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不人気銘柄が注目されないのはなぜ?利益を上げているのに人気化しない9つのワケ=炎

きちんと利益が出ている企業は見向きもされないのに、いつ利益がでるかわからないような企業に投資マネーが集中する株式市場。その理由はどこにあるのでしょう?(『億の近道』炎のファンドマネージャー)

プロフィール:炎のファンドマネージャー(炎)
小学生から証券会社に出入りし、株式投資に目覚める。大学入学資金を株式の利益で確保し、大学も証券論のゼミに入る。証券会社に入社後は一貫した調査畑で、アナリストとして活動。独立系の投資運用会社でのファンドマネージャーの経験も合わせ持つ。2002年同志社大学・証券アナリスト講座講師を務めたほか、株式漫画の監修や、ドラマ『風のガーデン』(脚本:倉本聰)の株式取引場面の監修を行う。

動きそうもない株の見落とされた視点を考える

きちんと利益が出ている企業ほど評価がひくいのはなぜ?

いつになったら利益が生まれるのか分からないような企業の評価が高く、きちんと利益が出ている企業ほど評価が低いといった理不尽な現象が昨今の株式市場では随所に見られます。

もちろん業績の見通しをしっかりと示せて、機関投資家や外国人投資家の関心が高い銘柄が数多くありますので、基本的なポートフォリオはそうした銘柄でできているものと思われますが、個人投資家のホットマネーは株価の変動を求めてうごめいていることも事実です。

短期投資家は市場の潮流についていこうと、人が集まっていて押し合いへしあいが見られるところにリスクマネーを投じがちです。一方では、それに乗じて利を確保して次の現場に向かう仕掛け人風の人たちがうごめいているようです。

出来高は人気のバロメーターであり、その出来高をチェックしながらリスクマネーを投じてリターンを上げるまでの時間短縮に勤しむ投資家も多いと思われます。

一方では急ぐお金ではないと、株価下落と基本的な業績の安定した成長で割安感が出てきた不人気銘柄に対しじっくりと投資しようとされている投資家もお見えです。

急ぐお金はIPO銘柄や創薬ベンチャー、テーマ株、材料株に向かいますが、全く動きのない銘柄が時には偶然とは言えいきなり人気銘柄になることもあって、摩訶不思議な株式相場に身を置くと何が良い投資方法なのかと考えさせられます。

株高の変動を見ていると基本的には助走段階から始まり、ピークを打つまでの途中の踊り場や一定の調整場面を経て仕上げのような株高に至るパターンを目の当たりにすることがあります。

中途半端に取り組むとフルコースを食べずに前菜だけで帰ってしまうこともあって、その場合は地団駄を踏むことになります。

もう少し待っていれば、もっと凄いリターンを上げられたのにと悔やむことしきりですが、ピークではなかなか売れないし、反対にボトムでも買えないことしきりです。

株式相場で儲けるには尻尾と頭は人にくれてやるぐらいに割り切った方が良いと昔から先人たちが教えてくれています。

Next: 戻り高値を試す株式市場のなか、現在の人気銘柄の傾向は?



花形銘柄だけに人気が集中

売りは出来高を見ながら利益確定、売り上がり、時間分散。買いもボトム圏と想定しての2~3回の時間分散というのが基本的な投資スタンスと言えます。

基本的にはそうであってもなかなか実践は難しいものですが、敢えてボトムを買おうとせず、トレンドや出来高を確認しながら人気化の直前で投資することも一考の余地あり。ほれこんだ銘柄は、なかなか手放すのが大変ですが売りも基本は時間分散と言えます。

過熱感が出るまで待つスタンスでしょうが、長期に人気離散が続いた銘柄の人気化場面での売りがなかなか難しいものです。

時に見切りも必要ながら、せっかくの上昇場面でいかにリターンを上げるのか、投資家の経験と力量が問われます。

戻り相場を展開中の株式相場ですが、ボトムから2か月を経過した現在でも動きそうにない銘柄が山のように存在する株式市場です。低PER、低PBR、高配当利回り銘柄が不人気なのが現在の株式相場の特徴でもあり、限られた資金での運用のためか人気の花形銘柄が一部に偏っている二極化相場の展開が見られます。

そうした銘柄とは対極にある、実体の価値からは割安感があっても株価が見向きもされないまま低迷状態となっている不人気銘柄こそ面白いのではと、先日あるベテラン投資家は私にその見落とされた投資ポイントを調べてほしいとの依頼がありました。

そのベテラン投資家はなかなかAIだとか創薬ベンチャーだとかテーマ株、時流に乗りそうな銘柄にはついていけないとしていますので、キャッシュリッチで株式市場での評価の低い銘柄にコツコツと投資するスタンスのようです。

ベテラン投資家の銘柄リストにはかつては大化けした平田機工<6258>やSBSHD<2384>などが入っていましたが、現在ではそれらはなくなりテノックス<1905>、ウエスコHD<6091>、協立エアテック<5997>、ヤマト<1967>などが残っているようです。

うーん、たしかにいずれも評価が低い。何でまたそんな動きそうもない銘柄に関心を持っておられるのか…。これについては今は内緒にしておきます。いずれわかる時がくるかと思います。

Next: 不人気銘柄がなかなか注目されない9つのポイントとは?



割安中小型不人気銘柄の見落とされた視点

不人気のまま株価が安く放置されてしまう理由について、次の9つのポイントが当てはまるようです。

1.流動性の低さ

あきらめの境地で売り叩く動きが見られるとボトムとなるタイミングが接近する。出来高がどこまで増加するのか、信用取引の期日などもあって出来高がどのように増加するのかがポイントと言える。過去の株価のピーク時にどの程度のデイリー、ウィークリー、マンスリーの出来高があったかをチェックしておくと良い。

2.浮動株

発行済み株式数のうち、売り買いの対象となるのが浮動株。上位10位以上の投資家に加え上位20位までの大口投資家が買い増すのか、どの程度保有しているのかに関心を持っておきたい。浮動株が大口投資家やファンドなどの買いで少なくなってくれば株価は動きやすくなるはず。

3.大株主

何でこの株をオーナー以外の投資家が保有しているのかが気になる。かつてはお菓子屋さん経営の竹田和平さんが話題だったが、このところは光通信の存在が気になる。福田商事も時々目にする法人投資家で高配当利回り銘柄を保有している印象。

4.セクター

市場で人気のセクターは基本的にはIT系、創薬系、Eコマース、各種サービス系、各種技術系など。分野ごとにパイオニア的な存在には関心が持たれやすい。現状の不人気セクターとしてはゼネコンをはじめとする建設、土木、住宅、消費関連など。これは緊縮財政と消費税増税がネックとなっている結果だろう。一方で、日本国の災害の多さから再び建設セクターが見直される要素がある点は絶えず念頭に入れておきたい。

5.二律背反

リスクマネーは思惑を呼ぶセクターに向かいやすい。上げトレンドにある銘柄にこそ買いが五月雨的に入っていくので短期マネーが集中しやすい。二律背反のため、これらに人気集中する間は不人気セクターにはなかなか短期のホットマネーは向かわない。但し一旦この流れが何らかの理由で変化すると一気に形勢逆転となる可能性もある。

6.IR

不人気銘柄はIRが下手くそ。くそまじめにお仕事をするだけでは、今の投資家はなかなか乗ってこない。説明会をやったとしても通り一辺倒では伝わるものがない。この場合、孫社長のような天才肌の経営者のプレゼンが参考にはなる。いかに未来を語り、投資家に夢が与えられるのかがポイントと言える。

7.配当性向と配当利回り

人気銘柄は結果として、配当利回りが低下し市場平均を下回ることが多い。中には配当性向を100%にして配当利回りを高めにしている企業もあるが、概ね人気が高い。ただ、本来はできるだけ配当性向が低くて増配余地が高い企業に投資すべきだろう。基本的には配当性向を徐々に高めるスタンスの企業には注目したい。

8.PER

不人気銘柄のPERは低いのが一般的。成長性の無さを見透かされた結果だが、それでも継続的に業績を上げ得る銘柄も見出せる。中期計画の設定がそのヒントになる。

9.PBR

不人気銘柄のPBRは極端に低い。1倍割れどころか0.5倍すら割り込んでいる銘柄が見出せる。しかも保有している現預金よりも時価総額が小さい事例が見出せる。セクターの事情もあろうが、こうした株は発行株を現預金で企業に買い取ってもらい上場廃止にしてもらうべきだろう。かつて基礎工事会社の三信建設が配当に不満を持っていた個人大株主と筆頭株主(日本国土開発)の保有株式売却で建機レンタル会社アクティオ社に買収されたが、既にこうした事例があるということは、今後もありうると考えられる。

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億の近道』(2019年3月4日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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