最近、コンビニの商品の価格が上昇しています。これは何を意味するのか。消費増税を控えてのインフレ演出なのか、本当のデフレ脱却なのか。見極める必要があります。(『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』児島康孝)
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異常なデフレ現象が続いてきた日本。今回こそは脱却なのか?
忖度か、本物の価格上昇か
最近、コンビニの販売価格を見ても、明らかに商品価格の上昇が起きています。値上げ幅は、100円のものが120円になったり、150円のものが170円になったりという感じです。
これは、何を意味するのか?
コンビニ商品の価格の上昇は、消費増税を前にした「デフレ脱却」演出の忖度なのでしょうか。あるいは、本物のインフレ率の上昇が、ようやく戻ってきているのでしょうか。
どちらが正解なのかは、もう少し様子を見る必要がありそうです。
政府への忖度で値上げをしている場合は、消費者がついていけずに、再び、売れる価格まで下がってしまうパターンが多いです。値上げをしたら売れなくなるので、また元の価格に戻るという動きです。
似たような例では、ミスタードーナツが一部の店舗で高価格化を行いましたが、売れなかったため、再び、元に近い価格に戻したというパターンがあります。これは、「値上げの失敗」ということです。
一方、本物のインフレ率の上昇が始まっている場合は、デフレ脱却のメカニズムが動き始めます。
デフレ脱却のメカニズムとは
今回の、長いデフレ不況が、本格化したのは、1990年代の終盤です。
まず、金融危機が起き、そのあとに、商品価格の下落が起きました。当時は、格安航空会社や、100円バーガーが登場し、低価格で話題となりました。「価格破壊」という言葉が、テレビでも、盛んに、ニュースになっていましたね。
デフレは、商品価格の下落だけなら、弊害は小さいのですが、最大の問題は、時間差で、賃金や雇用に、デフレが波及することです。
航空運賃や、ハンバーガーが値下げされて、喜んでいるうちに、賃金でもデフレが起きて、雇用が破壊されました。
雇用の破壊こそが、デフレの最も悪い面なのです。
そして、雇用の破壊、需給バランスの崩壊で、ブラック企業が、幅をきかせる世の中になりました。
正社員は減り、不安定な非正規雇用、契約社員や派遣社員が激増しました。
一方、デフレ脱却の場合は、これとは逆のことが起きます。
まず、商品価格が上昇。これは、消費者の財布を直撃しますから、当初は、歓迎されません。しかし、時間差で、価格の上昇が、雇用にも波及します。
賃金も、いわば「値上げ」で、上昇し始めるわけです。
こうして、歓迎されない、商品価格の値上げが、徐々に、雇用の改善に、波及していくわけです。
Next: インフレや預金金利を知らない世代が増加中。この物価上昇が偽物だったら…
はたして本物? 偽物?
問題は、最近起きている商品の値上げが、本物であるかどうかです。
本物である場合は、時間差をおいて、賃金も「値上げ」されてきます。雇用が良くなってくるということです。
今回は、消費増税のタイミングが絡んでいますから、いわば、官製・業界主導の値上げの可能性も疑う必要があります。
インフレ率上昇の「演出」ですね。
これはどうなのかは、もう少し推移を見ないとわかりません。
一方で、自然な価格上昇が始まっている場合は、長かった日本のデフレがようやく終わる兆しを示しているといえます。
インフレや預金金利を知らない世代が増加
最近の日本では、ずっと、商品の値札を変えないというのが普通でしたが、1990年までのインフレ率があった日本では、値上げにしたがって、毎年、商品の値札が変わるというのが普通だったのです。
今の日本では、インフレ自体を体験したことがない世代が増えているという、異常な状態です。
そして、インフレ率と金利はつながっていますから、預金に金利(利息)がつくことを体験したことがない世代が日本では増えています。
預金って、金利がもらえるの?そんな経験したことない!という、異常なデフレ現象が日本ではずっと続いてきたわけです。
今回のコンビニなどでの商品価格の上昇が、自然なインフレ率の上昇であれば良いのですが、はたしてどうでしょうか?
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『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』(2019年3月1日号)より抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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