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新社会人に告ぐ。初任給は貯金しないで投資に回せば、65歳で1億2,000万円になるぞ=川畑明美

あなたは初任給で何を買いますか?欲しかったモノを購入するのもいいですが、投資をはじめるのはいかがでしょう。働き始めると社会の仕組みや経済の話を学ぶことが多くなります。他の人と差をつけるにも投資は役立ちます。(『教育貧困にならないために』川畑明美)

プロフィール:川畑明美(かわばた あけみ)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。

人生にお金はいくら必要?60代でも思い立ったら投資を始めるべき

初任給を投資に回すという選択肢

日本では2005年以降、生まれてくる人の数よりも、亡くなる人の数のほうが多いことをご存じですか?

つまり、日本の人口は、徐々に減少しています。それに伴い「人手不足倒産」も増えています。東京商工リサーチによると、2019年3月度の全国企業倒産件数は減っているのに、「人手不足」倒産は今年最多の38件でした。

人材不足倒産は、年々増えていています。大手企業を中心に人材確保のため初任給を引き上げるというニュースも聞くようになってきました。

ユニクロ」を運営するファーストリテイリング社の例では、一気に4万5,000円のアップです!
※参考:ユニクロなど運営 初任給2割引き上げへ 人材確保で来春から – NHKニュース

このアップした4万円で、投資にチャレンジしてみませんか?

投資はギャンブルではない

「投資はギャンブルみたいなもの」と誤解されている方もいますが、投資とは「確実に増やす」ものを投資と言って、ギャンブルのように「当たり・ハズレ」があるものではないのです。

ただし、投資で安全確実に増やすには「時間」が必要なんです。

少し考えて欲しいのですが、景気には、良い時と悪い時がありますよね。景気が良い時は、株価が高いです。その株価が下がると、やがて景気も悪くなります。

投資でお金を増やすには「安く買って高く売る」これしかありません。

ですから株価が下がった時に、株や株価に連動する投資信託などを購入して、株価が上がった時に売却して、また下がった時に、その売却した資金で購入することを繰り返していけば、お金が複利で増えていくのです。

定年までに約1億2,000万円の資産ができあがる

複利の効果はとても大きいです。入社してから毎月4万円を42年間積立てで投資信託を購入して、平均リターン7%で運用できたとすると、約1億2,000万円になります。

つまり、定年までに億り人になれるのです。

また適切な時期に売買するには、社会の仕組みを学び経済ニュースを聞いたりすることも必要です。そして、その知識の多くは、社会人として役立つものでもあるのです。

Next: 人生にはたくさんのお金がかかる。無計画に貯金していていいのか?



貯蓄は何のためにするのか

「お年玉は貯金しなさい!」と、子どもの頃に親に言われませんでしたか?

でも、貯金って、何のためにするのでしようか?

お金を貯めるのは、月給では買えない大きな買い物をするために貯蓄をするのです。特に人生の3大費用と呼ばれる、マイホーム教育費老後資金は、時間をかけてコツコツ貯めるものなのです。

結婚式をするのは、離婚防止のため?

実際に人生には、どのくらいお金がかかるのでしょうか?

まずは、結婚資金から考察します。ゼクシィ結婚トレンド調査によると結納・婚約から新婚旅行までにかかる費用の総額(全国推計値)は、約463万円です。意外とかかりますよね。

でも、一生に1度きりのイベントですから、多少お金がかかっても結婚式は、するべきです。以前、NHK Eテレの番組『オイコノミア』で見たのですが、「結婚式にお金をかける」のは、離婚防止と考えられるのだそうです。

なぜ「離婚防止」なのかと言うと、結婚式で大きなお金をかけると、再婚するのにまたお金がかかるから離婚しない方が良いと考える人がいる。結婚式を盛大にするのは、離婚防止の役割を果たしている、というのです。

例として、15世紀のイギリスでは妻の実家から年収2年分を持参した記録や、アフリカの部族では、夫から妻の家に牛を贈る習慣があることを紹介していました。

教育費はかけるとキリがない

結婚式の次には、出産費用について考えてみましょう。国民健康保険中央会発表の出産費用によると、入院料と個室などの室料差額分、分娩料・検査・薬剤料・処置などの出産費用の総額は約51万円です。ただし、出産すると健康保険から出産一時金が42万円支給されますので、実際の負担額は、それほど大きくはありません。

ただし、子どもを育てるのに教育費は、大きくかかります。幼稚園から高校まで公立で大学のみ私立の場合、子ども1人当たりの教育費の総額は、約993万円です。

我が家は、子ども2人を私立中学に通わせています。中・高・大学で1人あたり1,700万円くらいかかります。子どもに「私立に行きたい」と言われた時は、とても悩みました。

当時は、毎月赤字生活でしたから、そんな大金をどうやって準備したらいいのか、わからなかったのです。そこから、一念発起して家計に投資を取り入れたのです。投資にチャレンジしたおかげで、子どもたちの夢を叶えてあげることができました。

Next: 住宅費用、老後資金…と生きるための出費は続く。総額でいくら必要?



マイホーム購入は、ローンの完済時期を考慮する

家族が増えると住宅も必要になりますね。フラット35利用者調査によると、住宅の平均購入価格は、建売住宅は約3,340万円、マンションは約4,270万円です。住宅費は、価格が大きいので、頭金を準備して住宅ローンを借りるのが一般的です。

ローンを借るのでしたら、完済の時期も考慮しましょう。労働収入がある時期までに完済するには、30歳で購入するとちょうど35年後に65歳です。最後は繰り上げ返済するとしても、ローンの完済を考えると、30代のうちにマイホームは手に入れたいですね。

老後は健康でいられることが一番の節約になる?

そして、収入がなくなる前に老後資金も貯めておく必要があります。総務省「家計調査年報」によると、高齢夫婦無職世帯の毎月の支出は、約26万円。一方、年金の平均受給額は、23万円くらいです。

今後、年金支給額が減ることも考えて、月5万円が不足するとして試算してみましょう。

寿命を100歳と考えると100歳−65歳で35年間です。毎月5万円不足とすると、35年間で2,100万円必要になります。さらに介護費用も考えておきましょう。介護保険受給者の1人当たり使用月額は約16万円です。

平均的な介護期間は、平均健康寿命から試算できます。平均寿命から健康寿命を引くと、男性9.79年・女性12.93年です。先ほどの月額の使用料を掛けると男性で約1,536万円、女性で約2,496万円になります。ご夫婦で4,032万円と高額になってしまいます。

もちろん、すべての方が健康寿命後すぐに介護費用がかかることはありません。健康でいられるのは、若い頃からの習慣によりますので、老後費用を節約するには、健康習慣を作ることですね!

また、病気やケガなどの緊急費用として、生活費の3ヵ月分〜1年分を確保しておきたいですね。例えば1ヵ月の生活費が20万円なら60万円〜240万円です。

人生で必要になるお金の総額は?

そして総額を計算すると、少なく見積もっても1億997万円になります。

大きな支出だけでもかなりの金額です。先ほど試算したのは、毎月4万円を年利7%で42年間運用して得られる約1億2,000万円でした。

投資にチャレンジしていれば、なんとかなりますが、預貯金だけで準備するのは、厳しいことが理解できますね。

Next: 若いうちに投資を始めるのがベストだが、何歳でも思い立ったら始めるべき



国の制度を活用して継続して投資すると、どれくらいの資産が築けるのか

先日、こんな感想をいただきました。「お金は銀行に貯金をしておくものとばかり思っていました。そして投資はお金持ちの人がするものと思いこんでいました」。

金利が高かった1980年代でしたら貯金だけでもお金は増やせました。ところがゼロ金利・マイナス金利の現在は、貯金だけではお金は増やせません。NISAやイデコなど国の制度を積極的に活用して普通の人こそ、投資を家計に取り入れるべきなのです。

また、投資における「リスク」を誤解している方は多いです。一般的にリスクと言うとと、火災のリスクとか病気のリスク犯罪や盗難に遭うリスクなど「マイナス方向」のリスクのことを指します。

ところが、投資におけるリスクは、プラス方向でも、マイナス方向でも「当初の予測から外れること」を指しています。なので、リスクがないとお金も増えないのです。さらに投資のリスクは、資産を分散させることで、軽減もできます。

例えば、イデコを利用して2万3,000円を毎月運用します。期待リターンが5%でしたら、37年で約2,945万円になります。もっとリスクを取って7%で運用したら、約4,822万円になります。元金は、1,021.2万円ですから、5%で運用できれば、1,923.8万円の利益が非課税で手に入ります。7%でしたら、4,719.8万円もの利益が非課税です。

イデコは、60歳までですから、早く始めないと非課税期間が短くなってしまいます。ぜひ社会人1年目からはじめることをおススメします!

59歳でイデコを活用する価値について考察してみた

若い頃から投資を取り入れる提案をすると、「新卒からじゃないと、長期投資は遅いの?」という声も聞こえてきます。私は何歳でも思い立ったら投資をはじめるべきだと考えています。

少し極端な例ですが、59歳でもイデコを利用する価値について考えてみましょう。イデコは掛け金が全額所得控除になります。なので、59歳からでもメリットはあるのです。

例えば2万3,000円を1年間積立てしたとします。税率が20%の方でしたら、5万5,200円も税金が戻ってくるのです!リスクを取らずに定期預金で運用しても、税金の還付と合わせれば、十分オトクな制度なのです。

Next: 人生100年時代、定年後から投資を始めても遅くはない



定年後から投資を始めても遅くはない

定年してからの寿命が長くなっています。私は60代の方でも、資産運用は遅くないと考えています。65歳でリタイヤしても35年間もあるのです。運用しながら、切り崩していくとお金が長持ちします。

例えば、退職金が2,000万円あったとします。このうちの500万円を運用しながら毎月5万円を切り崩すとします。5%で運用できれば、10年9ヶ月受け取れます。預貯金の金利0.01%の運用では、8年3ヶ月と受け取れる期間が短くなってしまうのです。

複利の計算は、少し難しいので、モーニングスターのサイトにある金融電卓を使うといいですね。

長期投資は、若い人のものと思っている方もいますが、思い立った時からはじめたらいいのです。ただし、勉強は必要ですよ?特に気を付けるのは、使う時期のシミュレーションとリスクの考え方です。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2019年4月16日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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