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利上げ見送りで本領発揮のイエレン議長が日本に出した「1つの注文」=児島康孝

近づくアメリカ大統領選挙。イエレン議長のFRBはどう追加利上げに対処するのか?とみていたのですが、うまい方法をとりました。そして先日のECBドラギ総裁に続きイエレン議長からも日本について異例の発言。その意味を考えます。(『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』児島康孝)

【米FOMC】アメリカ大統領選挙を意識した絶妙の「市場との対話」

予想通り「現状維持」も、今後の金利引き上げ&ペース鈍化を示唆

日本時間のきょう(3月17日)午前3時に、アメリカの中央銀行FRBは「FOMC会合」の結果を発表しました。結果は、市場の予想通りの現状維持。「FOMCは、対処が遅れることを望まない」と述べ、今後の金利引き上げを示唆する一方、金利の引き上げペースが遅れる予測を発表。カンザスシティ連銀総裁は、0.5-0.75%への引き上げを支持して反対票を投じました。

今後の予測

2016年末FF金利0.9%
2017年末FF金利1.9%
※従来より0.5%低い
年内2回の利上げ
※従来より2回少ない
マイナス金利は、積極的に検討していない。大半の参加者は、長期にわたる利上げを想定。

アメリカ大統領選挙が近づく中、はたして、どうするのだろう、と思ってみていましたが、うまく考えていますね。

今後の金利の引き上げ方向は示す一方で、ペースを遅らせています。年内2回の利上げですと、今年前半で完了させることもできますし、アメリカ大統領選挙の直前に、かぶってこないですね。

予測はコミットメントではないとしているが、安心感は大

イエレン議長は、今後の金利の予測について、コミットメントではないとしています(つまり今後の約束ではない)。しかし、数字で示されますと、マーケットの不透明感は薄れ、安心感がでます。

このままであれば、2016年の前半に2回の利上げを行い、大統領選挙に予断を与えないよう、年の後半は静観するということになると思います。

イエレン議長は、就当初(2015年)は、利上げを躊躇する姿勢を見た経済メディアなどから、FRBの市場支配力の低下を懸念されましたが、最近はFRB議長にふさわしい能力と手腕を持っていることを示しています。

Next: イエレンFRB議長が日本の経済低迷について異例の発言、その真意とは



イエレンFRB議長が日本の経済低迷について異例の発言

先日の欧州中央銀行(ECB)ドラギ総裁の発言にも驚いたのですが、イエレン議長も日本について発言しています。

ドラギ総裁は、「欧州は、日本のようなデフレではない」という主旨の発言。イエレン議長は、「日本の景気縮小は、ある種の驚き」と発言。

これはつまり、「日本に、世界の景気の足を引っ張ってもらっては困る」と注文をつけているわけです。

日本のアベノミクスは、富裕層と大企業に富を生み出す一方、ほとんどの国民には恩恵が及んでいません。その原因について、このメルマガでは「インフレの環境である場合と、デフレの環境である場合は違う」と指摘してきました。

つまり、「インフレではたまったカネは流れ出すが、デフレのままでは富が偏在するだけ」ということです。

ここにきて日銀が「マイナス金利」を導入して改善する見通しですが、欧米からは「世界経済の足を引っ張るな」と言われているわけです。

ただし、これからは「マイナス金利」の導入で、日本の景気もようやく良くなってくると思います。日本の大手メディアの大半は「景気が良い」という報道をしていたものの、実は、強力なデフレが継続して多くの国民が苦境に。

それが統計上で明らかになり(=隠しようがない)、「景気縮小を欧米から指摘されている」というわけです。日本のデフレ脱却にも、こうした「外圧」もあって、はずみがつくでしょう。

【関連】2016年「アベノミクス官製相場」の仕掛けと対策 問題は7月参院選後=吉田繁治

ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2016年3月17日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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