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「グランビルの法則」入門~8つのシグナルで売買チャンスを把握する=清水洋介

相場の動きを探り、買い時・売り時・休み時を判断するのに役立つチャート分析講座。今回は移動平均線と株価の位置関係から8通りの売買シグナルを出す「グランビルの法則」について、証券アナリストの清水洋介さんが解説します。(『投資の視点』清水洋介)

筆者プロフィール:清水洋介(しみずようすけ)
大和証券、外資証券会社、外資系オンライン証券会社などを経て、証券アナリスト「チャートの先生」としてテレビ・雑誌等で活躍し、現役ディーラーとして日々相場と対峙している。 日々是相場や講演などを行っている。2014年5月株式スクール開校。

移動平均線とグランビルの法則をチャートの先生が実地指南!

まずは「移動平均線」の基本を復習

「ローソク足」とともによく使われるテクニカル指標に「移動平均線」があります。

移動平均線というのは、ある一定期間の株価(終値)の平均値を折れ線グラフで表したもの。平均する期間(5日、25日など)が固定されるため、時間が経つに連れて平均する対象も移動するので「移動平均」と言われます。

例えば、下図のように株価が推移したとすると、「5日移動平均(5日間の平均値)」は下図の表のようになります。

移動平均線は「ローソク足」と一緒に表示されることが多く、下の図1のような折れ線グラフで表わされます。図1のグラフでわかるように、「日々の動きより5日移動の方が緩やか」「5日移動平均より25日移動平均の方が緩やか」 という具合に、移動平均の期間が長い方が緩やかな動きとなります。

これを利用して、株価の方向性を探るのに使われることもあります。 実際に使用される移動平均の期間としては、日足の場合には1ヶ月としての25日(土曜立ち会いの無い現在は20日を使う場合もあります)と小回り3ヶ月を表わす75日(同60日)が多く、短期線としては5日(一週間の意味)が多く使用されます。日経平均等の株価指数では、超長期線として100日線・200日線等もよく使用されます。そのほか長期線として、週足ベースでの13週移動平均(3ヶ月)・26週移動平均(6ヶ月)が使われます。

図1:ローソク足と5日、25日移動平均線
赤色の線が5日移動平均、青色の線が25日移動平均を表します。

移動平均線は、それ自体が相場の方向を表すと同時に、その移動平均線の計算期間の「売り買いのコスト」と考えられます。したがって移動平均線が、サポートになったり、抵抗線になったりします。つまり、「移動平均まで下落しそうだ」とか「上値は移動平均線で押えられてしまった」などと言われるのです。また、移動平均線と大きく株価が乖離(かいり)するときは移動平均線まで戻るというような使われ方もあり、毎日の株価をチェックするように移動平均線の位置のチェックも重要なこととなってきます。

移動平均線のこういった性質を利用して株の売買に役立てようという試みも数多く行われてきましたが、これを体系立てて考える際によく使われるものに「グランビルの法則」 というものがあります。

Next: 「グランビルの法則」必ず知っておきたい移動平均と株価の位置関係8パターン



「グランビルの法則」必ず知っておきたい移動平均と株価の位置関係8パターン

移動平均を使用した投資方法の中で代表的なものの1つが「グランビルの法則」です。これは、移動平均線と株価の位置関係から買いまたは売りのシグナルを出すものです。

元々は200日移動平均線を使ってのシグナルですが、現在では長め(といっても20日以上)の移動平均線であれば、期間に関わらず使われています。主なシグナルは以下の通りで、売り・買い4つずつ=計8通りのシグナルがあります。

買いシグナル(1)
移動平均が上昇あるいは横ばいのとき、移動平均の下にあった株価が移動平均の上に突き抜けてきた場合、買いシグナルとなる。

買いシグナル(2)
移動平均線がまだ上昇をしているとき、この移動平均線を株価が下回ったときに、買いシグナルとなる。

買いシグナル(3)
株価が移動平均線の上にあり、平均線に向かって下落したが、移動平均線を下回ることなく反発。再び上昇したときは、買いシグナルとなる。

買いシグナル(4)
下降している移動平均線を株価が下回り、さらに大きく下落したときは目先、移動平均線までの反発が期待できる。移動平均を大きく下回ったときは、買いシグナルとなる。

売りシグナル(5)
移動平均が下落しているかあるいは横ばいのとき、移動平均の上にあった株価が移動平均を下回ってきた場合、売りシグナルとなる。

売りシグナル(6)
移動平均線がまだ下落を続けているとき、この移動平均線を株価が上回ったときに、売りシグナルとなる。

売りシグナル(7)
株価が移動平均線の下にあり、平均線に向かって上昇したが、移動平均線を上回ることなく反発。再び下落したときは、売りシグナルとなる。

売りシグナル(8)
上昇している移動平均線を株価が上回り、さらに大きく上昇したときは目先、移動平均線まで反落することが多い。移動平均を大きく上回ったときは、売りシグナルとなる。

Next: ゴールデンクロス(GC)とデッドクロス(DC)がよく当てはまる条件とは?



ゴールデンクロス(GC)とデッドクロス(DC)がよく当てはまる条件とは?

ゴールデンクロス(GC)
ゴールデンクロスとは、2本の移動平均線を見たときに、計算期間の「短い移動平均線」が「長い移動平均線」を下から上に抜けることを言い、買いシグナル とされます。ただし、株価・短期移動平均線・長期移動平均線のすべてが上昇しているときの方が、買いシグナルの当てはまりがよいみたいです。

デッドクロス(DC)
デッドクロスはゴールデンクロスの反対で、「短期の移動平均線」が「長期の移動平均」を上から下に割り込むことを言い、売りのシグナルとされます。これも、株価・短期移動平均線・長期移動平均線のすべてが下降している時の方が当てはまりがよいようです。(図3・図4 参照)

移動平均線のゴールデンクロスやデッドクロスを「買いシグナル」「売りシグナル」とするときに注意が必要なことは、移動平均を使った指標は常に「遅行性」がある、つまり「シグナルが遅れる傾向にある」ということです。この「遅行性」を補うために、ゴールデンクロスやデッドクロスではなく、移動平均間の「差=乖離(かいり)」の変化を見るという方法もあります。それでも「デッドクロス」になると思ったら急反発して「ダマシ」となるようなことも多く、これらの移動平均線のクロスは「売り買いのシグナル」ではなく、「トレンドの変化」を確認するツールとして使用した方がよいかもしれません。

今回は移動平均線について簡単に述べました。他にも指数平滑移動平均線(MACDの元になるもの)や「高値・安値移動平均線」など、移動平均線を使ったツールは数多く存在します。ただ、単純に毎日の引け値の「移動平均線」だけでも十分活用するに値します。日々の株価動向に惑わされないためにも、トレンドの方向を見るうえでも非常に有効な方法なので、ぜひ移動平均線に注目してみてください。

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投資の視点』(2016年3月8日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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