアムなどのスマートコントラクトのブロックチェーンを導入すると、再生可能エネルギーに特有なこうした問題が解消される見込みが出てくる。

<問題1「発電量が不安定なので送電網に負荷がかかる」の解決策>

解決には、電力網に負荷がかかり出力が不安定にならないように調整するシステムが必要になる。もしイーサリアムのスマートコントラクトのようなプログラムの自動実行機能を持つブロックチェーンを効果的に導入すると、送電線のキャパシティーを越えて負荷がかからないように、風力や太陽光の発電量を自動的に調整できる。風力であれば、ファンの回転数を自動的にコントロールしてくれるのだ。

<問題2「世帯間の需給にムラがある」の解決策>

需給にムラがある状況で自家発電を行っている世帯を、プログラムの自動実行機能を持つイーサリアムなどのスマートコントラクトのブロックチェーンを導入してネットワークを作ると、余裕のある世帯の電力を足りない世帯に自動的に振り向けることができ、ネットワーク内の世帯にはいつも安定した電力の供給が可能になる。

<問題3「電力の売買に時間がかかる」の解決策>

そしてブロックチェーンでは、ネットワークにつながった世帯の電力の売買には独自な仮想通貨が使われるので、決済に時間がかからない。支払いは瞬時に完了する。これでこの問題も解消する。

投資対象になりうる最先端のプロジェクト

再生可能エネルギーの分野にブロックチェーンを導入するとこのようなメリットが期待できるが、すでにこれは実現しつつある。

それでは、この分野をけん引している先端的なプロジェクトを4つ紹介しよう。それは期待の持てる投資対象でもある。

<テネット(TenneT)>

公式サイト:https://www.tennet.eu/our-key-tasks/innovations/blockchain-technology/

解説ビデオ:https://www.youtube.com/watch?v=pee0kixUN2Q

TenneTトークンのチャート:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/tennet/

まず最初に紹介したいのは、テネット(TenneT)である。これは先の発電量の不安定さによる送電網への負荷という問題をブロックチェーンを導入することで一気に解消を目指すプロジェクトだ。

これはオランダの大手送電事業者であるテネット社(TenneT)がドイツで蓄電池開発などを手がけるゾーネン社(sonnen)と協力して実施するプロジェクトだ。

これはブロックチェーンの技術を活用して、家庭用の蓄電池を制御して再生可能エネルギーの出力変動に対応する。ゾーネン社の技術によって家庭用蓄電池が相互接続され、充電管理ソフトウェアがテネット社の送電網の状態を反映して動作する。これらのネットワークに接続された蓄電池は、必要に応じて余分な電力を数秒で吸収・放出することができ、送電網の負荷を低減する。

ちなみにこのプロジェクトは、すでに2016年から実証実験を繰り返しており、すでに画期的な成果が上がっている。ちなみにこのプロジェクトで使われるブロックチェーンは、IBMが開発した「Hyperledger Fabric」というフレームワークに基づいたものが使われている。

公式サイトも紹介ビデオもすべて英語だが、イメージだけでも理解できると思うので、ぜひアクセスしてみるとよいだろう。

Next: まだある、将来有望なプロジェクトと仮想通貨



<パワーレジャー(Powerledger)>

公式サイト:https://powerledger.io/

紹介ビデオ:https://www.youtube.com/watch?v=qeyyCMnZS4E

POWRト-クンのチャート:https://www.coingecko.com/ja/%E7%9B%B8%E5%A0%B4%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%88/power-ledger/btc

また、太陽光発電を行っている世帯が電力を中間業者なしで効率よく決済するシステムも存在する。パワーレジャーだ。オーストラリアの会社である。世帯間で余剰な電力の売買と決済が自動的に実現されてしまうので、必然的に発生する世帯間の需給の差が解消される。

このシステムに参加するためには、まずPOWRというトークンを買わなければならない。POWRは一種の株券のようなもので、システムの参加には必要となる。参加すると、POWRを使うとSparktzというトークンが生成される。このトークンは電力の決済のために使われるトークンだ。太陽光の発電では、消費電力以上の余剰の電力を発電した世帯と、電力に不足する世帯が出てくる。これは必然だ。Sparktzを使うと、世帯間で電力を売買し、どの世帯のニーズも充足させる安定した供給が中間業者なしで実現できる。

パワーレジャーは、この2つのトークンを使う方式をデュアルトークンと呼び、これによってシステムの安定を確保できるとしている。この会社のICOは昨年終了しているものの、POWRトークンは仮想通貨の取引所で購入することができる

オーストリアのベンチャーが開発:●●●

投資家と投資先を繋ぐ:●●●

1990年代のIT革命と酷似

続きはご購読ください。初月無料です

続きをメルマガで読む

※続きを読むには2018年4月中にご購読いただくか、該当月のバックナンバーをお求めください。

有料メルマガでは、毎回有望なブロックチェーンのテクノロジーに焦点をあて、これから有望な投資対象になりそうな仮想通貨を紹介しています。毎月ひとつの分野に焦点を当て、その分野におけるブロックチェーンの適用状況を深堀して解説。その結果、それぞれの分野にユニークで投資対象になり得るコインが浮かび上がってくるはずです。記事では、そうしたコインの相場やその買い方、そして取引されている市場も紹介していきます。


※本記事は有料メルマガ『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2018年4月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

<初月無料購読ですぐ読める! 4月配信済みバックナンバー>

※2018年4月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。

・ブロックチェーンがもたらす教育分野の革命(1)(4/17)
・ブロックチェーンの適用で変化する再生可能エネルギーのプラットフォーム(2)(4/10)
・ブロックチェーンの適用で変化する再生可能エネルギーのプラットフォーム(1)(4/3)

【関連】シリア毒ガス使用もその報復も「米国の自作自演」。ロシア悪魔化計画の結末は=高島康司

【関連】ビットコインはまだまだ輝く。待望される仮想通貨の「価値基準」=高島康司

【関連】マクドナルドは「日本をデフレ」と認定。日本人はますます貧乏になっていく=児島康孝

ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』(2018年4月3日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン

[月額1,100円(税込) 毎週火曜日]
昨年から今年にかけて仮想通貨の高騰に私たちは熱狂しました。しかしいま、各国の規制の強化が背景となり、仮想通貨の相場は下落しています。仮想通貨の将来性に否定的な意見が多くなっています。しかしいま、ブロックチェーンのテクノロジーを基礎にした第四次産業革命が起こりつつあります。こうした支店から仮想通貨を見ると、これから有望なコインが見えてきます。毎月、ブロックチェーンが適用される分野を毎回紹介します。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。