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FRB、年内「利下げ」を示唆も後手後手に。日銀は金融緩和維持決定で御託だけか=高梨彰

FRBは19日に行われたFOMCで、政策金利を2.25~2.5%に据え置くことを決定。会合後の声明では、米経済の先行き不安を理由に年内の「利下げ」を示唆しました。(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)

※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2019年6月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:高梨彰(たかなし あきら)
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。

2回の利下げ見込みは単なる保険?米中会談の結果次第で追加も

FRB、年内の「利下げ」示唆

本日はNBA(米プロバスケットボール)ドラフトに日銀金融政策決定会合と、楽しみなイベントあり、イラっと来そうなイベントありです。

八村塁選手はどのチームに指名されるのでしょうか。日本代表としての活躍同様に楽しみです。

もう1つのイベントを前にして、アメリカではFOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)が開催されました。Fed(Federal Reserve:米連銀)は近い将来の利下げを示唆しています。

年内は2回の利下げ、その後は据え置きか

Fedのモットーは「雇用と物価」です。そのうち物価上昇率が望み通りにならず、利下げに向かう、というのがFedの理屈となっています。

Fedによれば、雇用は依然として強く、個人消費も堅調。一方、企業の設備投資はイマイチ。そして物価見通しは、従来よりも低めとなっています。

FOMC声明文とともに出された政策金利見通しを見ると、見通しを出した17人のメンバーのうち、7人が年内0.5%(2回)の利下げを見込んでいます。1人が0.25%。対して8人は金利据え置き、1人は0.25%利上げを見込んでいます。

2020年の見通しでも、今から合計2回分の利下げを見込む人が7人。恐らく、年内に2回利下げして、その後は据え置きという想定です。

そして、2021年は再び利上げを見込む想定となっています。7人中2人が2021年の利上げを見込んでいるようです。

平均すると、「今年は利下げするかしないか。何かがあれば利下げ。でも再来年には下げた分を戻す意味で利上げする」。こんなところでしょうか。

Next: Fedの出遅れを見越している米国債市場/日銀には期待できない…



保険をかけまくるFRB

2回分、0.5%の利下げならば、これは単なる「保険」です。

景気刺激効果はさほど期待されません。トランプ大統領が「1%利下げしろ」と吠えたのと比べても控えめ。

なぜそんな見通しになるかを考えると、米景気は底堅く、保険以上の利下げは必要ないとの見方が反映されているためとするのが自然です。

G20での米中首脳会談が物別れに終われば、「保険かけとこうか」という調子で、7月30-31日開催のFOMCにて利下げを行いそうです。

ただし、米中首脳会談が物別れに終わった場合、保険じゃ済まないという話になるはずです。恐らく追加利下げ圧力も高まります。

Fedの出遅れを見越している米国債市場

それを見越したかどうかは不明ながら、米2年債利回りは0.1%単位での金利低下です。普段0.05%(5bp)も動けば「あー動いたなぁ」となるところで、1日に10bp動きました

Fedの出遅れを米国債市場は見越している感じです。

日銀には期待できない

ドル円は一時107円台。本日の日銀会合にて、毎度の何言っているのか分からない調子が続くと、再び107円台を試す可能性がありそうです(編注:原稿執筆時点6月20日8時30分)。

マイナス金利をさらに下げても銀行株が総崩れになるでしょうし、難しいところです。

もしかしたら、また小手先の政策変更にて、アルゴ勢からの刺激を促すかもしれません。その場合、短期的にはドル円買いに繋がるかもしれませんが、反動も大きそうです(編注:日銀は20日午前に開いた金融政策決定会合にて、短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に誘導する金融緩和策の現状維持を決めています)。

日銀がNBA選手のように市場の不安をペネトレート(突破する)してくれるような姿勢をみせてくれれば良いのですが…。ベンチで御託並べるばかりでは、円高・株安を誘発します。

<今回のまとめ>

・Fed、保険的な利下げを示唆
・しかし、米中交渉が暗礁に乗り上げれば、保険では済まないはず
・日銀に至っては…

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高梨彰『しん・古今東西』』(2019年6月20日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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