強いドルが引き起こす新興国の通貨危機。今回はトルコが象徴的です。そして以前も紹介した「あの現象」が起きています。外国人客によるブランド品の爆買いです。(『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』児島康孝)
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アジア通貨危機の再来か…。トルコリラ安で外国人客が爆買いへ
トルコの高級ブランド店に外国人客が殺到
強いドルが引き起こす新興国の通貨危機。ついに、通貨危機の際の「ある現象」がトルコで起きました…。
ロイター通信は8月13日、「トルコリラ安で外国客が爆買い、大統領はおもてなし呼びかけ」という記事を公開し、高級ブランド店に外国人の買い物客が殺到している様子を報じています。
このメカニズムは、以前にも当メルマガでご紹介した通りです(下記記事を参照)。
これは、アジア通貨危機と同じ現象ですね。
通貨危機で、通貨が暴落し、バッグやアクセサリーなどのブランド品が相対的に大幅安になるのです。
セリング・クライマックス付近か
そして、こうしたニュースが出るタイミングは、通貨危機の「セリング・クライマックス」付近で、あることが多いです。
つまり、トルコリラには依然としてリスクはあるものの、ここから全力でトルコリラを売ると、急速に反転して、損失を被る可能性もかなり出てくるというタイミングです。
ヨーロッパやアジアでは、買い物に「国境感覚」は薄く、買い物をするにもお得な国に出かけて行きます。
日本で例えるなら、北海道や九州が安いのでちょっと飛行機に乗って買いに出かける、ぐらいの感覚ですね。
ヨーロッパの人たちは、毎週のように「外国旅行」しています。シンガポールの人たちも、かんたんにマレーシア側に買い物に出かけます。
こうした中で、通貨安で「大バーゲン」状態の高級ブランド品が、爆売れするわけです。
Next: これはアジア通貨危機の再来なのか? よく見ると様子が違う…
「歴史は繰り返す」が、全く同じではない
さて、こうしたドル高に伴う現象は既に今年の前半から予想されたものですが、それぞれの「エネルギー噴出」の仕方は毎回異なります。
「同じようなこと」は起きるが、全く同じではないということです。
これは火山の噴火に例えますと、山頂から噴火したり、山腹から噴火したり、また規模や期間も、全く同じにはなりません。
経済の現象や景気サイクルにしても、似たようなことは起きるのですが、具体的にどう見えるか、市場のエネルギーの出方はどうなのか、このような点では微妙に異なるのです。
ですから、身構えていると、違うように見える形で起きることもあるのです。
日本経済の衰退と回復も、見た目ではわかりづらい
日本のステルス大恐慌も、戦前・戦後と同じ時期にあたりますが、見え方は異なります。
物価が上がらないということが、国民生活の歴史的な苦境や日本経済の衰退を反映しているわけですが、今回は日銀が「大本営」の役割ですね。
この先は「終戦」に匹敵する何か大きな出来事があり、デフレ型の金融政策が転換されて、日本の経済成長とインフレ率の回復が起きるわけです。
それが戦争なのか、大災害なのか、マイルドに通過するのかは、「同じようなこと」が起きるものの、見え方は異なるのでしょうね。
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『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2018年8月15日号)より抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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