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いまこそチャイナショック以来のリスクオフ!いまいちわからない、その判断基準とは=日暮昭

投資関連のニュースでよく、「リスクオン」「リスクオフ」という言葉を聞かれますが、具体的にどのようなものでしょうか。指数を使ってわかりやすく解説します。(『資産運用のブティック街』日暮昭)

※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。

プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。

2018年の株式相場は、足許は極端なリスク回避状態に

ファンダメタルズと並んで相場を形づくる、市場リスク

2018年も余すところ1週間となりましたが、2018年の株式相場は中国ショック、BREXIT、トランプ大統領の登場などで大きく変動した2年前の2016年と同様の荒っぽい変動で終始した年と言えそうです。

昨年秋口からの相場上昇によって、年初の1月23日に日経平均は27年ぶりの高値となる2万4,120円をつけましたがその直後に下落に転じ、3月23日に2万617円と2ヶ月で約3,500円、14%を超える急落となりました。

相場はその後落ち着きを取り戻し10月2日には1月の高値を超える2万4,270円に達しましたが、その後、米中貿易摩擦とその裏にあると見られる両国の覇権争いの深刻化、また、米国のインフレ懸念に対応するFRBの金利引き上げなどを主因に再び相場は急落、直近の12月21日には2万166円と3カ月で4,000円、17%下落し3月の安値を下回りました。

一方、こうした大きな相場変動の裏で日本株のファンダメンタルズは好調な業績を背景に一貫して堅調に推移してきました。このファンダメンタルズと実際の相場とのかい離は 市場リスクによってもたらされます。市場リスクはファンダメンタルズと並んで相場を形づくる重要な要素なのすが、これまでその実態は明確な形で捉えられてきませんでした。

“リスクオン”あるいは“リスクオフ”といった言葉で実際の相場とファンダメンタルズとのかい離が説明され、何となく納得してしまいますが、この場合のリスクとは具体的にどのようなものなのでしょう。

当メルマガでは一定の前提の下でこの市場リスクを具体的な形で示す指標として、「市場リスク規準指数」開発しました。この指標は入学試験などの成績評価でおなじみの“偏差値”で示します。市場が「リスクオン」あるいは「リスクオフ」の状況にあるのかないのか、あるいはどの程度まで進んでいるのか、この指数で下の表によって捉えることができます。

Next: リスクオン、リスクオフとは具体的にどんな状態なのか…



「市場リスク規準指数」で見る「リスクオン」「リスクオフ」の状態

指標は平均を50点として、60点から40点の間は相場がファンダメンタルズで説明できる平穏な状態である事を示します。ここから離れるにしたがって投資家のリスク選好、リスク回避の度合いが強まります。一般に70点を越すとリスク回避の度合いは十分大きくリスクオフの状態にあると言え、80点を越せばこれは極端なリスクオフで、投資家はほとんどファンダメンタルズに関係なくリスクを避けるためにリスク資産である株式の売りに走ることになります。

逆も真なりで、指標が30点を下回ればリスオンの状態になり20点を下回れば極端なリスクオンの状態で投資家はファンダメンタルズにはかまわずリスク資産である 株式を買いまくることを示します。

下図は日経平均とファンダメンタルズから規定される日経平均の変動の上限と下限、そして「市場リスク規準指数」の推移を2016年1月4日から直近の2018年12月21日まで日次ベースで示したグラフです。

<日経平均と変動の上限・下限の推移(2016.1.4~2018.12.21)>

<「リスク規準指数」の推移(2016.1.4~2018.12.21)>

指数が80点を超える極端なリスクオフの状態になったのは2016年2月の中国ショックと直近の2018年12月21日だけです。

この極端なリスクオフの状態が今後どのような形になるのか、今後の相場展開を見通すうえで注目されます。

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(※ご注意:投資判断はご自身で行ってくださるようお願いいたします。当講座は投資判断力を強化することを目的とした講座で投資推奨をするものではありません。当講座を基に行った投資の結果について筆者及びインテリジェント・インフォメーション・サービスは責任を負いません)

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資産運用のブティック街』(2018年12月26日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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