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韓国の出生率が急減。日本元凶説を唱えて経済混乱をもたらす文在寅政権「3つの大罪」=勝又壽良

昨年の韓国の合計特殊出生率は、人類が経験した最低の「0.98」に落ち込みました。人口が減少に転じることは国家の構成要因の1つに黄信号が出たことになります。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2019年4月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

韓国の人口は、2019年5,165万人をピークに減少に転じる…

「元凶は日本」という考え

韓国の文在寅大統領は、内政問題を棚上げして、南北統一親日積弊一掃を政権の目標にしています。南北分断は、日本が朝鮮半島を植民地にした挙げ句、太平洋戦争に敗れて撤退した結果、起ったものと見ています。この視点に立てば、日本が元凶ということになるのでしょう。

文氏は、この「日本元凶説」に立っているので、北朝鮮の「金ファミリー」が政権を独占し、人権弾圧を行なっていることにも寛容な態度を示しています。現に、米朝首脳会談が決裂してもなお、南北交流事業促進論を主張しています。そうでなければ、文氏の主張する親日積弊一掃と矛楯するからです。

コンプレックスに悩む韓国

文氏は、3月1日の「3・1節独立運動100周年」にあたって、親日積弊一掃を訴えました。これは、政府の唱える「官製民族主義」と言えるきわめて危険な呼びかけでした。過去の日韓併合時代の遺物を掘り返し、改めて日本への敵意を強調したからです。これをきっかけに、韓国内では、反日気運が盛り上がっています。ある自治体では、小中高で購入した日本製品に「日本戦犯企業」のレッテルを貼り付ける条例制定が検討されたほどです。この動きは、さすが政府や教育関係者の反対で沙汰止みになりました。

一方、「親日」が作詞・作曲した校歌の廃棄など、騒ぎが広がっています。ただ、作詞・作曲しただけで、日本を褒め讃えた部分はないにもかかわらず、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という、徹底的な親日積弊一掃運動です。中国の「文化大革命」にも喩えられるでしょう。

「文化大革命」(1966〜77年)は、毛沢東が失った権力を取り戻すベく、若者を「紅衛兵」に仕立てて約10年間、中国全土で暴れまわり大混乱に陥った事件です。得たものは何もなく、毛沢東の死去で自然消滅しました。文氏は、親日積弊一掃で日本への憎しみをかき立てていますが、これは成功するでしょうか。韓国の植民地コンプレックスを肥大化させるだけで、さらに深い矛楯に落込むように思われます。

朝鮮民族のコンプレックスを解決した韓国人学者の例を取り上げます。

ソウル大学名誉教授の金允植(キム・ユンシク 1936〜2018)氏は、若き日に東大へ留学したそうですが、どうしても知的コンプレックスから抜け出せず悩みました。そこで、日本の文芸評論家で、かつ夏目漱石の著名な研究者である江藤淳氏(1932〜99)に、漱石が抱えていた悩みを聞いて氷解したというのです。漱石は、文部省の海外留学として、英国留学で近代化の洗礼を受けました。その文化的なショックの余り、ビクトリア朝のロンドンの夜の街をさまよったほどでした。漱石は、その苦悩の過程で日本人としてのアイデンティティを確立したのです。

日本は、こうして後進国の悩みを自ら解決し、近代化に取り組んだのです。金允植教授は、韓国も日本を媒介にして近代化を開始したのだと認識し、知的な劣等感を克服したと言われます。以上の話は、『朝鮮日報』(3月31日付け)の「金允植教授の寄付と克日」と題するコラムからの引用です。

文大統領には、朝鮮近代化の「水先案内人」が日本であったという事実を受け入れないのです。近代化の果実を認めるが、それは朝鮮人の力で成し遂げたと自負しているのです。

ここが韓国朱子学の最大欠陥でしょう。朝鮮人は道徳心が高い民族である。その朝鮮人が、道徳心の劣る野卑な日本人の植民地にされた。これは、屈辱以外の何ものでもない。現代の韓国は、是が非でもその汚名をそそがなければならない。同時に、南北統一への準備をすすめ、日本と対抗すべきである。こういう、民族主義の主張であることは疑いありません。

韓国が、慰安婦問題や徴用工問題で被害者の立場を強調し続けている裏に存在するのは、朝鮮民族の誇りを汚されたという1点でしょう。その怒りは、人権問題につながり永遠の怒りであるとしています。

文氏は、この流れを利用して、与党政権の永久化を狙っています。経済面で失敗しても、民族主義を昂揚させれば、それで糊塗できると安易に見ているようです。この企みは、完全な失敗に終わるにちがいありません。

Next: 支持率低下原因は経済と北/足下を揺るがす出生率急低下



支持率低下原因は経済と北

韓国ギャラップ社は3月29日、最新の世論調査を発表しました。これによると、文政権の支持率は就任後最低を記録しました。支持率43%、不支持率46%でした。不支持の理由が、次のように興味深いものでした。

文大統領を「支持しない」主な理由は、次の項目に表れています。

1. 経済と庶民生活の問題解決が不十分(36%)
2. 北朝鮮との関係で親中的、親北的な傾向(16%)

上記の項目に私のコメントをつけます。

(1)経済と庶民生活の問題解決が不十分:政治の最大眼目である経済問題の解決に取り組んでいないのです。最低賃金の大幅引き上げによって、庶民は雇用の場を失いました。自営業者は、庶民に働く場所を提供してきました。最賃大幅引き上げによって、自営業自体が営業を圧迫されています。こういう状態が、すでに15ヶ月も続いているのです。その弊害は、失業率の上昇や自営業者の倒産、帰農者の急増など、これまでに見られなかった現象が起っています。

(2)北朝鮮との関係で親中的、親北的な傾向:従来の中国や北朝鮮への警戒姿勢は吹き飛び、融和論が圧倒的になっています。朝鮮戦争を仕掛けてきたのは中朝であることを忘れたかのような振る舞いです。すでに、北朝鮮への「主敵論」が消えており、代わって日本を「主敵」にすることを始めています。予備役軍人の講習会では、北朝鮮への「主敵」なる言葉が消え、講師の話には秀吉時代の朝鮮出兵が話題にされ、「日本主敵論」の印象を与えたと指摘されています。文政権は、韓国軍に対して180度も違うことを示唆し始めています。

文政権は、民族主義を前面に立てていますが、韓国国民をすべてこの線に「教化」できるはずがありません。それは、前記の世論調査に見る支持率の低下に表れているのです。文政権の問題は、民族主義という感情論で国民を煽り、韓国が直面する危機を隠す点にあります。

その1つは、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に生む子どもの数)の急低下です。

足下を揺るがす出生率急低下

昨年の合計特殊出生率は、人類が経験した最低の「0.98」に落ち込みました。1国の人口が、横ばいを保つために必要な合計特殊出生率は「2.08」です。韓国は、この半分にも満たない水準に落込んだのです。国家の構成要因は、領土・国民(人口)・主権です。人口が減少に転じることは、国家の構成要因の1つに黄信号が出たことになるのです。民族主義を煽っている間に、足下の人口が減ってきたという大変皮肉な結果が出てきたのです。

ここで、最近の合計特殊出生率の推移を見ておきます。

2014年:1.21
2015年:1.24
2016年:1.17
2017年:1.05
2018年:0.98

この推移を見ると、韓国の政治状況を反映しています。16年秋から始まった朴大統領弾劾で国中が騒然となり週末には、ソウルで「100万人ロウソク・デモ」が行なわれました。これでは、国の将来に希望が持てなくなって当然です。出産に対して慎重になったのでしょう。それが、17年の合計特殊出生率の低下に表れました。そのうえ、文政権の経済政策が非現実的であることです。妄念に酔った政策としか言いようのないもので、悲観論が一段と高まっています。

こうして18年は、ついに0.98と史上最悪の事態になりました。ここで下げ止まる保証はありません。最近の失業率の上昇や婚姻数の減少から、合計特殊出生率はさらに低下が見込まれます。文政権が続く限り、出生率の上昇は期待薄と言えるでしょう。若者は経済的に絶望し、結婚・出産に無関心という危機的な状況なのです。高い失業率になっても、最低賃金の大幅引き上げを手直しする動きはまったく見られません。文政権の支持基盤である労組との政策協定に縛られているのでしょう。

Next: 韓国の人口は2019年5,165万人をピークに減少に転じる…



韓国の人口は2019年5,165万人をピークに減少に転じる…

韓国統計庁は3月28日、将来人口推計を発表しました。昨年の合計特殊出生率が、0.98に低下した結果、総人口は早ければ2019年の5,165万人をピークに減少に転じる見通しとなりました。これまでの想定よりも10年も早い「人口ピーク」の前倒しです。

これは、韓国の社会保障制度に大きな圧力を加えます。年金財政がそれだけ早く負担の前倒しになります。一方、教育機関は子どもの数の減る時期が早まります。教師の減員計画を早める必要に迫られるのです。

韓国の総人口5,165万人が、67年には3,365万人まで減るという見通しです。一方、北朝鮮の総人口は、2,549万人(2017年)です。合計特殊出生率は1.8台ですから、北朝鮮が人口増対策に動き出せば、遠い将来に南北逆転もあり得ます。北が、核を持ち続ければ韓国にとっては2重の意味で脅威となるでしょう。

韓国の安全補償にとって危惧されることは、昨年の南北による「9・19南北軍事合意書」の存在です。北朝鮮が軍事合意を根拠にして、韓国の国防計画にまで干渉し始めているのです。北朝鮮の労働新聞は2月、韓国国防部の「2019〜23国防中期計画」に対し「朝鮮半島の恒久的平和を望む同胞の念願に対する挑戦」と責め立てたのです。

また、韓国合同参謀議長が旧正月の連休に軍備態勢をチェックしたことに対して、南北の「対話と平和の時代的流れに逆らっている」と難癖を付けました。韓国軍が、「北朝鮮の許可なしには何もするな」と言わんばかりの要求をする事態になっています。

国防は、国家主権の最たる例です。それが、北朝鮮の容喙(ようかい=くちばしを入れる)を許すことになれば、韓国は国家としての3要因(領土・国民・主権)の1つである主権への干渉を認めたと言わざるを得ません。

文氏は韓国の将来に禍根を残す

文在寅政権は、韓国の将来に対して大きな禍根を残しつつあります。

第1は、官製民族感情を煽ることによって、親日積弊一掃を公然と打ち出しており、潜在的な反日意識に火を付けながら、南北統一=北朝鮮同調への動きを高めています。文氏は、南北統一によって日本への対抗軸を形成しようと画策を始めたと見られます。北朝鮮との間に、漠然としたものでも暗黙の了解があるのでしょう。韓国の反日戦略は、全開の感じがします。

第2は、最低賃金の大幅引き上げによって、韓国経済の基盤(自営業)を破壊したことです。失業のために田舎の親元に帰る「帰農者」が急増しています。失業率の増加は、出生率の急低下をもたらし、総人口のピークを10年も前倒しさせ、社会保障制度に大きな負担を掛けています。これは、韓国の潜在的な成長率低下をもたらします。

第3は、北朝鮮が韓国の安全保障政策に干渉する口実を与えたことです。北朝鮮が核放棄を約束しない段階で、早くも「9・19南北軍事合意書」を盾に、韓国の軍事政策に干渉しようとしています。これは危険なことで、北朝鮮のコントロールを受けるリスクを表しています。

以上の3点を要約すると、文政権は国家の基本概念3つのうち2つ、人口減と主権干渉のリスクを増やした政権であると言わざるを得ません。民族主義に名を借りて、韓国を北朝鮮へ売り渡すような危険な政権にも見えるのです。

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・経済混乱で出生率急減、韓国の未来を踏みつける文在寅の「罪」(4/1)
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勝又壽良の経済時評』(2019年4月1日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。

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