気候温暖化への取り組みについて、小泉環境大臣の発言が注目されました。日本政府の姿勢は世界中から批判されて当然ですが、ただ日本の企業は頑張っています。(『証券アナリスト武田甲州の株式講座プライム』)
※本記事は有料メルマガ『週刊 証券アナリスト武田甲州の株式講座プレミアム』2019年9月30日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
クール&セクシーな地球温暖化解決策
2020年に月3,000台生産へ、トヨタ自動車FCVの取り組み
小泉進次郎環境大臣の米国での発言が注目されました。気候温暖化への取り組みは「セクシーかつクール」であるべきということです。最近の日本は、温暖化への取り組みが非常に遅れているのは事実。実際世界中から「笑いもの」状態といっても過言ではないでしょう。
日本は今。再生可能エネルギーの普及には及び腰で、火力発電所を増やす、原子力発電にしがみつくなど、環境問題に後ろ向きといわれてもやむを得ない状態です。日本政府の姿勢は世界中から批判されて当然なのですが、ただ日本の企業は頑張っているのです。
そのなかでとくに「トヨタ自動車」へ注目したいと思います。トヨタ自動車はいまから5年ほど前にFCV(燃料電池車)「ミライ」を売り出しました。排出されるには「水」だけという「究極のエコカー」です。
しかしながらその販売台数は少なく、価格も高い(およそ700万円)ので存在感は薄いままです。
自動車のEV化は気候温暖化の切り札のように見られてきましたが、少し風向きが変わってきています。それは電池が高いこと、航続距離や充電時間に問題があることだけではありません。
「電気」を得るために環境負荷が相当かかることや、送電ロスが馬鹿にならないなど、問題解決の切り札とは思われないからです。
それに対しFCVは水素を化学反応させて発電、モーターの力で車を走らせます。
排出されるのは「水」だけです。燃料の水素は太陽光発電や風力の電機を使って海水などを電気分解して得ればよく、資源は無尽蔵といいことずくめ。
トヨタ自動車は現行型「ミライ」の生産能力は年間3,000台ですが、次期モデルを投入する2020年下半期には月3,000台にまで増やす計画です。価格もハイブリッド車との差を現行300万円程度から70万円程度に縮小する計画。
2020年、トヨタ自動車は東京オリンピック向け車両として3,700台を提供することになっています。そのうちFCVはおよそ500台の見込みです。
トヨタ自動車は「水」しか排出しない「究極のエコカー」といわれるFCVの大量供給で、クール&セクシーな環境車を世界に先駆けて出すことができたと訴えることができるでしょう。
またトヨタ自動車は中国の合弁自動車メーカー2社でもFCV生産を計画しています。トヨタ自動車が世界に率先して動くことで、再び日本は温暖化問題に真剣に取り組む「クールな国」だ、というイメージを創り出すことができるかもしれません。
小泉進次郎環境大臣の発言はトヨタ自動車のFCVへの取り組みを知ったうえで、あえて言ったのではないでしょうか?
問題への取り組みについていろいろと批判する人もいますが、地道に取り組んでいる企業としてトヨタ自動車の動きに注目です。
なお私の知る限り、現段階でFCVの大規模な量産化に取り組んでいる企業はトヨタ自動車のみです。
FCVはバスやトラックなど大型車にもどんどん採用される見込みです。トヨタ自動車のこのような先進的取り組みが評価されることは間違いないと思います。
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image by : トヨタ自動車株式会社
『証券アナリスト武田甲州の株式講座プライム』(2019年9月30日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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証券アナリスト武田甲州が、経済やマーケットの先読み・裏読み情報を毎週月曜日に発行。2008年3月のセミナーでは米国で最大300兆円の公的資金投入を予想。2008年9月末時点で米国のゼロ金利、量的緩和政策実施を予測するなど大胆な未来予測情報もあります。