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【9月米雇用統計】パウエルが押した株高スイッチ。今夜、底堅いドル円は暴れるか?=ゆきママ

ドル円は年初来高値を抜け、一時1ドル=114円半ばまで上昇しましたが予想外だと思っている方も多いのではないでしょうか。そんな中、いよいよ月に一度のお祭りイベントである雇用統計を迎えます。今の相場をどう見たら良いか分からないという方は必見ですよ!(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

今夜は1ドル=113.5~115.0円を想定。有効なトレード戦略は?

リスクオフでもリスクオンでも底堅いドル円、正体は円安?

ここ最近のドル円相場は、リスクオン(選好)になれば円安&ドル安、リスクオフ(回避)なら円高&ドル高で、いずれのパターンでも底堅く、ジワジワと上値を伸ばしてきました。

とはいえ、なんだかんだ結局は円安&ドル高となっているからこそドル円は伸びているんですけどね。実際問題として、ドルインデックス(主要国通貨に対するドルの価値を指数化したもの)は小高く推移していますし、円インデックスは右肩下がりとなっています。

まず、ドル高要因についてですが、これはいろいろ要因があるものの、米国経済が非常に好調であることが大きいでしょう。一時は米中貿易摩擦が懸念されていましたが、先日発表されたISM(米供給管理協会)が発表した9月の非製造業総合景況指数は、1997年8月以来、およそ21年ぶりの高水準でしたからね。

このように貿易摩擦の懸念払拭ということでドルが買われた他、ここ1週間では、イタリアの予算問題への懸念からユーロが売られ、相対的にドル高になっていることも影響しています。

あとは、金利の上昇なども当然影響しています。ご存知のように、今やドルは豪ドルなどを凌ぐレベルの高金利通貨の仲間入りを果たしていますから、コスト面を考えるとドルロングは入りやすいでしょう。

しかしながら、ドル高と円安、どちらが今のドル円相場をリードしているかといえば、実は円安なんですね。ドル高はせいぜい1~2ヶ月ぶりの水準ですが、円はほぼ1年ぶりの円安水準となっています。

この円安に関しては言うまでもなく、連日最高値を更新し続ける株価が要因となっています。

Next: パウエルが鳴らした株高バブルへの合図/気になる先行指標は?



パウエルが鳴らした株高バブルへの合図

では、何故こんなにも株価は上昇しているのでしょうか?

その背景には、9月末に行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、パウエルFRB議長が非常にハト派的というか、マーケットに対してフレンドリーな発言を繰り返したことが影響しています。

ドラギECB総裁お得意の「できることは何でもする」とフレーズに加え、利上げペースが加速するとしたら、どのような場合かという記者の質問に対し、「インフレが上振れするときだ。しかし、そうなるとはみていない。我々の予測にはないことだ」と答えました。

つまり、FRB(米連邦準備制度理事会)は、これだけ米経済が加熱する中にあっても、なお低インフレを見込んでおり、ゆっくりとしたペースでの利上げを行うということです。あるいは、利上げを停止する可能性すらあるでしょう。

これら一連の発言を受けて、ややドルは売られたものの、その後の株価の上昇は、ご覧の通りです。まさにパウエルがバブルへの合図を鳴らしたと言っても過言ではないと思います。

というわけで、株高が円相場を支える以上、引き続きドル円を含めたクロス円は底堅いと考えるのが妥当と考えています。

先行指標は絶好調!市場も強めの数字を期待か?

それでは、いつものように先行指標や事前予想値を確認していきましょう。

先行指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

ご覧の通りオールブルーと全ての先行指標が前回から改善しています。かなり上振れしています。

また、前回はISM非製造業の雇用指数が弱めだったので、米中貿易摩擦問題が懸念されていましたが、なんのそのですね。記録的な高水準です。

これらを踏まえると、市場の期待値は事前予想値よりも高くなっていることでしょう。予想を上回るのは当然として、予想並みの数字だと初動はドルが売られる可能性に注意したいところです。

Next: 想定は1ドル=113.50~115.00円、今夜のトレード戦略は?



極端な数字が出なければ底堅い

今回の雇用統計は上振れるなら上振れで、米国経済は堅調との見方でドルが買われるでしょうし、仮に下振れても、やはりパウエルのシナリオ通りインフレ加速は難しいという見方になります。

ですから、結局は株高の円安で、いずれのパターンでもドル円は底堅い値動きを続けそうです。

むしろ、あまりに強すぎる場合、例えば平均時給が前年比で+3.0%を超えるといった、これまでにない数字を見せるようだと、賃金インフレからの利上げペース加速が懸念されて株安からの円高により、好循環相場が一旦崩れる可能性があるでしょう。

米長期金利(10年債利回り)が急騰したことで、少し金利に対して市場がセンシティブになっていますから、この点には警戒したいところです。

今夜のトレード戦略は? 想定は1ドル=113.50~115.00円

なので、今回は予想並みか予想を若干下回る程度で押し目のチャンスがあるとトレードはしやすいかと思います。

ドル円(日足)チャート

ドル円は、昨日の株価の調整下落で同様に押し下げられていますから、セル・ザ・ファクト(事実で売る)の可能性は減っているでしょう。

先ほども書いたように、極端に強い・弱い数字(平均時給が予想値から±0.2%を超える)が出ない限りは、下がっても押し目という判断で狙っていきたいですね。

押し目のポイントは、トレンドラインや10月の安値、一目均衡表の転換線が重なる113.50円近辺や、上値の蓋となってレジスタンスとして機能している113.10~113.20円前後が挙げられますので、この水準では押し目でポジションを追加したい。

損切りは113.00円割れか、21日移動平均線のある112.70円割れといったところです。

上値に関しては、いうまでもなく115.00円ラインがターゲットです。しかし大台の節目ということで、その手前からかなり重くなってきそうですから、114円台後半では一旦利益確定し、115円台に定着した段階で、また追いかけていく格好で良いと思います。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2018年10月5日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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