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かんぽ生命、悪質な二重徴収は組織的詐欺。なぜ政府は販売中止・資格剥奪をしないのか?=今市太郎

政府が57%の株式を保有する国策会社「かんぽ生命」の不正販売の勢いが止まらない状況です。重大な保険業法違反で、業務改善命令では済まないレベルに達しているものと思われます。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2019年7月11日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

高齢者たちが食い物に。街の郵便局が勧める保険で騙される人続出

重大な詐欺行為

政府が57%の株式を保有している国策会社である「かんぽ生命」の不正販売の勢いが止まらない状況です(※編注:かんぽ生命株の89%を日本郵政が保有しており、日本郵政株の56.87%を政府および地方公共団体が保有しています)。

これまでにもかんぽ生命では、保険契約者が乗り換えできないにも関わらず新しい商品を売りつけて、結局、無保険状態に陥るという大きなミスをやらかしています。

平気で売りつけたセールスもさることながら、一体アンダーライティングの部門は何をしていたのかと目を疑うような状況が発覚していました。

さらに今回、契約者から保険料を二重に徴収していたことが発覚して大問題になっています。

これは新契約加入時に旧契約を解約せず、顧客から2つ分の保険料を巻き上げていたもので、セールスは解約を遅らせればそれだけ手当が増えるために、わかってやっていたことは一目瞭然の状態になっています。

これは故意であれ、わからずにやっていたのであれば生命保険募集人としては最悪の存在で、資格はく奪も免れない詐欺行為にあたるものといえます。

また保険の管理部門の責任も重大で、このまま保険契約が維持されていた場合、2つ分の保険の支払いが実施されることになったのかという素朴な疑問も出てくるわけです。

今回発覚した二重払いのケースは、実に足元でも2万2,000件あることが分かっており、およそ間違いで起きた問題とは言えない規模になっています。

今回のどちらのケースも重大な保険業法違反であり、業務改善命令では済まないレベルに達しているものと思われます。

2005年の保険不払い事件では相当な業界犠牲者が出現

問題の内容は異なりますが、2005年ごろ国内の生損保では大規模な不払い事件が発覚し、多くの生損保会社の事務部門の人間が金融庁からの猛烈なプレッシャーを受けて懲戒解雇になったりする厳しい状況が示現したのは記憶に新しいところ。

この事例をベンチマークにすれば、まずかんぽ生命の当該問題事案を創出した商品は全面的に売り止めにするべきでしょう。

また、故意に販売を行ったセールス担当者は、すべて生命保険販売人資格はく奪が適切な処置といえます。

Next: 高齢者相手の組織的詐欺手法か。街の郵便局が勧める保険で騙される人続出



高齢者相手の組織的詐欺手法か

かんぽ生命といえば郵政の別法人というイメージが強いものですが、顧客からみれば街の郵便局で昔から扱っている簡易保険のなじみがあり、かなり安心して加入することができる保険というイメージが定着しています。

それだけにセールスの口にすることに疑いを持つ人は少なく、二重払いについても一定期間解約はできないと嘘をつかれれば、疑うこともなくその言葉に従っていた顧客がほとんどであった可能性がかなり高いものと思われます。

高齢者相手のオレオレ詐欺はどんどん新たに巧妙な手口が登場していますが、このかんぽの詐欺営業もそれを彷彿とさせるような雰囲気が伝わってくるものとなっています。

国の処分は甘い

麻生大臣は保険の募集業務の適切性が問題だと認められたら改善対応策を促すと、またしてもひょっとこ面で不愛想に対応しています。

国が過半数の株を依然として保有する生保会社で公然とこうした詐欺行為が行われていたことには、とにかく唖然とさせられますし、処分も実にあまい気がしてなりません。

国は高齢者から巻き上げた詐欺資金で株と為替を買い支えさせているのか?

ゆうちょ銀行かんぽ生命というのは、日銀のみならず国の金融政策を支えるPKO軍団として、株の下落時の買い支え円高側面におけるドル買いなどにたびたび動員される存在であることはよく知られています。

こうした資金が高齢者を騙して巻き上げた資金であるとなると、私もFXにかかわる投資家として言葉を失う状況です。

Next: このまま商売を続けていい状況ではない。セールスマン含めて重い処分を



このまま商売を続けていい状況ではない

保険業界に多少なりとも席を置いていた人なら、かんぽのこのやり方は保険事業者としてのモラルを著しく欠いた行為で、このまま商売を続けていけるような状況ではないと思うはずです。

国も甘い対応をせず、まずはこの事案に登場した商品はすべからく一旦売り止め(販売中止)にするとともに、販売人を再度精査し詐欺行為を働いたものは部門、個人を問わず懲戒処分にすべきではないでしょうか。

今回の問題は、そのくらい深刻な状態です。

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2019年7月配信分
  • 政府が57%株式保有の国策の詐欺生保〜かんぽ生命は即時商品売り止めが適切(7/11)
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今市太郎の戦略的FX投資』(2019年7月11日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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