目隠しアンケート調査としてA社とB社という2銘柄を掲げてどちらに投資したいと思うでしょうか?セミナー来場者とアナリスト陣の見方の違いについても解説。(『億の近道』炎のファンドマネージャー)
小学生から証券会社に出入りし、株式投資に目覚める。大学入学資金を株式の利益で確保し、大学も証券論のゼミに入る。証券会社に入社後は一貫した調査畑で、アナリストとして活動。独立系の投資運用会社でのファンドマネージャーの経験も合わせ持つ。2002年同志社大学・証券アナリスト講座講師を務めたほか、株式漫画の監修や、ドラマ『風のガーデン』(脚本:倉本聰)の株式取引場面の監修を行う。
株価低迷中の銘柄が見直される時は、突然に訪れる
銘柄名を隠した2社の評価はどのように判断されるのか?
今年も残り20日余りとなってきました。皆様におかれましては、師走相場をお楽しみになっているものと拝察致しております。
先日の創刊20周年記念セミナーでは過去を振り返り、今後の展望をさせていただいたうえでポートフォリオをご提示させていただきました。皆様もそれぞれの思いで銘柄を選定し、リスクテイクされているものと思いますが、全体相場に対してどのような成果が得られているかは気になるところです。
セミナーで取り上げたLibWork<1431>は急騰後、小一服といったところですが、PER30倍水準までの上昇後のミニ調整局面と捉えることができます。ビジネスモデルは単なる熊本と言う地域に根差した注文住宅メーカーではなく、IT×住宅をベースとした全国展開を図るライフスタイル提案型の住宅メーカーという位置付けということでご理解いただくことがポイントになります。12月末には2分割を予定。権利落ち後の株価変動が関心事となっています。
ソーラー販売大手のグリムス<3150>のグループ子会社グリムスソーラーとの事業提携を図っており、今後のスマートハウスの展開を図る意向。今後も住宅周辺分野企業との提携に向けた活発なアクションが期待される点で、中長期的な時価総額の向上を大いに期待したいところです。
セミナーでは目隠しアンケート調査としてA社とB社という2銘柄を掲げて、来場された皆さんがどちらに投資されるかをお聞きしましたが、多くの皆さんが下記のうちのBに投資するということで支持をされました。そこでセミナー開催後の株価を簡単に見ておきます。
<目隠しアンケート調査>
あなたはどちらのマザーズ銘柄に投資されますか?
[A社]
時価1,798円、今期予想EPS14.79円(予想経常増益率86.6%)、時価総額446億円、3Q累計経常利益4.2億円 通期5.28億円
[B社]
時価400円、今期予想EPS17.55円(同▲48.7%)時価総額75億円、実績経常利益10.28億円、今期予想経常利益5.27億円(先行費用6.7億円)
Next: A社とB社はそれぞれどんな企業なのでしょうか?
セミナー来場者が選んだのは、B社のリンクバル
実はA社はギフティ<4449>で9月にIPOしたばかりのeギフト事業を展開する成長企業で直近になって1,400円から2,000円台にまで上昇を演じた銘柄。時価は1,760円で今期上方修正含みで好業績ではあるが、既に時価総額が436億円という水準で今期の予想経常利益5.28億円の82倍とやや行き過ぎの感がある。
これに対してB社は2015年にIPOした街コンを展開するリンクバル<6046>であったが、名前を伏せてのアンケートに多くのオクチカ読者が支持されたことに敬意を表したい。
というのも株価のトレンドなどは明らかにしないで、先行投資を6.7億円もかけることで今期業績計画を減益としている銘柄を支持されたことが凄いと感じますし、しかもそうした企業の時価総額が75億円という水準にあることが皆さんの評価につながったものと拝察されます。
実はリンクバルの株価は昨年12月の今頃は1,765円という6分割後の高値をつけていました。それが389円という株価にまで先週は落ちてしまいましたので、買っても買っても値下がりする同社を冷静な目で見てもらいたかったというのが私の今回のアンケート調査の意図したことだった訳です。
残念ながらプロと言うべき執筆陣の皆さんはA社を評価されましたが、これは致し方ない話です。まともなアナリストであれば減益見通しを疑ってかかることになります。一方では大幅増益を支持する気持ちは当然のことなのです。
結果としてその後の2社の株価はどうだったかと言いますと、ギフティ株も比較的落ち着いてはいますが、なかなか伸びきれない株価の動きが見られます。
一方でリンクバルは先週末、突然の上昇を見せており、一気に453円という高値水準にまで達し、先週末の終値は442円となったのです。しかも出来高も114万株を超える大商い。つまりセミナーでお話したあとも389円まで値下がりしましたが、400円以下で投資された方はとても良い成果を得られたのではないでしょうか。
つまり株価が低迷してきた銘柄にもチャンスあり。減益だから駄目だと言わずに皆さんもしっかり吟味されてみてはいかがでしょうか。
株価だけではなくもちろん、内容が大事でもあります。
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『億の近道』(2019年12月9日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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