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HISの敵対的TOB合戦の末、EBOを選択したユニゾ…従業員による運営の行方に注目

12月22日、ユニゾホールディングスが、従業員による公開買付け(TOB、エンプロイー・バイアウト=EBO)に賛同を表明。その詳細について解説します。(『元証券マンが「あれっ」と思ったこと』)

買い付け価格は、市場価格やほかのTOB提示価格を上回る5,100円

従業員自らが当該契約の遵守を求める

12月22日、ユニゾホールディングス<3258>が、従業員による公開買付け(TOB。エンプロイー・バイアウト=EBO)に賛同を表明した。
※参考:株式会社チトセア投資による当社株券に対する公開買付けに関する意見表明(賛同)の概要‐ユニゾホールディングス株式会社

以下はその概要。

<1.EBOの要旨>

・特別委員会:「本取引は当社の企業価値向上・株主共通の利益に資すると考える」と答申
・当社取締役会:TOBに賛同し、株主に応募推奨することを全員一致で決議

(1)株主共同の利益の確保
買付価格5,100円は市場での価格・他のスポンサー提示価格をも上回る株主にとっての最優位価格

(2)企業価値の維持・向上
・会社としての現在の形態を基本的に維持

・ローン・スターグループは、スポンサーとしてTOB資金及び日米における不動産事業等のノウハウ、ネットワーク等を提供

・SPC((株)チトセア投資)株式の2/3超を、当社グループの従業員を実質株主とする(株)チトセアが保有

⇒ ローン・スターとの資金調達に関連する契約も(株)チトセア投資が当事者として直接契約=従業員自らが当該契約の遵守を求めることが可能

<2.ストラクチャー>

(1)チトセア(株):持株会社。当社グループ従業員73名(順次拡大予定。含 在籍2年未満の執行役員)

(2)(株)チトセア投資:公開買付人。出資者はチトセア(73%)、ローン・スター(27%)

1)当社による賛同意見表明の撤回・反対意見の表明の場合には約17.5億円、賛同意見表明の撤回・競合提案に係る取引が実行された場合には1.5億円の支払い義務(「ブレークアップ・フィー」)

2)完全子会社化後の当社の取締役:(株)チトセア投資が全ての取締役を指名する権利を有す

3)(株)チトセア投資によるTOBへの賛同意見表明に伴い、代表取締役含め当社及び当グループ会社の全取締役、全監査役、全執行役員(総数43名)より辞任の申出

(3)ローン・スター:チトセア投資宛て、公開買付金1,750億円(融資:最大1,300億円)、優先株式出資(最大450億円)を供与

Next: 従業員による会社運営が、どのような展開を見せるのか…



<3.TOBの概要>

(1)公開予定数
下限:22,813,400株(発行済株式総数の2/3超)
上限:全株(100%)
TOB成立後は株式売渡請求又は株式併合により当社をチトセア投資の完全子会社とする

(2)買付価格
5,100円/株(>算定機関3社のDCF法の最高値4,705円)

(3)買付期間
2019/12/24~2020/2/4(25営業日)

(4)TOB代理人
東海東京証券

<4.株価終値推移>

12/11 4,775円、12/20 4,900円、12/23 5,160円

<感想>

本件は、ユニゾホールディングスの取締役会がEBOを選択した事例。現経営陣に頼ることなく、従業員の誰が会社運営をすることになるのか、また実際に運営できるのか、今後のEBOの進展に注目していきたい。

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image by : Jacob Lund / Shutterstock.com

元証券マンが「あれっ」と思ったこと』(2019年12月23日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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