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分散投資は無知に対するヘッジ!分散か集中か選ぶべき正しいタイミングとは=山田健彦

分散投資をすすめる格言は投資の世界に数多くありますが、実際に投資をするうえで効果的なのでしょうか?今回はそのメリット・デメリットについて解説します。『資産1億円への道』山田健彦)

格言や書籍で分散投資をすすめるのには理由がある

投資のテキストは分散投資をすすめるが…

筆者は日本証券アナリスト協会に属している証券アナリストの端くれでもありますが、証券アナリストとなるために学習する理論体系の1つに「現代ポートフォリオ理論(Modern Potofolio Theory)」と呼ばれるものがあります。

この理論はハリー・マックス・マーコウィッツ氏が「資産運用の安全性を高めるための一般理論形成」によりノーベル経済学賞を1990年に受賞したことで有名になりました。

単純化すると「異なる値動きをする複数のものに分散投資することで、同じリターンを得る際にリスクを極小化する方法がある」というものです。

「分散投資は投資の鉄則」だと聞いたことがある方が多いかもしれません。金融の世界では、昔から「卵は一つのカゴに入れるな」という格言もあります。手持ちの卵(資産)を全て1つのカゴに入れてしまうと、そのカゴを落とした時に全部割れるリスクがあります。ですからカゴは複数にする分散投資が一番よいという考え方です。

1社の会社の株に資産のすべてを投入すると、その会社が倒産してしまうと、すべての資産がなくなってしまいます。また倒産しないまでも、その会社の株価が下がれば自分の資産も毀損します。

だからこそ、株価の動きが異なる複数の会社の株を保有していれば、ダメージも限定的だ、という意見です。

しかし、著名投資家の本を読んでみると、分散投資をすすめるような内容はまず、お目にかかりません。

例えば、投資の神様と言われているバフェット氏は『分散投資は、リスクヘッジではなく「無知に対するヘッジだ」』と発言しています。

1997年からの約13年間で指揮するマゼラン・ファンドを700倍の規模にまで育てたピーター・リンチは「個人投資家なら5銘柄程度に投資をすべき」「株式市場では、確かな1銘柄はよく分からない10銘柄に優る」と語っています。

Next: 投資のプロは分散投資をしているのか?



プロでも厳密には分散投資はしていない

また、理論的には正しくても現実の世の中の動きは異なる、というのは昔から良くあることです。

特に不確かな情報や単なる噂、さまざまな思惑が飛び交う実際の市場では「人々は理性的、合理的判断に基づいて投資行動を行う」という、投資理論を構築するうえでの大前提がそもそも崩れています。

投資信託や生命保険会社、損害保険会社、銀行など機関投資家と言われるプロの投資家は主にコンピュータ・ソフトにより出された「理想的な分散投資の資産配分」をもとに運用していくのですが、時としてソフトはブラジル株が25%、小型株が30%の組み合わせを提案することもあるのだそうです。

理論上、お互いに連動しないものに資産を分散するよう指示するからです。

しかし、たいていのプロの投資家ならブラジル株や小型株の配分をここまで大きくするのは危険だと判断して、同じ種類の証券は一定の割合に抑えるよう、上限を定めています。

プロでも厳密な意味での分散投資はしていないのです。

バフェット氏でさえ46銘柄しか持っていない

投資の神様と言われているバフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイでさえ保有銘柄数はたったの46です。しかも保有比率上位の10銘柄のみでポートフォリオ全体の8割を超えます。

明らかにバフェット氏の投資は集中投資です。

Next: 分散投資はどのような投資結果をもたらすのか



分散投資は富を守る、集中投資は富を築く

分散投資が正しいのか、集中投資が正しいのか様々な意見が分かれています。どちらが正しいのかは、永遠に決着がつかないと思いますが

分散投資は富を守り、集中投資は富を築く」という格言があります。

ある程度の資産を築き上げた人には分散投資を、まだ資産形成の途上の人には集中投資をということです。

現在のあなたは資産を守る立場ですか、それとも資産を築く立場ですか?

再度ピーター・リンチの言葉ですが、「個人の投資は5銘柄程度にすべき」「株式市場では、確かな1銘柄はよく分からない10銘柄に優る」と言っています。

ヨコの分散投資とタテの分散投資

上記はヨコの分散投資、つまり異なる銘柄、異なる資産、異なる通貨、異なる国への投資についての話です。

分散投資にはもう一つ、タテの分散投資があります。これは時間分散を行い、同じ銘柄を異なる時期に買い続けていくものです。


有名なのは「積立投資」と呼ばれるもの
で、毎月一定額で同じ銘柄を買い続けていきます。株価は高いときも低いときもありますが、長期に渡り積立投資を行うことで、高いときは少ない株数を、安いときは多い株数を購入していきます。

こうすることで、株価の乱高下をうまく乗り切れることが出来る、と言われています。

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資産1億円への道』(2018年11月28日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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