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退職一時金と企業年金はなにが違う?余裕ある老後のために適正な使い道を考える=牧野寿和

65歳になるともらえる基礎年金と厚生年金のほかに、人によっては退職一時年金と企業年金を受け取れる場合があります。今回はその使い道について考えてみます。(『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』牧野寿和)

プロフィール:牧野寿和(まきの ひさかず)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えて
くれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。

退職一時金と企業年金の内容をちゃんと確認していますか?

公的年金に上乗せされるもの

原則65歳になると、事業主、専業主婦の方などは、老齢基礎年金(国民年金)が、厚生年金適用事業所つまりサラリーマンとして会社に勤めた方、または、勤めた経験がある方会社経営をした方公務員だった方などには、その勤務期間や報酬によって計算される老齢基礎年金に加えて、老齢厚生年金を受け取ることができます

老齢基礎年金や老齢厚生年金といった公的年金制度のお話は、既にここまででも複雑になっています。さらに複雑な部分もありますので、別に機会を設けてお話したいと思います。

ここでは今回のテーマである、退職一時金と企業年金の使い方に絞って、はなしをすすめてまいります。

退職一時金や企業年金は、退職する時にすべての勤め先からもらえるものではなく、いわゆる「退職の規定」が定められている勤め先を定年退職に限らず、その企業を退職する時にもらえます。つまり、公的年金に上乗せしてもらえるものです。

退職一時金と企業年金

退職一時金と企業年金は、

・勤め先から両方もらえるところ、
・退職一時金と企業年金とどちらかだけ

もらえるところなどがあります。

ただ何年か以上務めないと、退職一時金も企業年金のもらえる対象でない場合もあります。

まず現役中に、退職したらどのようにもらえるのか確認しておくことが大切です。

また、退職一時金は文字通り、退職する時に1回もらえるだけですが、企業年金は退職後10年間とか期限を定めて、有期にもらえる規定のある、また生きている間、終身でもらえる規定がある、など、年金が受け取れるのであれば、退職後何年もらえるのか、こちらも現役中に勤め先に確認しておいた方が良いでしょう。

なお、退職一時金と企業年金のどちらか選択して受け取る場合は、一般的には受取総額は一度にもらうより年金でもらった方が多くなると言われています。

Next: 退職一時金と企業年金の違いと、最適な使い方とは?



退職一時金と企業年金の使い道を研究する

では、具体的に退職一時金と企業年金は、どのように使ったらよいのでしょう?

  1. 株式や投資信託の運用資金にする
  2. 住宅ローンの返済資金にする
  3. 旅行や趣味に使う
  4. 自家用車を買い替える
  5. 自宅の修繕費など今後の使用計画を決める

よく相談にみえる方が言われます。

しかし根本的なところで、退職一時金も企業年金も老後の生活をする資金の一部ということです。

現役中の家計収支の額は、老後の生活に入ってもあまり増減しません。

どちらかといえば、医療費や介護費用の支払いで家計支出は増える傾向にあり、その増加する支払いを支えていく資金が退職一時金であり企業年金と考えても、考えすぎではないと思います。

では、具体的に使い道を考えてみましょう。

上記のうち(1)の金融商品などの運用資金にすることは、現役中にすでに運用を経験して、収益を得たり損失を被ったりその経験を積んだ方であれば良いのです。

しかし、今までに元本が保証されている銀行の定期預金などのみの経験の方が、歳をとってから元本保証のない金融商品に投資して資産を維持していくことは、危険な行為だと思います。

(2)の住宅ローンの返済に使うことはこのコラムでも何度かお話していますが、住宅ローンの返済期間の初めの方は、毎月の返済額の多くは利息分に返済の割合が多く、繰上げ返済をするとことで借入額が減少し、その分利息の支払い額も減る。また、返済期間も短縮できました。

しかし返済期間の終盤に入ると、毎月の返済額のほとんどが元本分の返済で、退職一時金や企業年金を返済に使っても、たしかに予定よりはやく完済できたという、こころの安らぎを感じることはできるかもしれませんが、元来、退職金一時金や企業年金は老後の生活に使うものです。

ここで住宅ローンの返済費用に使ってしまうと、75歳と80歳頃になって家計が破たんしかねない、客観的なシミュレーションを私は何度も作成しています。

住宅ローンの返済は、少し無理をしてでも現役中に済ますべきでしょう。

使い道の決め方

このように考えますと、まずは、現役中の家計収支の額を算出する。

老齢基礎、厚生年金といった公的年金のもらえる額をねんきん定期便などから推測する。

退職一時金と企業年金の受取額も推測する。

そして、男性の平均年齢82歳、いろいろ女性87歳より少なくても5年先までの家計収支の表をつくり、そのなかに、数値化して予算を入れてみましょう。

必ず、現役中に行ってください

老後の生活に入ってからでは、何もしないまま1年や2年はすぐに過ぎそのあいだに、退職一時金や企業年金、また公的年金も加速度的にご自身の元から旅だって行ってしまうかもしれません。

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【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』(2019年4月3日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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