僕は先日、いま話題の『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』を見に行きました。この『スター・ウォーズ』の新作を見て、僕はとても「がっかり」したのですが、新作のどこがよくなかったかを、まだご覧になっておられない方のことを考慮して、極力「ネタバレ」にならないように書きたいと思います。(『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』)
プロフィール:長谷川雅一(はせがわまさかず)
1959年、岐阜県生まれ。株式会社プレコオンライン(金融商品取引業)代表取締役社長。2000年より株式投資の研究を始め、日本で初めて「株の自動売買」という言葉を使った著書を出版。株式投資の世界では、「株の自動売買」ブームの火付け役として知られている。現在は、自動売買ソフトの開発、投資教室、メルマガの執筆など、多忙な日々を送っている。
期待はずれの『スター・ウォーズ』最新作、8つのがっかり
1.人物が描けていない
『スター・ウォーズ』の魅力は、何と言っても登場人物が魅力的なことです。そして、その魅力は、登場人物が悩み、苦しむ状況に、見る側が共感することで醸し出されるものでした。
ところが今回のエピソード7では、ヒロイン・レイの人物像が、うまく描けていません。
彼女が、これまでどんな境遇にあって、どんな生活をしてきたのか、どんな信条を持っていて、何を目指しているのかといったことが、今ひとつ不明確なまま物語が進むので、彼女の「悩み」や「夢」が見えません。
レイの生きる目的や信条が不明確で、彼女の心境、悩み、苦しみといった葛藤も、うまく表現されていないため、ヒロインに共感しきれないまま映画が終わってしまいました。
2.敵が弱すぎる
『スター・ウォーズ』の悪役の代表はダース・ベイダーですが、彼に限らず、『スター・ウォーズ』に出てくる「敵(シス)」は、いずれも超難敵で、ちょっとやそっとでは倒せないどころか、ヘタをすればジェダイがやられてしまうレベルの強さを誇っていました。
ところが今回、敵が弱すぎました。また、敵のバックグラウンドも不鮮明で、彼らの「不気味さ」がまったく表現できていませんでした。
『スター・ウォーズ』に出てくる敵は、強くて謎めいていて、敵ながら、とても魅力的だったのです。しかし今回の敵は超平凡。まったく魅力がありませんでした。
今回の敵は、ルックスも平凡でした。やっぱり、グリーバスみたいな、とんでもないルックスの敵が出てこないとダメです。面白くありません。
3.音楽がダメ
たとえば、エピソード3で、そのグリーバスが登場する際の音楽。
もう、ここは、これしかない!という見事な音楽で、「おいおい、やばいヤツが出てきたぞ」という恐怖感とともに脳にしっかり刻み込まれました。
このシーンだけではありません。旧6作では、シーンごとに、それぞれ最高の音楽が添えられていました。
ところが、エピソード7の、あの音楽は何ですか。印象に残る音楽が、ワンフレーズもありませんでした。
また、これは後述もしますが、聴覚的な印象が薄かっただけでなく、「あのシーンがすごかった」という、視覚的に印象に残るシーンもありませんでした。
4.神秘感がない
『スター・ウォーズ』のテーマは、謎の力「フォース」です。謎に満ちているが確かに存在する「フォース」が、『スター・ウォーズ』のテーマであり、この「フォース」について、『スター・ウォーズ』は毎回、とても丁寧にデリケートに扱ってきました。
ところが、今回のエピソード7では、「フォース」の扱いが粗雑です。
安っぽい映画の「超能力」程度の取り扱いであり、新監督が『スター・ウォーズ』の精神を理解しないまま、新作を作ってしまった舞台裏が露呈してしまいました。
「フォース」の神秘を最もよく表していた登場人物は、言うまでもなくヨーダです。
今回の作品では、ヨーダはすでに死んでしまっている設定なので出てきませんが、だからこそ、ヨーダに代わる、「フォースの神秘を醸し出すキャラクター」が必要でした。
しかし、そういうキャラクターは登場せず、「フォースの神秘」の演出に失敗しました。
Next: 5.ストーリーが読めすぎ/6.登場人物の「死」が無意味
5.ストーリーが読めすぎ
『スター・ウォーズ』を全作見ている人だったら、エピソード7は、途中からエピソード4と重なり、「このあとこうなるんじゃないの?」と、ストーリー展開が読めてしまいます。
さすがに、あれはマズイでしょう。(笑)
いわゆる「ハリウッド映画」の場合、途中で、「これって、きっと、こうなるんだろうな」と、ラストシーンが推測できるものが少なくありませんが、まさか、『スター・ウォーズ』が、そうなってしまうとは。これには、とても、がっかりしました。
6.登場人物の「死」が無意味
『スター・ウォーズ』では、毎回、重要な登場人物が死にます。
今回もそういった「死」があるわけですが、何ですか、あの「死なせ方」は。
『スター・ウォーズ』の登場人物の「死」は、これまで、見ている側が、もう本当に身内が死んでしまったような喪失感とショックと悲しみを共有できるレベルの、圧倒的な表現力で描かれていました。
そして、登場人物の「死」には、それぞれ深い意味がありました。
ところがエピソード7での「死」の扱い方は、あまりにも軽い。「死」に意味も見いだせず、ただ見ている人を脅かすだけの、安っぽい演出には、あきれました。ある意味、見る側をバカにしているんじゃないか、とさえ感じました。
新監督には、登場人物の死を、デリカシーと尊厳さを持って描ける技量がないのでしょう。
7.SFX(特殊効果)が平凡
これまでの『スター・ウォーズ』には、毎回、かならず、「こんな特殊効果、見たことなかった!すごい!」という、斬新なSFXが使われた、映画史に残る名シーンがありました。
しかしエピソード7には、それがありませんでした。これは『スター・ウォーズ』としては致命的でしょう。
10年前に公開されたエピソード3を、映像で超えられないなんて。「10年ぶりの新作は、さすがに違う!」というSFXが見られると期待していたのに、裏切られました。
8.ラストシーンがチープ
これまでの『スター・ウォーズ』は、1作ごとに、きっちり「完結」しつつも物語が「続く」という、実に見事なストーリー展開で、我々を楽しませてくれました。1作ごとに、心底満足しつつ、次の作品にも強い興味がわく、という。
旧6作は、それぞれエンディングも自然で、充実感と完結感があり、それが「よい映画を見た」という満足感にもつながっていました。
ところが、今回のエンディング。あれは何ですか。
いかにも「つづくよ。次も見てね」という、安っぽい演出。毎週放送される『○○戦隊××』みたいなヒーローものか、というレベルのお粗末さでした。
僕は、「バカにするんじゃねえ」と、怒りすら覚えました。
「普通の映画」に成り下がった『スター・ウォーズ エピソード7』
結局、「特別な映画」だった『スター・ウォーズ』は、今回のエピソード7で「普通の映画」に成り下がったのです。
まあ、エピソード7が「ない」よりは、「あった方がよかった」かもしれません。
でも、「エピソード7が見れてよかった!生きててよかった!」とも思えませんでしたし、「エピソード8が公開されるまでは死ねないぞ」とも思えませんでした。
やはり、『スター・ウォーズ』は、特別な映画であり続けて欲しかった。おそらくジョージ・ルーカスも、エピソード7を酷評しているだろう、と思います。結局、『スター・ウォーズ』は、ジョージ・ルーカスにしか作れない映画だったのです。
今まで1作を数十回見てきた僕ですが、エピソード7は、「もう1回見ればいいかな」という感じです。ブルーレイが出れば、コレクションとして買いますけどね。
『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』2015/12/25号より
※記事タイトル・太字はMONEY VOICE編集部による
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