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景気後退不安を前に、世界債務はリーマン・ショックへ導いた「ジャンク債の宴」の2倍=山崎和邦

リーマン・ショックを生んだサブプライムローンのバブルが崩壊したが、現在はその債務の2倍あるという。これを承知のうえで日米株は高値近辺に居座っている。(山崎和邦)

※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』』2019年9月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

ドイツの自動車輸出の冷えをはじめ、世界景気後退の兆候

「変調、世界景気リスクを探る」

EU第一の大国であるドイツが本領とする自動車の輸出が冷え、景気後退懸念が濃厚になってきた。乗用車の輸出がドイツの経済を左右する。そこへもってきてイギリスのEU離脱が大きい。

標題の文言は日本経済新聞が3日間にわたって掲載した記事の標題である。その3日目に本メルマガで既述した世界の債務の膨張の問題が出ている。「債務膨張に危うさ」という見出しであるが、これを要約する。

8月下旬、アルゼンチンショックがヘッジファンドを揺るがした。一時的にデフォルト状態だったと認定され、アルゼンチン通貨(ペソ)や国債が急落した。

ドイツ銀行の大手コメルツ銀行では9月下旬4,800人規模の人員削減、最大手のドイツ銀行も7月に株式売買業務などの撤退や1万8,000人の削減を柱とする再建計画を発表した。

中国はさらに事態が進む。

概ねこのような内容であったが、債務の金額については具体的に述べていない。本メルマガでは2京7,000兆円とか2京兆円(2,000兆円の10倍)などと述べてきた。前者は経済誌によるものであり、後者は日本経済新聞による数字である。

いずれにしてもリーマン・ショックを生んだサブプライムローン(不動産ローンの一部)のバブルが崩壊したが、現在はその時の債務の2倍あるという。これを承知した上でNY株高も日経平均の高値近辺に居座っている現象も続いている。

自動車の高関税回避に向けた日米貿易交渉は「決着」ではなく「先送り」

日米両政府による貿易交渉は先週26日に閣僚級の会議の開始から半年という短期間で一応の「決着」を見た。自動車輸出の高関税や数量規制を回避し得た。

ただし、撤廃時期を今回の合意は示していない。撤廃方針を盛り込んだ自動車関税や部品の関税も含まれるが、その撤廃時期は明示されず、「事実上の先送りとなった」と見るほうが至当であろう。

本メルマガでは、自動車に対しては将来必ずトランプが何か言ってくるはずだと述べ続けてきた。一応の決着を見たという今日でもそう思う。

トランプは来年秋の再選に向かって焦りが出てくる時期であろうから、早く決着したいのは米国側であろうというスタンスで日本は臨んだと思う。つまり、再選を焦るトランプの隙に乗じた形になったように思う。ここまでは取り敢えずしのいだが、これで決着したと思うのは甘いと思う。

工作機械受注が今年3割減の見通し

工作機械受注が急減速している。米中摩擦の激化を受けて工作機械の受注減は急速であり、

3割減の見通しはリーマン危機以来である。リーマン・ショックで受注が減少した2009年以来の大きな減少幅となる。

言うまでもなく、もとより機械受注は設備投資の先行指標である。設備投資はGDPを構成する4要素の重要な一要素である。しかもそこには「ケインズの乗数」が掛かるから「1以上」となってGDP全体に効いてくる。

Next: 世界市場が最も注目する、米中の対立には双方で認識に差がありそうだ



米中対立の深層

野村総研のリチャード・クー氏は先々週、中国を訪れて3つの都市で米中関係の行方を議論する会議に出たという。

その内容をまとめて「マンデー・ミーティング・メモ」(9月17日号)に詳細を述べているのでそれを本稿で要約する。筆者の想像していたこととは違った面が書いてある。

以下、R・クー氏の要約。

中国の対米認識と現実にワシントンで起きていることの間にはかなりのギャップがある。

例えば、中国側の関係者の中にもトランプ大統領の多くは理にかなっており、実施すべきだと思っている人が多いという。ところが、中国側が交渉でそのような前向きの姿勢を見せると米国側はさらに要求を高めていくところがある。

果たしてトランプと決着させるのが良いのか、それとも数年待って、別の大統領と交渉するのが良いのか、中国ではこういうことまで含めて議論されている。中国の高官として交渉に関わってきた或る人物は「トランプ旋風は台風のようなものではないか」と語った。つまり「嵐が過ぎ去るのを待てば世界は再び正常化するだろう」という考えである。

ここで彼らが「待つ」という持久戦の考えが出てくるのには以下の背景がある。彼らが当初思ったよりもGDPは悪化していない。この点が少なくとも彼らの一時的な安心感につながっている。

次は筆者の感想であるが、今の中国は日本と違って都市化率が低い。ということは、バブルも不況も吸収する余地があるということである。日本の30~40年前の状態を考えれば、中国はまだ発展途上国であると考えた方が自然である。

北京や上海だけ見て中国を評価していてもダメであり、都市化率が非常に低い発展途上国だから吸収力が高いという点がある。この点は既報でも筆者が既述した。以上は筆者の見方である。

次にR・クーの本文に戻る。

今のワシントンの認識は、米中摩擦は一時的なものだとは思っていない

連邦議会・国務省・国防総省・米国家安全保障局(NSA)・CIAを含めたすべての機関が、今の中国は当初彼らが期待していたようなオープンな民主主義の社会に向かうのではなく、全くその逆の独裁国家に向かっており、最大限の警戒が必要であるというスタンスである。しかもその中国は南シナ海などで領土的野心を見せ、米国防総省のコンピューターのハッキングにまで成功している。

この「独裁国家中国」に対する米国の最大限の警戒スタンスは、以前の米国がナチスドイツや旧日本陸軍の台頭に対して見せた警戒感と同等なレベルになっている。その意味で中国側が「トランプ旋風は一過性の台風であり、これを数年間我慢すれば再び両国の関係は元の友好的なものに戻るだろう」と期待するのは現実的ではない。

以上は野村総研のR.クー氏の見解の要約である。

次は筆者の考えであるが、このような中国と米国との基本的認識のズレや長期的な戦略スタンスは、米国が被追尾国であり中国が追尾国であるという全く逆の立場から発せられていることであると筆者は断定したい。

米国は友好国の先進的技術は積極的に取り入れてきた。同盟国や友好国に優れた製品があればそれらを積極的に活用して納税者の負担を減らすという考えが米国にはある。もし中国が本当の意味での友好国になればファーウェイの製品を多用した可能性が高い。中国のGDP成長率は落ちてきたとはいえ、直近4~6月期の数字は前年比+6.2%であり、日本の高度成長期の数値に相当する。

そういう面から見れば、中国はいまだ発展途上国なのである。ところが中国の生産年齢人口は2010年来初頭に既に減少に転じており、総人口も2032年から減少に向かうと予想されている。中国はせいぜいあと10数年しか残されていない。

1:中国は人口動態から来る制約要因

2:中所得国の罠から制約要因

3:トランプの仕掛けた貿易戦争の重さ、中国は今、この三重苦に直面している。

中国が2015年に発表した「中国製造2025年」というプログラムは、まさに中国の生産性を官民一体で大幅向上させることで中所得国の罠から脱却しようというものである。

次からは筆者の考えである。貿易面では米中が何らかの合意に達することは可能であろう。しかし、それは一時的・表面的なものであり、習近平が中国を「永遠に政権をとり続ける主席」として独裁国家に大きく方向を変えてしまったことを背景とすれば、ここから先の両国の対立は中国が独裁国家としての方向を変えない限り、ますます米中の対立は深刻なものとなる。これは追尾国と被追尾国の違いである。

Next: 貿易戦争の影響はブーメラン現象となって、トランプ支持層の米農家へ…



貿易戦争の報復合戦は米中の国内へも影響が出始めた

米中貿易戦争は昨年7月に始まった。今年の9月1日に発動された4回目の追加関税によって米国の消費者や企業への負担が増して、「ブーメラン現象」は国内に大きな影響を及ぼし始めた。米国内では衣類やハイテク商品などの価格が段階的に引き上げられているという。また、建設資材や新築住宅などの価格にも影響を及ぼしている。

トランプ大統領の重要な支持層である農家に対する悪影響が出始めている。そうすると農家がトランプに愛想をつかす時が来る。トランプの主な支持層は農家と「ラストベルト」(錆びついた工業地帯)も鉱山労働者と工業労働者である。3年前の選挙中に彼らに為した公約を今トランプは実行しつつあるのだが、それがブーメラン現象となって我が身に降りかかるということは、3年前の選挙民は考えなかったのだろうか。

膨大な債務の積み重なりが示唆するもの

世界の債務は2京7,000兆円(2,700兆円の10倍)、または2京円(2,000兆円の10倍)と言われているが、これはリーマン・ショック前の「ジャンク債の宴」の頃の債務の累計よりも2倍ぐらいあるというのが通説(★註)になっている。

(★註)「通説」というのは2.7京兆円と書いてある本もあるし、2京兆円と書いてある記事もある。明確には判らない。およそ「通説」とか「通念」というものは論証も実証もされずに居心地よく、なんとなく市場に居座るものである。これは概ねは当たっている場合も多い。

筆者は数年前に投資不適格銘柄のジャンク債のウクライナ国債を戦乱の最中に買って、約1,000万円で約411万円を約4ヶ月で利益を得たことがある(この件は既報で述べたし読者の一人も筆者と同じことをやって、テレビ番組で証明するために山手線の駅頭でお会いする約束をして売買報告書を借りたことがあった。古い話だがこの場を借りてお礼を申し上げたい)。

あるいはシャープの転換社債、あるいは武富士の転換社債、これらのジャンク債でも利益を上げた。失敗したのはギリシャ国債(もちろん投資不適格債)であった。成功失敗を累計すれば成功して利益を上げた方が株の利益よりも大きかった時代がある。そこでジャンク債、あるいはレバレッジ・ローンについては大いに関心をもって見ている

最近ではそのレバレッジ・ローンが債務の象徴として懸念されてきたが低格付け企業向け融資として、そこから資金を引き揚げる投資家が増えているそうだ。「そうだ」というのは日本経済新聞、9月22日号の記事によるものだからである。米国では7月以降少なくとも数社のレバレッジ・ローンの新規案件が通らなかったという事実がある。景気減速で企業が負債の重みに耐えられなくなれば倒産が大量発生する恐れがある。

これをレバレッジ・ローンは警戒しているのだ(本当は投資不適格債のジャンク債の妙味はこういうときにあるのだが、もちろん失敗すれば株の損切りよりも大きい。成功すれば株よりも効率はいい。筆者ならばの話しだがここから先は手を出さない。米国でレバレッジ・ローンが7月以降数社は案件が通らないことが続いたのはそれだけ危機がせまっていることの兆しでもある)。

Next: ラガルドECB新総裁に職務が務まるか、と一部で懸念されている



ECB新総裁にラガルド女史が務まるだろうか

彼女は長期間IMFの専務理事を立派に務めてきた。法律家出身である。

この点ではパウエルFRB議長と同じである。彼女がユーロ圏の経済政策の総本山とも言えるECB総裁が務まるだろうかという懸念が一部にあるそうだ。

この点ではリチャード・クーの言うバランスシート不況や「現代経済理論がやり残したもう半分、The Other Half」を考えると、なまじ経済理論に染まってきた人よりは有利な面もあるのかもしれない。

上記の3行はリチャード・クーの言い分である。

次に筆者の言い分。実質金利さえ下げれば借り手は必ず現れるという、これまでの経済学は、今は全く使い物にならない。ラガルド女史は従来型経済学に染まっていないことは、逆にメリットであるかもしれない。日本ではバブル崩壊から29年を経た。欧米ではバブル発生から11年を経た。その根本的局面変化を理解できず、間違った政策を提案するエコノミストたちは従来型経済学が通用しない現代においては大いにマイナスである。

ラガルド女史はそれに染まっていないだけ有利である、というのはリチャード・クーの見方でもある。パウエルFRB議長とラガルドIMF新総裁とは法律家出身ということにおいて同類である。

世界景気後退と円高

世界景気が後退しトランプが米国の輸出産業の支持をとりつけるためにはドル安に導く必要がある。そのような状態になれば円高となり、その趨勢が1ドル100円ぐらいにまで上がっても不思議はない。現にレーガン元大統領は5ヶ国(お目出度いことに日本も加わっていた)で悪巧みを企ててプラザホテルに集まり、悪巧みを企んだ米国以外の4ヶ国も一斉に協調した。そして240円の円が10年後に79円までもっていかれた。そのような極端なことはなかろうが、100円ぐらいまでは世界景気の後退感や米国景気の後退が明らかになれば、利下げの反復を行い、ドル安円高を招くことがないとは言えない。

ドル安円高になることは充分にあり得る。いくらまで円高ということは今のところははっきり言えないが、100円ぐらいは充分にあり得ると思う。

「円は安全資産だから各国の余剰資金は円に集まる→円高になるという動き」に対して、ジム・ロジャースは反対の意見を言っている。彼は来日して日経ヴェリタス誌のインタビューに応じた。要約すれば次のような意味のことである。

「長期的には円の価値は大きく下がる。円に対する見方は良く誤解されている。世界の歴史において財政に問題を抱えている国の通貨は全て値下がりしている。だから円安傾向である。私は東日本大震災の直前から日本株を買ってきたが、昨年秋(筆者註:アベノミクス大天井は10月2日)に全てを売却した」と言っている(日経ヴェリタス紙、9月22日号)。

105-115円のレンジ相場を維持している。仮に円高に振れても、100円水準は大きな節目に。

Next: 円高のときに株安になるという考え方は、今後も通用するのか?



「円高=株安」という見方に変化が生じても良い頃だ

「円高=株安」は輸出面のみに目を向けた見方である。輸出立国の日本であるし経済成長が著しかった時代は輸出が強かった時代と合致するから無理もない。しかし、GDPを構成する4要素の中の輸出ではあるが、これは輸入と裏腹の問題である。円高は家計に大きなメリットを与える。輸入品が安くなり海外旅行もしやすくなり国民の実質所得が増えることになる。「円高=株安」はもっぱら輸出企業の立場の見方に偏っている。

輸入企業は円高によって利益が大きく出る。したがって、自動的に売上利益が伸びる。円安による利益は、トヨタが1円について売り上げ利益が400億円増えるという。輸入業者になれば、円高によって利益が増すことになる。輸入有利の分を値引きして販売量を増やす方法もあるし、顧客にサービスする方法もある。価格を据え置いて実質的に利益を増やす方法もある。

円高が不利だという考え方は「国内でつくって海外に輸出する」ということをもっぱらにしている立場である。「海外でつくって海外から世界に供給する」というやり方ならば、円高でも円安でも中立的である。今の日本企業は海外で生産して海外に売るという企業が多い。特に大企業がそうである。筆者が長年取締役を務めていた会社では構造体は100%が輸入であった。プラザ合意の猛烈な円高突入の頃、財界での顔を気にして社長が円高を顧客に還元しよう、しようと、取締役会で盛んに主張して大いに迷惑した。

筆者の担当支店ではあまり社長が円高還元を主張するから止む無く、200万円値引きするということにして定価200万円の輸入品を、原価80万円ぐらいを顧客に輸入原価で売って120万円を値引きしたような形をとった時代がある。

この頃、輸入部門が多い企業は円高で大いに利益を上げたのだ。円高で不利な面だけを叫び、有利なことは黙っている、これが財界のやり方だ。

「円高=株安」という硬直的な図式はそろそろ卒業したらどうだろうか。

現に、80年後半から90年にかけて猛烈な円高が進行したが株式は猛烈に上がった。この時は「円高は強い日本の表れだ。強い国の株は高いのだ」ということが市場のコンセンサスになっていた。市場を流れる「感情」は「勘定」を超越して強烈に働いた。今は「円安=株高」「円高=株安」の図式に偏り過ぎている。このことを筆者が述べた以上のことをいつか市場が気が付く時代が来るであろう。

30年前に筆者が感じていた日本への不安が今、ジム・ロジャースが「日本への警告」で述べられている。

Next: 10月から始まった消費税をめぐっては、2つの対立する考え方がある



消費税について考える

経済学者の間では消費税を支持する声が以前から高かった。所得に課税するよりも支出に課税した方が効率的で簡素になるからだ。

しかし、ここに2つの見方がある。米ハーバード大学教授ケネス・ロゴフ氏によれば、高所得者ほど負担が多くなる累進的な消費税を確立せよというのだ。米国の上位7.5万所帯を対象とする超富裕層に消費税の増税を提案している。

一方、ハーバード大学サマーズ教授(元米財務長官)は、このような見通しは甘すぎるという考え方。法人税率を引き上げるとか富裕層の課税逃れを封じるとか、伝統的な策を幅広く講じた方が格差縮小につながると主張した。

どちらも格差縮小を訴えている点で立場は同じである。

中長期の見方:アメリカ景気後退の兆候

逆イールド現象(短期金利>長期金利)が起きると、過去の例で言えば、いつも12ヶ月から20ヶ月後に景気後退に必ず陥っている。

無理もない。この現象が起きれば短期金利で金を集めて企業に長期金利で金を貸してその利鞘をとるという銀行がメインとするビジネスモデルを破壊するからだ。今回、米国では昨年の12月と今年の3月と8月14日と3回の逆イールド現象が起こった。

逆イールド現象というのは、期間を置いて何回か訪れるものだ。その後に景気後退が訪れる。資本主義経済体制のカネの流れに支障をきたすからである。

背景は全く違うが、日本は1990年から2003年まで続いた「失われた13年」は不良債権山積みで銀行の機能が停滞した。逆イールド現象が起きる背景には、原因は違うが銀行の機能が停滞する背景は同じである。景気後退に陥る背景となる。

米の政策金利は2~2.25%であって、これはリーマン・ショックの時と同水準である。

米企業のレバレッジ総額はリーマン・ショック前の2倍近くに膨れ上がっている。世界の債務は2京円(2,000兆円の10倍)にのぼっている。リーマン・ショック寸前の2倍以上である。

日本の景気は経済成長を1.3%から0.9%に修正し、来年は1.2%としているが、いずれも民間調査機関の予測平均は0.5%であるから、これに比べて政府発表ははるかに楽観的すぎる。

日経新聞が100人の企業会長・社長に3カ月おきに実施するアンケートでは今回8月28日・9日に実施したものによると、41%が「世界景気は悪化する」と回答している。理由は米中摩擦と中国景気悪化が主因。

このアンケートは、一般の総研の推測よりも的中率が高い。「41%が悪化」と言うのは、アベノミクス始動以来、初めてのことだ。

本稿が年初から経過感を示し、今年最大の注目点はアメリカ景気と世界景気の悪化という観点だろうと警戒してきたことは今になって話題に上ってきた。

Next: 1990年代初頭には、100社を超える外国企業が東証に上場していたが…



サウジアラムコが東証上場を果たせば、東京証券取引所が活性化するか

1990年代初頭には100社を超える外国企業が東証に上場していた。日本経済の国際的影響力が後退するに伴って、今は当時の100社が5社にまで落ち込んだ。東京都の小池百合子知事は東京をアジアの国際金融センターに復活させることを目指しているそうだ。ちょうどシンガポールや香港のようにである。

そのためにサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが東証に上場すれば、国際的な金融センターとしての地位を取り戻したい日本にとっては大いに追い風となろう。その場合に他の先進国と比較して情報開示の基準やスピードが劣っていないということが条件であう。

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第1部;当面の市況

第2部;経済月例報告もNHKも「霞ヶ関文学」に毒されているわけ

第3部;中長期の見方

第4部;日韓問題について要約

第5部;余談──ロンドン取引所を香港取引所が買収しようとした話し

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※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』』2019年9月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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image by : Lightspring / Shutterstock.com

山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2019年9月29日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。

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