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先進国マネーの高齢化で世界の投資市場が縮小し、世界景気はピークアウトへ=山崎和邦

米国上場の日本株ETFの純資産残高は、2017年1月以降減少が続いている。世界景気が間もなくピークアウトを迎えるにあたり、注意すべきポイントを紹介する。(山崎和邦)

※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』』2019年4月7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

直近では、5月20日のGDPの四半期別発表も注目

「緩やかに縮む」

標題の文句は30日(土)日本経済新聞の証券記事の記名入り記事の見出しである。世界の先進国マネーの高齢化という構造問題が根本にあって、投資市場が緩やかに縮小しているというのだ。

世界景気が間もなくピークアウトを迎えることが市場の通念になっている。通念というものは居心地良く、証明されないままそこに定着するものだ。

先進国の投資マネーが高齢化に伴い株式市場から退場し、社債等に向かう相場は「先進国マネーの高齢化だ」という。現に、米国上場の日本株ETFの純資産残高は一昨年1月以降減少が続いている。

個人マネーの株式投資の受け皿になっているのが投資信託である。この投資信託経由の株式買いが減っていることが昨今の売買代金が振るわないこと、出来高が振るわないこと、膠着状態から進まないことの内部要因となっており、その根本は米中貿易戦争・BREXITの問題・欧州各国のポピュリズムの台頭等々いろいろあるが、ひとことで言えば世界景気が間違いなくピークアウトを迎えるということである。

“Sell in May.”と言うが…

必ずしも特別に“Sell in May.”が正しいということでもないが、昔から言い慣わされていて、それなりに納得のできる年もある。

今年は5月20日のGDPの四半期別発表がかなり悪いという予測がある。そのためには5月の連休前後から景気対策めいた市場刺激策を少しずつ出していくのではないかという話しもある。

その時に日銀の追加緩和があるという説が市場に流れれば、(第2次緩和の14年10月の「黒田バズーカ砲第2弾」と言われて株式と為替市場に劇的な上昇を生んだが)、これとは逆に今度の追加緩和は「追加緩和=景気後退近し。∴ 追加緩和=景気対策=景気後退近し」と読むべきであって、本当は株式売り材料なのだ。

もしそこで短期的にでも上昇相場があれば、それは本質的に中間反騰であるから絶好の売り逃げ場面をつくってくれることとなろう。

Next: 今後の相場にますます大きな影響を与える、機械取引



機械が動かす相場と業績を巡る強弱感

いわゆる「機械取引」と呼ばれるものは、ますます盛んになると思う。これは方向感が定まらないときに短期ヘッジファンドが稼ぐ手段であって、弱気を示す言葉がいくつ出れば何パーセント売る、強気を示す言葉がいくつ出たら何パーセント買うということを自動的に機械に仕組んで機械が自動的に売買を繰り返す制度であって、場合によったら売りが売りを呼ぶ、買いが買いを呼ぶ、という一方的な無機質な相場になる場合がある。

筆者が2~3年前から、近頃の相場は場味(ばあじ)とか地合いとかうねりというものがなく、一方的に一直線で上がるか一直線で下がるかの、誠に無機質なものになっていると述べてきたが、これは機械がやるからであってヒトがやる相場ではないからであろう。これが新年度入りから盛んになると思う。

もう一つは企業業績を巡る強弱感であろう。

今まで出てきた色々な悪材料、米中貿易戦争・米景気のピークアウトの感・日本に景気のピークアウト感・BREXIT・欧州ポピュリズムの台頭等々の他にボラティリティを見て、自動的に株式売買を決める「機械取引」が盛んになることと19年度の企業業績の発表が波乱材料となり、また5月20日発表のGDPが下向きになることが一つの材料となる。

今後の市場の根っこにあるものの一つ、米中貿易協議

これは今後も一進一退で続き、決して簡単には解決される問題ではない

今後市場を翻弄する話題を提供することになるであろう。またその内容を巡り、米政権内においても綱引きが行われ、トランプは来年の選挙のためにこれを「両国が密接に建設的な議論を通して進展を続けている」と公式発表する度に、株式市場は小反発し、その実態は安全保障問題にまで関わることをまた思い出しては反落する、ということを繰り返すであろう。

昨年の11月の首脳会談で「90日間の休戦」に合意して以降、株式市場では安心買いや不安売りが繰り返されたが、あれ以降に閣僚会議が4回開かれた。トランプは大幅に進展したということを理由に来年の選挙向けの発表をするであろうが、最終的な合意というものは、暫くはあり得ないであろう。昨年10月のペンス米副大統領の演説が「米中新冷戦の宣戦布告」であるという見方はある意味では正しいと思う。

トランプは米中の首脳会談を4月に控え、「悪い取引ならば立ち去る」という構えでいるらしいが、筆者が思うにはこれはポーズであって、「両国は建設的に進展している」と結果的には述べるであろう。そして来年の選挙に備えるのであろう。米中協議はもし本当に決裂したならば、大変なことになる。これは2月末の米朝首脳会談が物別れに終わったのは重さが何百倍も違う。当面の目安となる首脳会談の決着の期限は4月末と言われている。

「米中貿易戦争」の影響が現実化してきた。米の1月の貿易統計によれば、対中国ものの貿易赤字は前月比14%減った。対中赤字の縮小は2ヶ月ぶりである。輸入が12%減り輸出も3%弱減った。米中が互いに課している追加関税や中国の景気減速が影響した(以上は米商務省の発表)。

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今が一番大切な時だ。そこで読者諸賢に呼びかけたい。この期間の過ごし方が一番大切であり将来を決める。

短期相場の小掬いも結構なことではあるが、これは絶対に本義ではないし没頭すべきものでもないということを読者諸賢に呼び掛けたい

当面の市況;1─相場上振れに備えコール取引が活況を呈した。相場上振れに備える動きが広がってきている

当面の市況;2─個人投資家が中小型株にシフト

当面の市況;3─老年期相場終盤特有の乱調子と膠着状態

部門別トップアナリストの19年の相場の見方

今後の市場の根っこにあるものの一つ、米中貿易協議

「平成」から「令和」への代替わり

景気は警戒域に迫っている

中国関連株に短期資金流入

ドイツ銀行株に妙味はあるか

小型ながらトルコショックの再来

基軸通貨米ドルの地位

正統的な経済学のモデルの中には金融システムが入っていないという問題

消費税について考えること

一見30数年間も上昇持続しているNYダウは、ダウ平均の構成銘柄を入れ替えることによって行われてきた

「この道しかない」──安倍首相のフレーズの危険性

佐賀県のHさんとの「景気動向指数」についての交信(4月6日)

【 蛇足 】──「世界に悲観の資本主義はない」「厭世家の投資家はいない」

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山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2019年4月7日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。

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