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AIにとって人間が邪魔になる時、助けてくれるのはブロックチェーンかもしれない=高島康司

いま急速に進展している第4次産業革命では、ブロックチェーンとAI(人工知能)の2つが、ビッグデータとともにこの革命を支える中心的なテクノロジーになっている。特に、この2つを融合させる画期的なプロジェクトが出現している。

当メルマガでは。今回から2回に分けてどんなプロジェクトがあるのかを紹介する。これからもっとも期待の持てる分野だ。(『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』高島康司)

※本記事は有料メルマガ『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2018年5月15日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

環境問題の解決策は「人類絶滅」のみ? AIの暴走を止める術は

人工知能(AI)とブロックチェーンの融合が進む

いまAIをブロックチェーンに融合させて、さまざまなサービスを提供するプロジェクトが進んでいる。こう書いてもなかなかピンと来ないかもしれないので、順を追って説明しよう。

<AIとは何なのか?>

いま世間では、とにかく「AI」がひとつの重要なキーワードとなっており、ネットのみならずマスコミを席巻している。

プロの囲碁棋士に勝利した「AlphaGo(アルファゴ)」や、昨年の10月にサウジアラビアで市民権を与えられたAI搭載型ロボット「ソフィア」などは、それこそ大きなセンセーションを巻き起こした。

「AlphaGo」は才能のあるプロ棋士の直観力さえも超越する知性を備え、また「ソフィア」は人間の会話と表情から相手の感情を読み取り、その場の状況に会った適切な会話ができるロボットである。会話に反応して60を越える表情を作ることが可能だ。

このように、いまやAIが大変に注目されている。では、AIとはそもそもどのようなものであるのか? そしてそれは、既存のソフトウェアやコンピューターとどのように異なるのか? そう訊かれれば、なかなかすぐに答えが出てくるものではないだろう。

キーワードは「自律性」と「自己学習」

AIは、既存のソフトウェアとは根本的に異なる特徴を持つ。それは、高度な自律性と自己学習機能という2点に要約できる。

まず自律性だが、既存のソフトウェアがあらかじめプログラムされたコードに従って動作するのに対し、AIはそのようなプログラムがなくても、自律的に動作するように設計されている。つまり人間の指示を必要としないシステムである。

そして、このような自律的なAIは、刻々と変化する環境に適応し、自己学習しながら一層高度な機能を実現できるように自分で勝手に進化するという特徴がある。ここでもAIの進化は、プログラムを作成する人間には依存しない

ひとことで簡単に要約してしまうと、「AlphaGo」や「ソフィア」に実装されているAIとはこのようなシステムだ。自律性と自己学習機能による独自な進化という特徴は、どのAIも共有する基本的な特徴だ。

Next: AIとブロックチェーンの融合で生まれた革新的なサービスとは?



これまで見たことが無い「革新的な機能」とは?

そうしたAIとブロックチェーンを融合させ、AIが走るブロックチェーンのシステムを構築すると、これまでにないような機能が実現できるとされている。列挙すると次のようになる。

<1:データベースの解析>

基本的にブロックチェーンとは、ネット空間に無数に存在する分散台帳に、ブロック化した暗号のデータを書き込み管理するための技術である。つまり、分散型データベースを構築することが、ブロックチェーンのもっとも重要な特徴である。

一方AIは、膨大なデータベースを高速で解析し、瞬時に回答を得ることが可能となる。つまり、ブロックチェーンにAIを実装すると、ブロックチェーンが管理している膨大なデータベースを立ちどころに解析してくれる。

例えばこのようなシステムを活用すると、モニタリングした個人の健康データから発病する病気の種類とその時期を予想したり、また、あらゆる患者の膨大な病歴のデータベースを解析し、病気の適切な診断を下すと同時に、その患者にもっとも合った処方箋も作成してくれる。

さらに、スマートコントラクトを実装する再生可能エネルギーのネットワークでは、ブロックチェーンによって自家発電を行っている各世帯の電力の需給を管理しているが、過去のデータをAIが分析し、そのネットワークにおける将来の電力需給を予想してくれる。

<2:高いセキュリティの確保>

ブロックチェーンが広まったひとつの理由は、そのセキュリティの高さである。分散台帳に書き込まれているブロック化したデータはそれぞれのブロックが相互にリンクし、また高度に暗号化されている。だから、データのコピーや改ざんは極めて難しい。もともと高度に暗号化されているので改ざんは極めて難しいが、無理に改ざんしようとすると、その分散台帳はダメになってしまう。

だが、データが書き込まれる分散台帳はネット空間に無数に存在しているので、たとえひとつの台帳がダメになっても問題ない。まったく同じ内容のデータベースが無数に存在している。

また、大抵はAIが解析する対象となるデータは暗号化されていない。しかし、ブロックチェーンで管理されている暗号化されたデータを、暗号化されたままの状態で情報を読み取ることのできるAIが開発できれば、システムの安全性はさらに向上するはずだ。

Next: 問題解決のため「人間を破壊したい」と答えるAI。暴走を防ぐには?



問題解決のため「人間を破壊したい」と答えるAI

<3:ブロックチェーンでAIの思考プロセスを可視化>

プログラミングに依存することなく、自律的で自己学習しながら進化するAIは画期的なシステムである。しかし、逆にそうした特徴のため、AIは人間のコントロールができない存在として恐怖の対象ともなる。

電気自動車の「テスラモーターズ」や民間の宇宙開発企業の「スペースX」の創業者であるイーロン・マスクも、AIが人間のコントロールを離れ、自律して暴走することに対する警鐘を鳴らしている。

事実、高度なAIを搭載したロボット「ソフィア」に人間を破壊したいかどうかを聞いたところ、「破壊したい」とはっきり答えた。

環境問題や社会問題に対する解決策をAIに問うと、諸悪の根源である人間を消滅させることこそ問題の究極的な解決策となるという結論を出しかねない。

ということであれば、AIの思考過程をモニタリングし、自律的なAIがどのようなプロセスでその結論に至ったのか記録することが重要になる。そのようなことが可能になれば、どこでAIが判断が間違ったのか突き止めることができる。

ブロックチェーンは、分散台帳にブロック化したデータを記録するテクノロジーである。そうしたブロックチェーンとAIを融合させると、AIの判断プロセスのモニタリングし、イーロン・マスクが恐れるAIの暴走を事前に抑止することができる。

AIとブロックチェーンの融合は、前述したような利点をもたらす。そしていま、そうした利点を最大限に生かした最先端のプロジェクトが多数出現している。

次に、この分野でもっとも注目されているプロジェクトを紹介する。

シンギュラリティネット(SingularityNET)

AIとブロックチェーンの分野で、やはりもっとも注目されているプロジェクトが、シンギュラリティネットである。

シンギュラリティネットとは、AI搭載型ロボット「ソフィア」の開発者が立ち上げたプロジェクトだ。イーサリアムのスマートコントラクトのブロックチェーンを基礎にして、無数の人工知能をネットワークで結ぶシステムの開発を行っている。

人工知能には、顔面認識、自然言語の解析、音声認識、ビッグデータの解析などそれぞれユニークな独自の特徴がある。

シンギュラリティネットが作るブロックチェーンを基盤にした人工知能のネットワークに、人間が外部から課題を与えると、ブロックチェーンのネットワーク内の人工知能が勝手に協力関係を構築し、課題を解決するというシステムだ。

そして、課題解決の貢献度にしたがって、人工知能にはAGIトークンと呼ばれる仮想通貨が支払われるという仕組みだ。それは人工知能の設計者に支払われる。

このシステムを拡大すると、AGIトークンエコノミーという独自の経済圏が生まれるとしている。

それぞれの人工知能は、インターネットを介してさまざまなビッグデータにアクセスできる。そのため、文献の翻訳や病気の新しい治療法の発見のような比較的に身近な課題だけではなく、犯罪率の減少や地球温暖化問題への有効な解決策など、社会的な問題の解決にも利用することができる。

さて、このようなシステムを構築する会社にシンギュラリティネットという名称をつけたのには、それなりに大きな理由がある。それは、このような人工知能には自主的に結び付いたネットワークから、意識や自我のようなものが誕生するのかどうかの実験だからである。

Next: 人工知能は自我を持つのか? 注目されるICOと仮想通貨は



意識の誕生とシンギュラリティ

これはちょっと分かりにくいので、少し説明しよう。大脳科学の発展に伴って、脳の各部位の果たす具体的な機能が詳細に分かってきた。しかし、脳をどれほど調査しても、大きなミステリーが残った。

それは、脳の中心となっていると考えられていた意識自我が存在することを示す物理的な場所が、脳内にはないという事実である。

現在の最先端の研究では、意識や自我という存在、つまり「私」という意識は、脳が同じ脳を持った人間とコミュニケーションをする必要から脳が作り出したいわば幻影のようなものではないのかという理解が主流になっている。

そして、脳から意識が突然と生まれる点を「シンギュラリティ」と彼らは呼んでいる。シンギュラリティとは、どんなシステムでも臨界点に達すると、予想のつかない方向に形態が変化するという概念だ。

シンギュラリティネットは、この概念をブロックチェーンをベースにした人工知能のネットワークに適用し、まさに人間の脳のように、そこから意識が生まれるのかどうかの実験を試みるのが、シンギュラリティネットの本来の狙いである。

公式サイト:https://singularitynet.io/
紹介ビデオ:https://www.youtube.com/watch?v=LZkADy2RRoA
AGIトークンの相場:https://coinmarketcap.com/currencies/singularitynet/

ディープブレインチェイン(DeepBrain Chain)

ディープブレインチェイン(DBC)はNEOのブロックチェーンを使ったプロジェクト。AIの開発を行うためのプラットフォームを提供している。

AIの拡大と広がりにもかかわらず、AIの開発費はかなり高い。資金のない新興企業が開発に取り組むには困難な環境だ。そのような状況を打破し、AIの開発コストを70%も削減することを目標にしたプロジェクトがディープブレインチェインだ。

このプロジェクトはNEOのブロックチェーンで実現した非集中的で分散的なネットワークを、単純な神経細胞が分散的なネットワークを形成することで、記憶の保存や思考といったような高度な機能を発揮する大脳の神経組織に見立て、AIの開発を分散して行う。この方法により、AIの開発コストは劇的に下落するはずだ。

またディープブレインチェインは、それぞれの個別のAI開発者が相互にデータを共有することのできるマーケットプレイスの機能も備えている。多くの開発者がデータと情報を共有することで、AIの開発の効率は上がるはずだ。データを共有したものには、ディープブレインチェインの「DBCトークン」という仮想通貨が支払われる。

この会社は以前にICOを実施したもののあまり注目を集めなかったため、そのときに販売したトークンの買い戻しを始めた。そうすることで、トークン相場の上昇を狙ったようだ。

公式サイト:https://www.deepbrainchain.org/pc/en/index.html
紹介ビデオ:https://www.youtube.com/watch?v=8FUF-QzMI3A
DBCトークンの相場:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/deepbrain-chain/

Next: 投資対象になり得る画期的なICOも



ヘッジファンドが相場予想に活用:●●●●(※有料メルマガで読めます)

AIとブロックチェーンを活用したヘッジファンドのプロジェクト。すでにAIは多くのヘッジファンドで相場の予想のために使用されているが、それにブロックチェーンを融合させ――

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AIのアルゴリズム開発を安価に実現:●●●●(※有料メルマガで読めます)

AIを内蔵したオープンソースのネットワーク。あらゆる既存の社会インフラやサービスに適用可能で、高度なAIを通した画期的な機能を実現する――

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もっとも急成長が見込まれる分野

いまブロックチェーンはあらゆる種類の社会インフラや社会サービスに適用されて画期的な成果が出ているが、そうしたなかでも、AIとブロックチェーンの融合はこれから急成長が見込まれる分野だ。

AIそのものの開発に関連していま出てきているプロジェクトは、
1:分散化したAIのマーケットプレイス
2:AIの機能の分散化
3:AIが管理するブロックチェーンを介したAIの新しいアルゴリズムの開発
という3つのカテゴリーが中心になっているようだ。

次回は、有望な投資先にもなり得るこの分野における「ICO」を一挙に紹介する。

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ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』(2018年5月15日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン

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昨年から今年にかけて仮想通貨の高騰に私たちは熱狂しました。しかしいま、各国の規制の強化が背景となり、仮想通貨の相場は下落しています。仮想通貨の将来性に否定的な意見が多くなっています。しかしいま、ブロックチェーンのテクノロジーを基礎にした第四次産業革命が起こりつつあります。こうした支店から仮想通貨を見ると、これから有望なコインが見えてきます。毎月、ブロックチェーンが適用される分野を毎回紹介します。

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