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米中貿易戦争の裏で着々と進む、中国の宇宙侵略…カギを握るのはファーウェイだった=山田健彦

中国と香港、台湾、韓国と日本、北朝鮮の中国依存からの脱却問題など。東アジアを取り巻く問題が目立つようになりました。これらを詳しく見ていきましょう。(『資産1億円への道』山田健彦)

韓国、香港…東アジアを取り巻く問題が表面化。真夏の怪談特集

東アジアのバルカン半島化?

バルカン半島は古来からヨーロッパの火薬庫と呼ばれてきましたが、昨今は「東アジアのバルカン半島化」も危惧されています。

中国と香港、台湾の問題
韓国と日本、北朝鮮、中国の問題
中国の南シナ海領有権主張問題
日本と韓国の問題
北朝鮮の中国依存からの脱却問題等々

これらの地政学的リスク懸念から、日本でも金価格が円建てでも上昇しています。
※参考:NY金(ゴールド), 東京金ロングチャート‐楽天証券

従来は金価格がドル建てで上昇するときは円も対ドルで上昇していたので、円建の金価格は実際のところそれ程は上昇することはなかったのですが、今回は少し状況が変わってきているようです。

まずは「中国と香港、台湾」の問題から

台湾の経済パワーを中国のさらなる発展に組み入れたい、という理由から中国はさまざまな圧力や懐柔策を台湾に対して行っています。

アメリカも台湾海峡で海軍の船を定期的に航行し、台湾の現政権を背後からバックアップ。時には欧州の軍艦も台湾海峡を通過し、中国の台湾武力制圧作戦を牽制しています。
※参考:フランス軍艦、台湾海峡を航行 中国が抗議申し入れ‐AFP BBB NEWS(2019年4月25日公開)

そのような中、香港で犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを認める「逃亡犯条例」の改正案に反対するデモが起きました。

直近のニュースでは中国人民解放軍が深センに集結しつつあり、武力鎮圧も辞さない状況と報じられていますが、そうなると台湾の人々も「やはり中国と一緒になるのは怖い」という方向に傾き、来年1月に迫った台湾総統選挙では親中派候補が圧倒的に不利になることが予想され、できれば中国も直接手出しはせず、香港内で事態を解決させて欲しい、というのが本音のようです。

香港の行政長官が「逃亡犯条例」成立への不手際から、習近平主席に内々に辞意を表明したものの「辞意は認めない。自分の責任で何とかしろ」と突き放されたという噂もあります。

Next: 韓国を取り巻く東アジアの現状



韓国と日本、北朝鮮、中国の問題

韓国の反日思想は筋金入りですが、日本の輸出管理厳格化問題では、当初中国に助けを求め反日戦線で統一行動を取ろう、と接触しましたが中国からは「THAADを何とかしろ。アメリカが始めたファーウェイへの制裁運動から離脱しろ。話はそれからだ。」と一蹴されました。

THAADはアメリカが開発した弾道弾迎撃ミサイル・システムで、韓国にも配備されましたが、中国は「このミサイルシステムは中国攻撃を意図して配備されたもの」としてその撤去を強く迫っています。

加えて中国としてもアメリカの経済制裁で自国経済を何とかしたい状況下ですから、仲良くするなら韓国より経済力の強い日本という伏線もあります。

文大統領はまた「北朝鮮と一体になれば経済的に日本を追い抜ける」と強気ですが、当の北朝鮮からも全く相手にされていません

北朝鮮当局の韓国政府に向けた罵詈雑言
※参考:ここまで言うか 北朝鮮が韓国文政権を「大アホ」「怖じ気づいた犬」などと辛らつ非難 外務省局長談話で‐アジアプレス・インターナショナル(2019年8月12日公開)
※参考:北朝鮮、ミサイル発射は「韓国の戦争屋への警告」‐BBC NEWS JAPAN(2019年07月26日公開)
※参考:北朝鮮、韓国と「再び対座せず」 文大統領の対話呼びかけ拒否‐REUTERS(2019年8月16日 公開)

伝統的に北朝鮮は朝鮮半島の盟主は自分たちだ、という意識が強く韓国を通じてのアメリカとの接触は嫌がり直接友好関係を結びたい、という考えが透けて見えます。

また、信憑性はどこまであるのか疑問ですが、昨今の北朝鮮のいわいる飛翔体の発射は中国に向けての攻撃演習という説もあります。

そのような日本、韓国、北朝鮮、中国間の微妙な関係をついて新たな挑発行為も発生しました。

中国とロシアの空軍共同演習で一時的に日本の竹島(韓国名は独島)への領空侵犯が最近ありました。噂レベルですが、これは当初日本の自衛隊が領空侵犯でスクランブルをかける事を期待(?)し、そこに韓国空軍が領土を守るため(?)自衛隊機に攻撃をしかける事態になることを狙ったもの、という話もあります(どこまで憑性があるかは不明)。

仮に中国、ロシアが望む状況になっていたら、とゾッとしますが昨今の金価格の上昇はこのような「東アジアのバルカン半島化」の危険を感じ取っている投資家が少なからずいる、という事かもしれません。「有事の際の金」という格言はまだ生きています。

Next: 次に奪い合いとなる戦場の舞台は、宇宙となるか?



宇宙空間が戦場になるか?

今年の1月に、中国が月の裏側に無人探査機を着陸させました。主要メディアは「宇宙の起源を探る」など科学的な探査目的だ、と報道していますが、この探査機は南極エイトケン盆地の内側に着陸しました。月の南極地下には氷の塊があるとされ、そこから水素と酸素を作り出し、月からさらに遠くの宇宙へ飛び立つロケットの燃料を得ることができるのだそうです。
※参考:中国、月の裏側に着陸 何をしようとしているのか‐BBC NEWS JAPAN(2019年1月4日公開)

中国の月の南極探査は次の「中国の量子通信衛星」や「一帯一路」とも結びついていて、その中心に位置するのが例の「ファーウェイ」です。

余談ですが、カナダでファーウェイ副会長が逮捕された容疑ですが、「イランへの不正輸出に関与した」というものでした。中国の一帯一路構想の終点はヨーロッパですが、途中イランを通ることは殆んどのメディアは報道していません。
※参考:“陸と海のシルクロード”中国の「一帯一路」構想とは?‐THE PAGE(2015年5月11日公開)

イランの制裁逃れにファーウェイが肩入れした報道がなされています。トランプ政権の中ではイラン制裁とファーウェイ潰しはコインの表と裏の関係のようです。そこには「一帯一路構想」潰し、中国の中東でのプレゼンス強化潰しもあります。
※参考:ファーウェイ、米捜査対象の2社と密接な結び付きが明らかに‐REUTERS(2019年1月9日公開)

中国の量子通信衛星

例によって日本のメディアは反応は殆んどゼロでしたが、既に3年前に中国は量子通信衛星を地球周回軌道にのせました

量子通信は、盗聴が不可能でしかも盗聴しようとするとその痕跡が残る通信方式です。この量子通信衛星技術は「中国製造2025」の目玉の一つです。現在の暗号技術は米国により全て解読可能とされ、世界中の通信記録を米国は把握している、といわれていますが、この「量子通信」技術は少なくとも現在のところ、解読不可能です。

おそらく、中国はこの量子通信衛星を通じてアメリカと同じく、世界中の通信を傍受しようとしているのだといわれていますが、量子通信技術を使用しているので、何を傍受しているのかが見抜けません。

また、量子技術を使うと従来の通信セキュリティは簡単に破れるので米軍の作戦行動は筒抜けとなり、さらに戦闘機の飛行による気流の乱れや潜水艦の航行による水流の乱れもいち早く探知できるので、最新鋭のステルス戦闘機も役立たずになるといわれています。これを地球周回の衛星からウォッチしようというのです。
※参考:アメリカの先行く中国の量子科学 。「ステルス」は丸裸、兵器新調は無意味に‐BUSINESS INSIDER(2019年8月7日公開)
※参考:中国が「量子通信」実験に成功、米国の軍事優位揺るがす可能性‐BUSINESS INSIDER(2017年7月3日公開)

この量子通信衛星のキモとなるのは、大量データを瞬時に送れる5Gの技術です。日本のメディアは5Gでは動画のダウンロード時間が短縮される、などとピントのボケた解説をしていますが、この5G技術の中心にいるのが例のファーウェイです。トランプ大統領がファーウェイ潰しに必死になっているのもここに理由があります。

この量子通信衛星網で地球全部を監視するためには、相当数の衛星を打ち上げなければなりませんが、同時に地上で衛星からの情報を受け取る中継施設も世界各国に配置しネットワーク網を築く必要があります。

現在、中国は世界各国で「一帯一路」の名のもとに港湾再開発を請負い、引き換えに中国企業が港湾管理、運営権を数十年間手に入れてますが、これらの施設内に中継施設も建設される、という疑惑もあります。ここにもファーウェイが現地国の政権に有利になるように高速通信網建設を支援する、という名目で入り込むわけです。
※参考:ファーウェイ社員、アフリカで国内スパイ支援‐THE WALL STREET JOURNAL(2019年8月15日公開)

中国の一帯一路構想は単なる経済的発展行為ではなく、軍事覇権、エネルギー覇権も求めた行動で最終目的は宇宙覇権を目指している、という説もある程度信憑性があるという気もします。その中心技術を担うのが「ファーウェイ」です。

かつては政経分離で、政治と経済は別といわれていましたが、今日では政治と経済そして軍事が一体となって動いていくのが普通の世の中になってきました。

以上、真夏の怪談特集でした。

注: 今回の話題は、いつもとは異なり信憑性の不確かなものも含んでいます。その点、ご注意ください。

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image by : Ascannio / Shutterstock.com

資産1億円への道』(2019年8月16日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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