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1~2月で4,340ドル上昇したNYダウ、年間の値幅に匹敵する急上昇はいつまで続くのか?=伊藤智洋

今年に入り、たったの2ヶ月で年間値幅にも匹敵する4,340ドル幅の上昇をみせたNYダウ。この上昇はどこまで続くことができるのか、過去の例から考えてみましょう。(『少額投資家のための売買戦略』伊藤智洋)

※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2019年2月25日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。今月配信済みバックナンバーや本記事で割愛した全文(日経平均・NYダウの今後のシナリオ、予測の仕方)もすぐ読めます。

プロフィール:伊藤智洋(いとうとしひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、テクニカル分析の有効性についての記事を執筆。MS-DOS時代からの徹底したデータ分析により、さまざまな投資対象の値動きの本質を暴く。『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『FX・株・先物チャートの新法則[パワートレンド編]』(東洋経済新報社)など著書多数。

NYダウは2月中に昨年末からの上げが終息する公算

1~2月だけで1年の値幅と同程度の値動きを見せたNYダウ

NYダウは昨年末に底値をつけた後、前週末まで一本調子の上昇局面となっています。

安値から高値までの変動幅は、4,340ドル幅となっています。1月から2月までの変動幅だけでも、3,414ドル幅の上昇局面となっています。

過去の年間の変動幅(年間の最高値から最安値までの値幅)を調べると、大幅な値動きとなっている2018年は5,239ドル幅、2017年は5,199ドル幅、2016年は4,537ドル幅となっています。

2010年~2015年までは、2,011ドル幅、2,472ドル幅、1,626ドル幅、3,484ドル幅、2,
763ドル幅、2,981ドル幅となっています。

2008年、2009年は、それぞれ5,830ドル幅、4,111ドル幅です。

本年1~2月は、過去、1年間かけて上げ下げを経過してきた変動幅と同程度の値幅の動きとなっています。

2018年1月26日までの上昇の最終段階の上げは急速でした。このときは、2017年11月15日の安値2万3,242ドルから、2018年1月26日の高値2万6,616ドルまで、49営業日で3,374ドル幅の上昇となっています。速度は、1営業日68.8ドルの上げの速度です。

リーマンショックのときの下げは、9月の最高値1万1,790ドルをつけた9月2日から、10月の最安値7,882ドルをつけた10月10日までの下げ幅は、29営業日で3,908ドル幅となって、1営業日134.7ドル幅の速度となっています。

今回は、昨年末から2月22日までの時点で、1営業日が105.8ドル幅の速度となっています。過去の上げ下げの速度と比較しても、かなり急激な動きであることがわかります。

Next: NYダウはどこまで上昇することができるのか?



強い抵抗とみられる2万6,951ドルへ接近は難しい

以前より書いている通りNYダウは、昨年10月の高値2万6,951ドルが戻り高値になって、今後の価格が1万9,222ドル以下を目指す動きになる可能性があります。

変動幅が過去の年間の変動幅を越える動きになっていること、速度が急激である(急激な動きは数か月も続かない、一時的なもので終わる)ことなどを考慮すると、NYダウはこのまま上昇を継続して、一気に強い抵抗と見られる2万6,951ドルへ接近するまで上げる展開を想定できません。

だとすれば、以前に当メルマガでも書いた通り、昨年11月8日の高値2万6,277ドルを前に上値を抑えられると見る方が妥当です。

目先、上昇を継続する場合でも、2月22日の終値が2万6,031ドルなので、あと246ドル幅しか上げ余地がありません。

これまでの経緯を考慮すると、この値幅は1営業日で到達できる値幅です。急激な上昇の終点は、急激な変化によってあらわれるというチャートの経験則を考えれば、25日には上値を抑えられる動きがあらわれると考えられます。


図表1は、1月から2月にかけての日経平均株価日足と同じ期間のNYダウ日足です。

NYダウは、昨年末から一本調子の上昇の流れになっているにもかかわらず、日経平均が1月に横ばいに推移しています。

1月のドル円が月初の急激な円高の後、円安に推移しているので、この上値の重さはドル円によってあらわれている動きではないと推測できます。

図表2-1 日経平均株価とNYダウの展開その1

図表2-2 日経平均株価とドル・円の展開その1

過去に似た展開を探すと、2018年7月から10月上旬にかけて(図表2-1を参照、図表2-2は日経とドル・円の比較です)、2017年11月から2018年1月にかけて(図表3-1、3-2を参照)、

図表3-1 日経平均株価とNYダウの展開その2

図表3-2 日経平均株価とドル・円の展開その2

2016年2月から4月にかけて(図表4-1、4-2を参照)

図表4-1 日経平均株価とNYダウの展開その3

図表4-2 日経平均株価とドル・円の展開その3

などが似た展開となっています。

Next: これらの動きを参考に、今週の日経平均はどう動く?



今週、NYダウと日経平均は戻り高値を試す展開

過去の値動きでは、NYダウが戻り高値をつける数日前の上昇場面で、もちあいとなっていた日経平均株価が3~5営業日程度で一気に上げ幅を拡大して、その後、数日間の小幅なもみ合いを経過して、NYダウ、日経平均株価が同じ日に戻り高値を確認して、大幅な下げ場面へ入る展開となっています。

今回も同じ値動きになるなら、日経平均株価の2月8日~18日までの上昇が戻り高値をつける数日前にあらわれる上げ幅拡大場面となって、現在が戻り高値を確認する作業の途中だと推測できます。

戻り高値をつけた後の下げは、一時的にせよ勢いが強く、値幅の大きなものになる可能性があります。NYダウが前週末に上昇した動きを映して、週明け後の日経平均株価は、上昇する公算です。

明日は、この上げが戻り高値をつける最終段階の動きになる可能性を頭のすみに入れておきます。


※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2019年2月25日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。今月配信済みバックナンバーや本記事で割愛した全文(NY金の展望、日経平均の今後のシナリオ)もすぐ読めます。

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『少額投資家のための売買戦略』』(2019年2月25日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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