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日本株に強烈な上昇圧力、日経平均2万8,000円も視野に入れるべき相場に=江守哲

かなり保守的に見ても日経平均2万5,000円到達は時間の問題です。2万8,000円も視野に入るでしょう。直近の展望と、今後ネックになる政治要因について考えます。(江守哲の「投資の哲人」〜ヘッジファンド投資戦略のすべて

本記事は『江守哲の「投資の哲人」〜ヘッジファンド投資戦略のすべて』2018年10月1日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:江守哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

2万5,000円への到達は時間の問題。昨年の値動きが参考になる?

大型の買いは遅れてやってくる

日経平均は2万4,000円までも超えてきました。わずか1週間です。あまりに早いですね。こうなると、なかなかついていくのが難しくなります。

このような早い動きになると、いわゆる「プロ」と呼ばれる投資家が遅れます。特に運用資金の大きい、いわゆる「図体の大きい」投資家が最も遅れて買いに来ます。運用資金が大きいだけに、機動的に動けません。せっかく株価が上昇しているのに、投資の理由付けも必要ですので、簡単には方針転換ができないわけです。

しかし、いったん投資判断を変更し、「日本株を買おう」との判断に傾けば、大量の資金を振り向けてきます。そうなれば、日本株は上昇に向かいやすくなります。その初動がまさに今の状況でしょう。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

これだけ上げても、多くの巨大投資家は動けていないわけです。ですので、上昇基調の第2ステージを作るのは、彼らのような大口の投資家になります。

彼らが入ってくると、日経平均が何日間でいくら上がったなどの解説は不毛となります。水準を見ないで買ってきますので、それはものすごい上昇圧力になってきます。

昨年の動きが参考になる

今回の株価上昇局面では、9月10日に反発し、18日に2万3,000円を超えました。

昨年の同時期には、9月11日に反発し、そのままほぼ一貫して上昇し、底値から1,500円上げてから一服しました。高値を付けてから7日間横ばいとなったあと、10月初めから11月初めの約1カ月で3,000円上げました。その後は12月末まで2カ月間、完全にレンジ相場になりましたが、高値圏を維持しました。その後、1月後半に高値を付けて、2月以降に急落しました。

今回もそのような値動きになる可能性が示唆されます。

日経平均株価 週足(SBI証券提供)

今回は安値からすでに2,000円上げています。ここで一服するかもしれません。しかし、その後に3,000円上昇すると、2万7,000円に到達することになります。

そんな単純ではないでしょうが、あながち否定もできない水準であることが、次の解説でわかります。

Next: 2万5,000円到達は時間の問題。2万7,000円も視野に



2万5,000円到達は時間の問題

現在の日経平均採用銘柄の1株当たり利益(EPS)は1,738円です。株価収益率(PER)が13.88倍です。PERが15倍になるだけで日経平均は2万6,000円です。

一方、EPSが3.5%上昇すれば、1,800円になります。PER15倍で計算すれば、日経平均は2万7,000円となります。

10月下旬から始まる企業業績の発表を前に、EPS上昇期待が高まれば、2万6,000円は軽く達成し、2万7,000円も視野に入ります

このような計算は夢物語のように見えますが、理論的には何もおかしくありませんし、バイアスもかかっていません。

株価は企業業績と将来への期待で変動します。EPSが上昇しても、投資家の将来への期待が高まらなければ、PERが上昇せず、株価も上がりません。いまがまさにその状態です。

しかし、EPSの3.5%上昇くらいはむしろかなり保守的な見方ですし、PER14倍で計算しても、日経平均は2万5,200円までの上昇できることになります。

このように考えると、かなり保守的に見ても、2万5,000円到達は時間の問題ということになります。市場では「今年も昨年のような動きになる」との期待が高いようです。

企業業績の見通し次第で「2万8,000円」も

過去の経緯から見れば、16倍くらいで買われすぎとなりますが、ここまで上げてくると2万8,000円到達も視野に入ります。

さすがにこれはやりすぎかもしれませんが、それくらいの期待値を持ちながら見ていくべき相場になってきたといえます。

日本の経営者は、かなり保守的ですので、今回も米中貿易戦争の影響を過大評価して、あまり見通しを引き上げてこないかもしれません

そうなると、株価の上昇ペースは鈍るかもしれません。しかし、先が見えています。何も心配する必要はないと考えています。

あまり前のめりにはなりたくありませんが、冷静に見ても、上記のような株価水準は十分にあり得ると考えています。

Next: 日経平均のテクニカル指標は? いずれ貿易問題がネックになる…



日経平均のテクニカル指標

さて、9月28日時点の日経平均のテクニカル指標は、騰落レシオは25日平均が133%から131%に低下し、6日平均も前日の165%から146%に低下しました。依然として過熱圏ですが、徐々に落ち着いていくでしょう

空売り比率は42.0%か39.20%に低下しました。上昇で買い戻しが入ったようです。

新高値銘柄は103銘柄から102銘柄へ小幅に減少し、新安値銘柄数は6銘柄から7銘柄に小幅に増えました。

大きな変化はなく、強いパターンは維持されています。

25日移動平均線からの乖離率は4.67%に上昇しました。高水準を維持しています。これだけの水準が維持されているのは、相場が相当強いとみるべきなのでしょう。

調整があってしかるべきですが、すでに基調は上向いています。大幅な調整がない中で上げ続ける可能性はありそうです。

いずれは貿易問題がネックになる

現在の株高は、トランプ大統領から当面は日本の自動車への追加関税を課さないとの約束を取り付けた日本の成果が評価された面があります

日米は今回の安倍首相とトランプ大統領の会談で、新たな貿易協議を開始することで合意しました。

トランプ大統領は「日本はこれまでさまざまな理由を付けて米国との貿易協議に後ろ向きだった。それをこれから開始するつもりだ」とし、「われわれは歓迎している。満足する結果を導けると確信している」としました。また貿易交渉について「非常に順調にいっている。日米はかつてないほど盤石な関係になる。両国にとってウィン・ウィンだ」としました。

安倍首相は「日本経済のさらなる強化と方策について建設的な議論をすることを楽しみにしている」としました。

日米は物品貿易協定(TAG)締結に向け、農産品などの関税を含む2国間交渉に入ることで合意し、交渉中は米側が検討する日本製自動車への追加関税は発動しないことで一致しました。

当面は米国側の高関税措置を回避した格好で、新たな貿易協議では、具体的な枠組みや、牛肉など農畜産品の日本市場開放の行方が論点となります。

しかし、これはあくまで時間稼ぎであり、大した成果ではないといえます。それでも、いまは市場は材料の良い面だけを見ようとしています。これが続くうちは、株価は上昇します。

あまり批判しても仕方がないので、良い風に捉えましょう。ただし、いずれ大きな問題になることだけは確かです。

Next: 北朝鮮問題をめぐる茶番。世界経済への影響はいかに…



北朝鮮問題をめぐる茶番

一方、北朝鮮問題に関しては、安倍首相は「擦り合わせを行いたい」としました。

これに対してトランプ大統領は「日本は北朝鮮に対して経済的な協力、支援をすることを視野に入れている」と指摘しました。

さらに、「金正恩朝鮮労働党委員長は自分の国のために、明るい将来にできるよう、いろいろな可能性をオープンマインドで考えている」とし、「早いうちに米朝首脳会談をもう一度実施したい」としました。

すでに決まった話ですが、まだまだ演出していますね(笑)。

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これから1年間で大きな動きが出る

株式市場:米国株の基調

為替市場:ドル円は113円台に突入

コモディティ市場:金は軟調、原油は高値更新

今週の「ポジショントーク」:上昇で収益

ヘッジファンド投資戦略:金相場を支えろ!〜投資戦略構築のポイント

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image by:Osugi / Shutterstock.com

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株式・為替・コモディティなどの独自の市場分析を踏まえ、常識・定説とは異なる投資戦略の考え方を読者と共有したいと思います。グローバル投資家やヘッジファンドの投資戦略の構築プロセスなどについてもお話します。さらに商社出身でコモディティの現物取引にも従事していた経験や、幅広い人脈から、面白いネタや裏話もご披露します。またマーケット関連だけでなく、野球を中心にスポーツネタやマーケットと野球・スポーツの共通性などについても触れてみたいと思います。

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