ドル円は予想に反して小高い流れとなっています。終わってみれば、後付けで何とでも言えるわけですが、これが相場の難しさでもあります。まずはどうして今のドル円が堅調なのかを解説しながら、今日の雇用統計の展望について考えておきたいと思います。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)
想定レンジは1ドル=110.00~112.20円、今夜のトレード戦略は?
ユーロ安がドル高に?ドル円の支えの正体とは
今のドル円が堅調な理由については様々な要因が指摘されており、個人的に相場を紐解くのが難しくなっているように思います。
円安要因については、単純に株高からのリスクオン、それと現状はブレグジットが注目されていることもあり、欧州通貨と対ドルの値動きに市場参加者が集中していること。
さらには、値動きが鈍いことによる円キャリートレードも背景として挙げられています。
また、ドル高要因については、EU圏の経済の停滞懸念によるユーロ売りや、ブレグジット問題でポンドが売られたことによる消去法的なドル買い。
ここ最近の米中経済指標の回復、米中貿易交渉の進展期待などもドル買いに向かわせたとも言われています。
ドル円相場については、これらが複合的に絡み合って動いているのでしょうが、米長期金利(10年債利回り)が去年のピークから0.8~0.9%、実に1%近く下がり、日米金利差がこれだけ拡大しても1ドル=112円近辺を維持しているのは、かなり違和感のある状況です。
では、ドル円相場が堅調な最も大きな理由はなんなのか?それはドルインデックス(主要通貨に対するドルのレートを指数化したもの)にヒントがありそうです。
ドルインデックスを見ると、米朝金利が去年のピーク時から1%近く下がってもほぼ同等の水準を維持しており、ドルは強いままであることがわかります。
そして、このドルに対して、この1年大きく下げた通貨というのはユーロになるわけで、ユーロの弱さがドルの強さを支えていると言えるでしょう。
やはりユーロのシェアはドルに次ぐ位置にありますから、ユーロが安いとドル高となりがちです。
ユーロは経済指標の悪化に加え、ECB(欧州中央銀行)の緩和政策導入という流れから売られ続けており、このユーロが弱い流れが続く限り、目立った円高要因が出てこない限り、ドル円の下値も支えられる可能性が高そうです。
Next: ドル円の動きに変化が現れるのは…注目すべきポイントとは?
今夜は米中貿易交渉への進展期待のリスクオンが支え
長期化が予想されていた米中貿易交渉ですが、昨日、トランプ大統領が合意がかなり近づいており、4週間以内で分かるだろうとし、市場は期待感先行の流れとなっています。
なので、今夜の雇用統計が予想を下回ったとしても、通商合意への期待感が維持され続ける限り、株式市場を含めてドル円、クロス円相場の大崩れはなさそうな雰囲気。
もっとも、5月18日までにトランプ大統領は日本や欧州の自動車に対する追加関税の判断を下すことになります。
WTO(世界貿易機関)は、対中関税よりも自動車関税の方が影響が大きいと懸念を強めていますから、まだ少し先の話ではありますが、こういった話が出てくるようだと大きく円高に傾く可能性がありますから、頭の片隅で意識しておきましょう。
先行指標は回復傾向で市場は堅調な数字を予想
先行指標に関しては、前回(2月)から大きく改善傾向にあり、市場もまずまず楽観視しているように思います。
ADP雇用報告は先月の弱めの数字から一段と下振れており、懸念する声も一部にはあります。
ただし、ISMの発表する(米国供給管理協会)の発表する雇用指数に関しては、製造業が大きく改善を示しており、平均時給の上昇に寄与するのではという見方も多いです。
一般に米国ではサービス業(非製造業)よりも製造業の方が賃金水準は高いとされますからね。
ですので、非農業部門雇用者数が2ヵ月続けての+10万人未満、という数字になるなら別として、多少の下振れがあっても賃金が予想並みであれば、特段問題視はされないでしょう。
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上値を探るドル円!今夜は買いを意識して臨みたいが…
非農業部門雇用者数、平均時給共に予想を上回る堅調な数字なら、上値余地を探りながらジリジリ伸びていく展開が想定されます。
しかしながら、年初来高値が112.10円レベルであり、節目の112.00円から上は強い抵抗帯になることが予想されます。
短期的には上に行きたがっていますが、ドル円の動きが鈍い分、高値掴みをしたくないというのも本音でトレードには難しさを感じます。
したがって、非農業部門雇用者数が2ヵ月続けての一桁万人台で平均時給も前年同月比で−0.2~0.3%下振れるといった最悪の結果なら別として、ほどほどに悪い結果で下がってくるパターンに押し目を狙いたいというのが第一感ですね。
111.00円の節目や21日移動平均線(111.073円)のが支えとなる111円台前半、111.20~111.30円では軽く押し目を狙ってみたいところ。
一目均衡表の雲上限(110.751円)や89日移動平均線(110.700円)割れをメドに損切りでしょう。
今日のレンジ想定は1ドル=110.00~112.20円を想定していますが、非農業部門雇用者数、平均時給が共に予想を大きく上回るなら、おっかけ買いで日足ベースの112.80~113.00円で利食いするトレードを狙っても良いと思います。
繰り返しになりますが、米中貿易交渉の進展期待は相場全体を支えそうですから、まずはそれを意識して押し目・ロングで攻略したいと考えています。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2019年4月5日)
※太字はMONEY VOICE編集部による
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