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ようやく見えたバブルの正体、株高がまだ続くとしても経済は徐々に悪化していく…=藤井まり子

世界はとうとう「大停滞」入りへ。向こう1年間、内外共に、2020年11月の大統領選までは、行きつ戻りつしながらボックス相場の中で株高は維持されるだろう。(『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』藤井まり子)

※本記事は有料メルマガ『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2019年11月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

「大停滞」入りして「スクイーズ」し始めた世界経済

ファンダメンタルズと乖離した「金融相場」はいつかは終わる

中国の実質GDP成長率は公式発表でも6.0%を切りました。実際の中国のGDP成長率は、2~3%程度と見る向きが多いです。

中国経済に傾斜していたドイツ経済はリセッション入りへ。アメリカ経済は少なくとも来年7-9月期までは減速を続けることでしょう。世界経済は、とうとう「大停滞」期に入った模様です。「大停滞」とは、レイ・ダリオが名付けた言葉です。

ダリオによれば、今後始まるのは、「バブルの崩壊」とか「危機(クラッシュ)ではなく、「スクイーズ(少しずつ真綿で首を締め付けるように景気がじわじわ減速してゆくこと)」の「形」を取るとのこと。

けれども、私たちは、決して震え上がるなかれ。

「バブルの正体」が分かっても、今現在進行形の「社債バブル」が伸びきってしまうまで、おおよそ1年くらい、長ければ2年くらいは、バブルは続くかもしれません。「バブル」は伸び切ってしまうまでに、内外の株式市場は意外な高値を更新する可能性もあります。

もう「ドル高」は起きないだろう。内外の株式市場は、行きつ戻りつ「ボックス相場」へ。今現在は、「ボックス相場」の天井での「折り返し地点」か?

月末月初は、アメリカでは「重量級の各種マクロ経済統計」が続々と発表されます。アメリカ経済も既に「大停滞」期に突入しているので、これから発表される「10月の経済統計」は、9月のものよりは悪化しているはず

米中貿易戦争では、アメリカ側が「12月の対中関税の引き上げ」を見送ることと引き替えに、中国側はアメリカから大量の農作物を購入することで、「第1段階」の「折れ合い」が付けようとしています。「高い関税を掛け合う」という米中貿易戦争以外の分野では、米中間の「新冷戦」は激しくなる一方でしょう。

すなわち、「第2段階」以降の「知的財産権や補助金」問題や「資本と為替」問題、「思想」問題などの「米中間の根の深い構造問題」については、米中間の「新冷戦」は向こう数十年間ほとんどエンドレスに継続します。

西側の先進各国側の中銀たちは、金融をやや緩和的にして、この「米中間の新冷戦」と「世界経済の大停滞」をなんとか乗り越えようとしています。できるかどうかは、さておき…。

かくして、先進各国の中銀たちの金融緩和策に支えられて、内外の株式市場では、再び「金融相場」が継続しているように見えます。しかし、警戒は怠ることなかれ。向こう1年くらいは、今後とも「最後の一刷毛」が再び幾度も燃えさかりそうです。

投資銀行の雄であるJPモルガンは、2019年末のS&P500の目標を3,200ポイントへと引き上げました。2020年11月の大統領選まで、アメリカ株はなんとか高値圏を維持することでしょう。

日本株式市場も向こう1年間は高値圏を維持することでしょう。日経平均は、来年11月までに2万4,000円台を目指すかもしれません。

私たちは、「短期的なさや取り」にあまり夢中になることなく、「大停滞」の中、「戻り売り」に徹した方が良さそうです。

ゴールドは乱高下が激しいけれども、いざ本格的に「社債バブル」が実際に「スクイーズ」し始めたら、ゴールド価格は上昇します。株価下落のヘッジになるので、ゴールドはそのまま保有し続けること。

Next: 2つのバブルの正体と、そのバブルがどのように崩壊するのか



見えてきた「2つのバブルの正体」と「大停滞」と「スクイーズ」

<数年後のお話>

いよいよ「バブルの正体」が明らかになってまいりましたね!

「バブルの正体」は2つあります。その2つとは、アメリカ株式市場ではなく、アメリカ民間企業の「社債バブル」と、アメリカ連邦政府の「ドル国債バブル」です。

「社債バブル」は、「短期債務サイクル」です。

この「短期債務サイクル」は、およそ10年前後(「8年±アルファ」)のサイクルで膨張しては弾けています(前々回の「ITバブル」も、前回の「サブプライム・バブル」も、この「短期債務サイクル」の上で起きていた「普通の不況」です)。

今回の「社債バブル」は、弾けることなく「スクイーズ(徐々に崩れて行くこと)」の形を取ることでしょう。

その一方で、「ドル国債バブル」は、20世紀初頭から眺めると、およそ「70年~80年」の周期で膨張して弾けています。

これは、「ドル国債10年物の金利(長期金利)」で眺めれば、「アメリカという覇権国家の興亡の歴史」でもあります。

「社債バブル」はクラッシュすることなく「スクイーズ」のように進行するかも知れません。ある日突然名のある企業が倒産したりするのです。「プチ不況」はじわじわ訪れそうなのです。

この「プチ不況」中で、遅かれ早かれ「ヘリコプターマネーの大規模な出動」が行われることでしょう。

ところが、向こう数年以内(?)に、「ドル国債バブル」のほうが弾けると、今まで経験したことのないような「大型で深刻な不況」が訪れそうです。あえて比喩すれば、「1970年代型のスタグフレーション(不況の中の物価高)」タイプの「大型不況」が訪れる可能性があります。

ある日突然、カリフォルニア(?)などの地方公共団体や年金基金などが破綻し始めます。

順番としては、数年後(?)の「大型で深刻な不況」が到来する前に、アメリカでは「社債バブル」のほうが先に「スクイーズ(徐々に崩れること)」し始めて、じわじわと「プチ不況」が訪れそうです。

アメリカでも、日本でも、この「プチ不況」から脱出のために、いよいよ本格的かつ大量に「ヘリコプターマネー」が出動することでしょう。

要するに、アメリカでは、左(民主党)であれ右(共和党)であれ、次の大統領は今よりももっともっとポピュリズム(大衆迎合主義)に流されることでしょう。それは「歴史が証明」しています。

Next: 歴史はこれから、どんな未来が訪れることを証明しているのか…



歴史が証明、アメリカでいよいよ「深刻で大型の不況」が巻き起こる

2020年の大統領選挙以降(?)の「プチ不況」脱出のために、次期大統領はいよいよバカスカ「ヘリコプターマネー」を多発するわけです。「プチ不況」と「大衆迎合主義」の中で、「ヘリコプターマネーの発動」の「歯止め」が効かなくなるでしょう。いつの世も、大衆は「パンとサーカス」を求めるのです。

ヘリマネ出動の多発で、数年後(?)にはいよいよ物価がコントロールできなくなるでしょう。通貨としてのドルは安くなるのです。

アメリカでは「トリプル安(アメリカ株安、ドル安、ドル国債の金利上昇)」が巻き起きそうです。かくして、数年後(?)には、アメリカでは、いよいよ「深刻で大型の不況」が巻き起きる可能性が、今から指摘されています。

このことは、「歴史が証明」しています。

この「大型不況」は、私たちが1970年代以来経験していなかった「スタグフレーション(物価高を伴う不況)」を伴うことでしょう。振り返ると、サブプライ危機の折り、「中央銀行がQE(量的金融緩和策)を発動する」ことに猛反対していた経済学者たちは少なくなかったです…。

彼らQE反対派の経済学者たちの持論は、「中銀がQEに一旦手を染めると、いつかは愚かな為政者が現れて大衆に迎合するようになり、QE発動に歯止めが効かなくなる。やがては、景気拡大期においてもQEは常用されるようになり、さらには国債の利払いのためにもQEは常用されるようになる」と言う内容のものでした。

本当に、その数年後、トランプ大統領が登場しました。

そして、「MMT(現代金融理論)」への傾斜などなど、本当に「そういうこと(GE発動に歯止めが効かなくなること)」が今後は起こりそうなのです。まさしく、「ローマ帝国興亡」史以来の「歴史は繰り返す」…。

アメリカは覇権国家の座から少しずつ滑り落ちています。とは言え、中国がアメリカの「覇権の座」に即座に取って代われるかどうか、なんだか怪しい。中国経済も大量の不良債権を抱えて、四苦八苦しています。

誰が勝者になるのか?誰にも分からない。誰も勝者にならないのではないでしょうか?

時代は、まさしく「覇権なきG0の時代」を迎えることでしょう。

こんな「暗い将来」が見え隠れしているけど、どうやら「大きな戦争」だけは起きそうもないのが、「心の救い」です。大戦争が起きるくらいならば、バカスカ「ヘリコプターマネー」を発動したほうが「まし」だからこその「ヘリマネ出動」なのです。

「財産も命も失う大戦争」よりも、「10年続くスタグフレーション(不況の中の物価高)」のほうが「まし」なのです。スタグフレーションでは財産は目減りしても、命までは奪いません。

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【要注意!】なお、資産形成および投資は、必ず「自己責任」でお願いします。この記事は藤井まり子の個人的見解を述べたもので、当メルマガ及び記事を読むことで何らかの経済的及び精神的被害を被ったとしても、当方は一切責任を負いません。

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image by: vipman / Shutterstock.com

藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』(2019年11月1日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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