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割安な新興国株、米中問題を織り込んだ日本株に注目?2019年の推奨ポートフォリオとは=田中徹郎

昨年は米中貿易戦争など、年初には予想もできなかった不測の事態が起こり予測の難しい一年となりました。この影響が一服した2019年の世界経済と相場を予想します。(『一緒に歩もう!小富豪への道』田中徹郎)

プロフィール:田中徹郎(たなか てつろう)
株式会社銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。

2019年の世界経済動向から、ポートフォリオを考える

2019年の世界経済

まず今年の世界経済に影響を与えそうな出来ごとを列挙し、順にその影響を考えてみたいと思います。

<米中貿易摩擦>

この問題は既に貿易が焦点ではなくなりつつあり、むしろ米中間の問題は、覇権争いの色彩が濃くなってきたといえるでしょう。

焦点が貿易だけなら、習近平さんには譲歩の腹案があったと思いますが、「アメリカとの覇権争い」となれば、譲歩しづらいのではないでしょうか。なにしろ「中国100年の夢」です。

中国は100年単位で物事を考えることができる国です。そこが4年単位で発想するアメリカとの違いといえるでしょう。

3月1日に「90日協議」の結論が出ますが、おそらく中国はそのような発想で臨んでいるのではないでしょうか。すなわち貿易問題では極力譲歩する一方で、覇権にまつわる問題に関しては、妥協を小出しにするということです。

そうこうするうちにトランプさんの任期は終わり、この問題はいったんリセットされる…。とにかく時間を稼いでいるうちに、経済力を高めておけば、いずれアメリカを圧倒できると考えているに違いありません。

そのような観点で、今進んでいる「90日協議」の帰結を考えるとどうでしょう。中国は貿易摩擦問題に限っては、大幅でかつ目に見える形で譲歩するのではないでしょうか。

その一方で、例えば「中国製造2025」や、外国企業への技術移転の強要、著作権や研究果のパクリ問題など、将来の覇権争いに関する問題では結論を出さず、小出しに妥協を重ねつつ時間を稼ぐという戦術をとると思います。

一方でアメリカはどうでしょうか。

就任以来のトランプさんにとって、株価の上昇は数少ない自慢できる成果だといえるでしょう。

ですから自らの対中政策によって景気が減速し、このまま株価が下がることを放置するとは思えません、来年には大統領選挙がありますので、余計に株価には敏感になるはずです。

このように米中双方の事情を勘案すれば、「90日協議」では完全合意も決裂もなく、一部では合意しつつ延長戦に入るのではないでしょうか。

このように両国の覇権争いは延々と続くことになるでしょうが、少なくとも貿易摩擦問題では一定の進展があるはずです。

この構図は米ソ冷戦時代に似ているかもしれません。

当時アメリカとソ連の関係は冷え切っていましたが、だからといって世界経済や株価が危機的だったかといえば、決してそうではありませんでした。

当時と同様、株価や経済はこの問題に対し、徐々に反応が鈍くなるのではないかと思います。

Next: アメリカと中国の今年の経済はどうなる?



<アメリカの景気と利上げ>

では実体経済のほうはどう動くのでしょうか。

たしかに米中貿易摩擦問題は気になりますが、上記のような理由で僕は、少なくとも貿易不均衡問題に関しては、中国が目に見える形で譲歩すると思います。これはアメリカの経済にとって、決して悪いお話ではありませせん。

一方で気になるのは減税効果の剥落です。今年の前半あたりまでは、昨年行ったトランプ減税の余韻があるでしょうが、後半になれば剥落します。

ねじれ議会の影響による、政策決定の遅れも気になるところで、特に公共投資の拡大は難しいでしょう。

このようなことから、アメリカ経済は徐々にスローダウンとみております。

FRB(アメリカの中央銀行)は、今のところ年2回の利上げを念頭に置いているようですが、最近のパウエル議長の発言を聴くと、急にハト派色が強まってきているように思います。

本人も昨年4回の利上げはちょっとやり過ぎたと、不安になっているのではないでしょうか。

3月は「90日協議」の期限ですので、動きづらいでしょうから、次の利上げは6月が本命で、今年はその一回で終わる可能性もあるでしょう。

アメリカ経済がスローダウンしながらも、そこまで悪くならないと考えるのはこのような点からです。

なお年内利下げを予想する人も多いようですが、僕はそこまでアメリカ経済が弱いとは思いません。

<中国経済>

中国当局の危機感は相当高いのではないでしょうか。

・高齢化等によって経済の成長性が徐々に鈍化している点⇒長期
・懸案のシャドーバンキング対策として、公共投資の縮小や銀行による貸し出しの抑制などバブルつぶしを行った結果、循環的にも経済成長が鈍化している点⇒中期
・米中による関税引き上げの結果、一時的に経済に逆風が吹いている点⇒短期

上記のように長期、中期、短期、いずれの視点で見ても、いまの中国経済には逆風が吹いており、このままの状況を放置しておけば「中国100年の夢」は絵に描いた餅に終わってしまいますし、一帯一路も店じまいです。どう考えても彼らのプライドが許さないでしょう。

それを避けるためには、アメリカに対し一時的に妥協の姿勢を示しつつ、金融、財政を総動員してでも経済を引っ張り上げなければなりません。

さらにここのところ習近平さんへの一極集中が弱まっているとも言われ、習さんの焦りは相当大きいはすです。

中国当局はすでに預金準備率の引き下げや、インフラ投資の認可の積極化など行っていますが、さらにここから3月の全人代にむけ、減税や利下げなどを決める可能性があります。

議会を経ず機動的に政策を実行できるのは、中国の強みといえるでしょう、このように景気浮揚策を動員する結果、中国経済は年の後半に近づくにつれ、徐々に勢いを増すと考えております。

Next: もう一つ注目しておきたい、新興国の経済の行方は?



<新興国経済>

新興国の経済について考える場合、アメリカの利上げは重要な要素になります。

昨年アメリカが4回の利上げを行った結果、新興国から一時マネーが流出し、経済が深刻な事態になるとの不安もありました。

幸いにしてその心配は杞憂に終わりましたが、たしかにアメリカの利上げが、新興国経済に悪影響を及ぼす危険性はあります。

そのような観点で今年はどうでしょう。

上記でお話ししましたように、今年のアメリカは昨年のように、何度も利上げできるような状況にはなく、標準的なシナリオでは、せいぜい1回か多くても2回ではないでしょうか。

この程度の利上げであれば世界経済への影響は限定的で、少なくとも株や為替を動かす材料にはなりそうもありません。

一方で世界の実体経済のほうはどうでしょう。

上記のようにアメリカはスローダウンするも、景気後退に至るほど悪化するとは思えません。

中国は景気対策を総動員する結果、今年はやや上向きと予想できます。

ヨーロッパはイギリスのEU離脱問題が少し心配ですが、もともと成長性の低い地域でもあり、よほど深刻な景気後退に至らなければ、世界経済への影響は軽微ではないでしょうか。

つまり今年の世界経済は緩やかに減速するも、依然健全な成長速度を維持することになるのではないでしょうか。

そのような前提であれば、新興国経済のみが危機的な状況に陥ると考えるのは不自然で、今年の新興国経済は少なくとも昨年に比べ安定的に推移するのではないかとみております。

Next: 安定的な世界経済を受けて、相場はどのように動くのか?



今年の相場の予想(株、債券、ヘッジファンド、国際商品、現物資産)

では相場のほうはどう動くのでしょう。

<日本株・アメリカ株>

昨年末以来、世界の株価は大きく振れながら下げていますが、その最大の要因が米中貿易摩擦にあったことは間違いないでしょう。ただし前段で触れましたように、市場は徐々に、この問題の帰結を織り込みつつあるように思います。

つまり貿易面では中国が大幅な妥協を示す一方で、その他の問題、例えば国家ぐるみで製造業を育成したり、他国の技術を自国に強制移転しようとする政策について、中国は妥協を小出しにしながら時間を稼ぐだろうという見方です。

もし中国がこのように巧妙な戦術をとるのであれば、アメリカや日本に有効な対抗手段は見つけずらいと思います。が、今年の株価という狭い観点で見るならば、それも決して悪いお話しとは言えません。

前段のように米中協議は延長戦に入るでしょうが、世界の株価はこの問題に対して徐々に反応しなくなるとみております。

一方で昨年には見られなかった、新しい兆しが出てくると思います。

すでに新聞紙上などで、次世代通信「5G」が取り上げられることが増えてきましたが、いよいよ今年は5G元年です。

基地局への投資は既に始まっていますし、今年中には早くも5G対応のスマホが出てくる見通しです。

5G効果はスマホを中心とした民生分野だけにとどまりません。

自動運転や遠隔手術、物流や製造の現場などの産業分野で、幅広い技術革新を生む可能性があると思います。

関連分野も広範囲にわたり、例えばわが国製造業が得意とするデバイス(部品)や半導体、産業用機械など、今年の年末あたりから企業業績への貢献が、現れ始めることになるでしょう。

振り返れば昨年末以来、日本株にとって悪い材料ばかりでしたが、上記のような理由で今年は、月が進むにつれて明るい材料が増えてくると思います。

年末あたり、日経225が昨年最高値2万4,000円を超えていても僕は驚きません。

日本株以外の株も悪くないとと思っています。

特に期待したいのは新興国株です、昨年はアメリカの利上げ懸念からずいぶんと売られましたが、今年の利上げはせいぜい1回か2回でしょう。

一方で上記のように世界の景気はスローダウンしつつも、一定の成長は維持できそうです。

よほど想定外の出来事があれば別ですが、今年の新興国株は期待できると思っています。

特に成長期待が高いASEAN株に注目したいと思いますが、景気刺激策への期待から中国株も上がるとみております。

アメリカ株はどうでしょう。

今月初め、アップルが行った業績予想の下方修正によって、同社の株価は下落しましたが、どうやら「これでお終い」というわけには行きそうもありません。

日本株と違ってアメリカ株は、米中摩擦の影響がまだ十分に織り込まれているとはいえず、特にこれから始まる昨年10-12月四半期の業績発表は、「アップル化現象」があちこちで見られるのではないかと少し心配です。

ただしその先はどうでしょう。

経済はスローダウンするものの、アメリカ企業の業績は、2019年通期で見れば7%程度の増益予想が一般的です。

利上げの停止や、米中摩擦の緩和などプラスの要素もありますので、今年のアメリカ株は悪くないと思います。

Next: 債券と金利、国際商品相場の今後の行方は?



<債券と金利>

一方で今年のアメリカ国債に対して僕はやや弱気です、昨年末に一時10年債金利は3.2%を超えましたが、その後は下がり(債券価格は上がり)、現在の水準は2.7%台です。

3.2%→2.7%の金利下降(債券価格の上昇)は、アメリカ経済のスローダウンを見込んだものだったと思いますが、今年一年をみれば、おそらく現在の水準から3.0%あたりまでを行ったり来たりではないでしょうか。

現在の政策金利は2.5%(正確には2.25%-2.5%)ですが、仮にあと一回利上げをすれば2.75%です。

ですから、もし10年債金利が2.7%を下回れば、それは明らかに長短金利の逆転です。そのような点から、10年債金利がこの水準を継続的に下回るとは考えられません。

一方で今年はねじれ議会でトランプさんも動きづらいでしょう。さらにトランプ減税の効果も(対前年比でみれば)剥落することになります。

このようなことから10年債金利が継続的に3.0%を上回ることも、また考えにくいと思います。

結果的に今年の10年債金利の水準を、2.7%~3.0%程度の狭いレンジで動くとみています。

<国際商品相場>

昨年末に原油は大きく下げました。OPECとロシアが協調減産で合意しましたが、現在の相場(WTI)は1バーレル=50ドル台に過ぎません。たしかに昨年の高値(70ドル)から見れば安いですが、それでも現在の価格は2015年以降の平均的な水準です。

さらに、現在のシェールオイルの採算ライン(1バーレル=50ドル程度)から考えても、現在の相場は適正水準といえるのではないでしょうか。

今年は貴金属にも注目しておきたいと思います。例えば金です。

現在の金価格は1オンス=1,290ドル台です。昨年8月の1200ドル以降、急騰してきましたが振り返ってみれば昨年の初めはほぼ今の水準と同程度でした。

市場では金の急騰がはやされていますが、上記のように一年を通してみればトントンです。

では今年はどうでしょう。

今年はアメリカの利上げペースが緩むと予想され、金利の付かない金にとってはプラスです。

米中の覇権争いや、アメリカの政局流動化(極端な場合は大統領の弾劾)は金の買い材料で、今年の金は上振れしやすいとみております。

一方でパラジウムのほうは昨年ビックリの急騰でした。

その結果、現在の相場は1オンス=1,290ドル台で、金とほとんど同等です。

何とこれは史上2回目だそうです。

兄弟のプラチナは、ヨーロッパでディーゼルエンジン車が売れなくなった影響で価格は急落ですが、パラジウムがたくさん使われるガソリン車のほうは、新興国中心にマズマズ売れています

一方で採掘のほうはといいますと、パラジウムは金やプラチナと違って単独でとれる鉱山はほとんどありません。

ですからパラジウムが値上がりしても、パラジウムに的をしぼって採掘するというわけにはゆきません。

このようなことから、現在のパラジウムの価格が早晩崩れるとは考えづらく、今年も高原状態が続くのではないでしょうか。

穀物もマークしておきたいですが、例によってお天気次第、夏場の急騰があるかないかは、「神のみぞ知る」です。

ただしトウモロコシや大豆など、3年連続の大豊作を前提に現在の価格が形成されています、天候不順に見舞われた際のエネルギーは相当溜まっているといえるでしょう。

下値が限られている一方で、賭けに買った時のリターンが大きいという意味で、「買い方」に有利な条件にあるといえるでしょう。

Next: ヘッジファンドの動向と現物資産の今年の動向について…



<ヘッジファンド>

昨年はヘッジファンドにとって厳しい一年だったといえるでしょう。

昨年のCredit Suisse(クレディ・スイス)のヘッジファンド指数は、▲3.19%に終わりましたし、主要な戦略をみても年間の騰落率は

・転換社債裁定型⇒▲2.26%
・イベント・ドリブン⇒▲3.95%
・株式ロング/ショート型⇒▲4.62%
・マネージド・フューチャーズ⇒▲6.67%
・グローバル・マクロ⇒▲0.11%

など軒並みマイナスです。

ただし株価のほうも、例えば

・アメリカのS&P500株価指数⇒▲4.38%
・日経225株価指数⇒▲12.08%
・MSCI世界株価指数⇒▲10.44%

などと大幅に下落しましたので、それと比べるとまだマシという見方もできるかもしれません。では今年はどうなのでしょう。

結論から申し上げますと、全般的に今年も苦戦する可能性が高いと思いますが、ヘッジファンドと一口に言っても、運用戦略はさまざまです。

例えば、今年もトランプさんの言動に振り回され、相場の激しい上下動が続くであろうという想定に立てば、「ボラティリティから収益を挙げる戦略」が面白いと思いますが、逆に中期の継続的トレンドから収益を挙げるタイプの「マネージド・フューチャーズ」には強気になれません。

一方で新興国経済が安定に向かうという見通しに立てば、「新興国運用型、特に新興国の破綻証券に投資するタイプのファンド群」には強気でいいでしょう。

<現物資産>

現物資産については、いつも申し上げていますように、今年という短い期間ではなく、長期的な視野に立って一定額を保有しておくべきではないかと思います。

あえて今年という観点で申し上げるなら、カラーストーンが面白いと思います。

なんどかこのメルマガでお話ししてきましたように、カラーストーンの原産地では、近年ますます採掘量が減ってきております。

一方で相変わらず香港や中国、中東など富裕層からの引き合いは旺盛で、現地相場は今も上昇中です。

これも富の一極集中がもたらす現象の一つでしょう。

今年もこの需給に変化があるとは思えません。

なかなか見つけにくくはなっていますが、非加熱・高品質・大粒なルビー、サファイア、スピネル、ヒスイなどは、今年も有望ではないかと思います。

特にスピネルは現地でここ数年価値が見直されつつあり、きっと良い投資になるでしょう。

コインも面白いと思います。

ただしここ数年、ホンの一握りの銘柄に人気が集中した結果、イギリスの近現代5ポンド金貨や、5ギニー金貨が、説明できない価格帯まで急騰しております。すでに値下がりを始めた銘柄群もあり、そのようなコイン群は避けたほうがいいでしょう。

一方で相場から忘れられた割安コインもたくさんあります。
・古代ギリシャ
・古代インド

など古代コインはまだまだ評価不足で安く買えますし、
・神聖ローマのターレル
・1800年代のターレル(特に2ターレル)

で、状態の良いコインはどう考えても割安です。

神聖ローマのダカット(金貨)はまだまだ値上がりしてもいいと思いますし、中南米のスペイン、ポルトガルの植民地金貨のなかには、「なぜそんなに安いの?」と言いたくなる銘柄も多いです。

さらに近年経済成長が急な
・アジア諸国のコイン群(1800年代から1900年代)

も楽しみです。コインの文化が遅れて入ってきたため、この地域のコインには新しいものが多いのですが、それだけに見逃されている隠れた希少コイン達もいます。

最後に不動産についてです。

よく日本の不動産は東京オリンピック以降下げると言われますが、僕は違った考えを持っています。

オリンピック需要は多少あるかもしれませんが、昔と違ってローコスト・オリンピックで、関連投資は限定的です。

それよりは常に進化し続ける東京という都市は、とどまるということを知りません。

私たちが東京に不動産を持つということは、その成長性の一部を所有するということで、投資として理にかなっていると思います。

すくなくとも現在の相場水準では。

Next: これらの状況を踏まえた、推奨ポートフォリオとは?



<推奨ポートフォリオ>

ここまでお話ししてきたような見通しに立つなら、2019年型ポートフォリオは
・やや積極性を高める
・ただし年の前半は抑えめ、後半にいくほど強気
・相場の価格変動が大きくなるとみて、現物資産の組み込みを計画的に考える

という考えに基づいて必要最小限の組み換えを行う、というスタンスでいいと思います。

具体的な方針は以下の通りです。

・日本株は年の前半で少しずつ持ち高を増やす
・新興国株へ年初めから持ち高を増やす
・アメリカ国債の購入は10年債金利3.0%到達が目安
・商品相場は金とパラジウム、ただしパラジウムは売り時を考えながら買う、銀も面白い
・カラーストーンは一期一会、本当に良い石をそこそこの価格で買う
・コインは割安領域を選別して買う、不動産は現物を手出し資金で買う
・ヘッジファンドはボラティリティ戦略や裁定取引型へ徐々にシフト

そのような考えに立った以下の推奨ポートフォリオですが、毎年申し上げていますように、これは一つのサンプルで、実際にはお一人お一人の資産状況やライフプランによって異なります。あくまで一つの投資のヒントとしてご活用ください。

<2019年型ポートフォリオ>

・先進国株(15%)
1.日本株ETF
2.世界ヘルスケア株ETF
3.アメリカ株ETF

・新興国株(20%)
1.ASEAN株ファンド
2.インド株ETF
3.中国株ETF

・コモディティ関連資産(15%)
1.金ETF
2.パラジウムETF
3.銀ETF

・債券(10%)

・不動産系資産(20%)
1.日本不動産現物
2.ヨーロッパ現物不動産

・オルタナティブ(20%)
1.カラーストーン(非加熱ルビー、スピネル、ヒスイ、非加熱サファイア)
2.クラシック・コイン(アジア、ヨーロッパ各国、中南米)
3.ヘッジファンド(裁定取引型、ボラティリティ運用型)

Next: 推奨ポートフォリオの構成理由を昨年と比較して詳しく解説!



割安の新興国株を増加、先進国は日本株が筆頭

今年は株やコモディティなど「強サイクル性資産」のウエイトを50%とし、昨年の水準を維持しました。

株、コモディティともウエイトは変えておりません。先進国株を昨年の20%→15%に下げたのは、新興国株のほうに割安さを感じたからです。

アメリカの利上げを年1回と読むなら、今年は昨年のように新興国からのマネー流出を心配する必要はありませんので。

先進国株の筆頭は日本株です。すでに米中貿易摩擦の影響は株価に織り込まれており、今年は5Gが大きな材料になるとの期待からです。

ハードブレグジットへの懸念から、今年はヨーロッパを外しました。

次点に世界ヘルスケア株ETFを挙げましたが、今年はガンの免疫阻害薬や、ゲノム医療など先端分野で高収益が見込まれると考えるからです。

新興国株では筆頭にASEAN株、次点がインド株で、昨年から変えておりません。中国当局の経済対策が拡大すると考え、3番目に中国株ETFを挙げさせて頂きました。

コモディティでは金、パラジウム、銀を挙げさせて頂きました、今年はいずれも貴金属です。パラジウムは産出量が限られており、今年も供給不足が解消されそうにありません。

今年の大穴は銀です、金が10%上げるなら銀の上昇は30%ほどになるイメージです、発射台は1オンス=15ドル台と低く、下値があってもせいぜい11ドル台でしょう、短期のギャンブルと割り切って持つなら面白いと思います。

その場合は銀の現物よりETFがいいでしょう。

債券は昨年のゼロから10%に上げました。お買いになるならアメリカの長期債だと思います、買った瞬間に米ドルで収益率が決まり、満期まで半年に一度の利息と満期時に元本100ドルがもどってきます。

このように出口がぶれない投資は、ライフプランとの相性がよく、現在の低金利を受け入れることができるなら、悪くないでしょう、でもできれば10年債金利が3.0%程度まで上がる(債券価格は下がる)まで我慢されると良いでしょう。

非サイクル資産(現物系資産およびオルタナティブ)は、債券に配分した10%分だけ下げ、40%といたしました。非サイクル資産の内訳は不動産が20%で、オルタナティブが20%です。

不動産は昨年同様、日本の不動産が筆頭で、次点がヨーロッパの不動産です。

日本の不動産は地方ではなく、日本の中心、すなわち東京がいいと思います。東京は常に進化しており、毎日のように新しくなっています。ときどき空室を心配される方もおいでですが、もし東京の中心部の不動産に空室が出るようなら、その時点で日本は終わっているでしょう。

ただし昨年問題になったように、家賃保証や頭金ゼロには十分ご注意ください、あらためてここで触れることは致しませんが、売り手のセールストークに乗せられてはいけません。

身の丈に合った投資が重要です。

最後はオルタナティブです、ヘッジファンドは今年も中期のトレンド・フォロー型ファンドから、裁定取引型やボラティリティから収益を挙げるタイプのファンドへ、スイッチを促してまいりたいと思います。

そのほか現物資産では、僕の好きなクラシック・コインやジュエリーなど引き続き推奨いたします。

昨年はカラーストーンがずいぶんと値上がりした印象です。特にスピネルの値上がりは急で、現地ミャンマーで2カラット以上のきれいな石は、昨年一年だけでも2倍ほどに値上がりした印象です。それでもまだ歴史的に見てスピネルは安値に放置されており、今年も見直し買いが続くでしょう。

ルビーやサファイアも値上がり中ですが、なにぶん高品質な石はめったに売りに出ることがありません、きっと現地のオーナーが市場に出さないからでしょう。

昨年の本予想を振り返ってみて思うのですが、実は、昨年は結構外してしまいました。一番の大きな読み違えは、アメリカのFRBによる利上げペースです、トランプさんの圧力があり僕は年2回と読んでいたのですが、4回でした。

もう一つの読み違えは、年初になかった米中貿易摩擦とその影響です。

いずれもトランプさんの行動の読み違えから来たものでした、誠に申し訳ございませんでした、それでも現物資産の上昇やヘッジファンド、原油相場などは概ね想定通りとなったので、自分としてはまずまずだったと思っています。

ご参考までに昨年の本予想は以下からご覧いただけます。
※参考:2108年型ポートフォリオを考える

なお当時のメルマガをコピペしただけで当然ながら(誤字脱字以外は)一切修正しておりません。

以上です、今年も皆さんにとって素晴らしい一年になることをお祈りしております。

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一緒に歩もう!小富豪への道』(2019年1月16日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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