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安い米国産農作物は大歓迎? 無難に終えた「日米貿易協議」次なる課題とは=児島康孝

日米貿易協議で最も避けるべきは中国のような報復合戦です。その意味で、今回の自動車への高額関税回避、農産物の対米開放というのは「無難な成果」と言えます。(『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』児島康孝)

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トランプの主張「公平な貿易」こそ正論?真の摩擦解消は先送りに

関税の報復合戦は回避

日米貿易協議で最も避けなければいけないのは、中国のような報復合戦です。

その意味で、今回の自動車への高額関税回避農産物で対米開放という内容は「無難な成果」と言えます。

はたして誰がセットしたのか、安倍首相は2016年の大統領選挙前にヒラリー・クリントン氏と会談してしまい、その後、トランプ大統領(就任前)をNYのトランプタワーを訪ねて会談。就任前のトランプ大統領を訪問した安倍首相の行動に「軽々しい」との批判も出ましたが、このときの行動力がその後の日米関係に大きな効果をもたらしています。

世界ではアメリカが最も巨大で強いいわば「アメリカ帝国」ですから、安倍首相がこのときNYを訪問したのは評価できます。このメルマガでもその当時、様々な雑音がある中、安倍首相のNY訪問を評価しました。

このたびの貿易協議で、安倍首相や茂木大臣の成果について、いろいろ意見はあるかと思いますが、今回の貿易協議はベストな着地点であったと思われます。

Next: 日本の食料品は高すぎる? 安価な外国産が入ってくるとどうなるのか



日本の食料品は高すぎる

海外から日本に食料品が入ってきて、外国産の食品を買えるようになることは、必ずしも悪いことではありません。というのは、インフレ率の上昇の話とはまた別の問題で、日本の食料品はもともと異常に高いのです。

海外に旅行して1~2週間ぐらい滞在すれば実感できますが、スーパーで買い物をすると、だいたいどの国も食料品に関しては日本より安いです。フィンランドのような北欧の先進国でも日本よりはるかに安く、パン、ヨーグルト、果物などが日本の半値ぐらいの感じです。

さすがにニューヨークのスーパーは日本と同じぐらいかなという感じですが、日本の田舎でもニューヨークと同じぐらいの食料品価格ということです。

つまり、レストランなどで食事をした場合、日本よりかなり高いのですが、自分でスーパーで買ってきて食べていればかなり安いということです。

これは、低所得者でも自分で買って食べれば低コストで生活できる、最低限は食べることができるということです。

「外国産の安い食料品=悪」とは限らない

デフレ脱却で価格が上昇するのは、時間差をおいて自分の給料の上昇につながりますから良いことですが、日本の食料品価格はもともと低所得の場合はきつい状態であるのです。

ですから、食料品の価格に限っては、外国産の安い食品の選択肢があるというのも良いわけで、日米貿易協議によってアメリカ産の食料品が日本に入ってくるのは、必ずしも悪いことではありません。

Next: トランプ大統領の言う「公平な貿易」で日本もハッピーに?



トランプ大統領の言う「公平な貿易」は正論

もともとの貿易の意義は、お互いの国の得意なものを交換することです。つまり、一方的に輸出するというのは公平な貿易ではないのです。

その分、日本は内需を振興し、国民の所得を上げてアメリカの商品を買うべきなのです。日本国民もその方がハッピーです。貿易黒字を積み上げるだけが、良いこととは限らないのです。

貿易摩擦の解消は「先送り」に…

こうした意味で、今回の日米貿易協議は、日本の内需拡大と国民所得の向上に向けた時間的な余裕を持たせるだけの悪く言えば「先送り」となりました。

貿易摩擦の真の解消策は、日本国民の所得向上による内需振興であると言えます。

トランプ大統領は、こうした日本の内需振興策の欠如を知っているのか、知らないのか、最近、微妙な姿勢もみせています。

マックの行列、吉野家の人気といったデフレの日本を、トランプ大統領はもしかしたら知っているのでしょうか?

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ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2018年9月26日号)より抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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