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日経平均は1万6,000円へ? 2020年、日本株は春と秋に2度暴落する=長谷川雅一

今年「春と秋に2度、日経平均は暴落する」というのが、僕の予想です。春の暴落で2,000円~3,000円幅で下げ、秋の暴落で3,000円~5,000円幅で下げ、その傾向はさらに2021年に引き継がれる。2020年~2021年にかけて、日経平均は1万6,000円程度にまで水準を下げるというのが僕の予想です。(『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』)

プロフィール:長谷川雅一(はせがわ まさかず)
1959年、岐阜県生まれ。株式会社プレコオンライン(金融商品取引業)代表取締役社長。2000年より株式投資の研究を始め、日本で初めて「株の自動売買」という言葉を使った著書を出版。株式投資の世界では、「株の自動売買」ブームの火付け役として知られている。現在は、YouTubeでRadiOyazi(ラジオヤジ)として、投資関連の動画を毎日配信している。

常に「暴落」と背中合わせ?日銀の無計画な金融緩和は続かない…

29年ぶりの高値

米中貿易摩擦やイギリスのEU離脱などの問題で揺れた2019年の株式相場ですが、終わってみれば、おおむね堅調だったと言えるでしょう。大納会の終値は2万3,656円で、これは「29年ぶりの高値」となりました。

思い起こせば、2019年の1月は、まだ18年からの暴落の余韻が残っていましたし、お正月まっただ中の1月3日には、為替のフラッシュクラッシュありと、波乱の幕開けでした。

また、19年の5月と8月には、それぞれ日経平均が2,000円程度下落する調整もありました。

それでも、堅調なアメリカ市場に支えられて、19年12月中旬以降は、日経平均が何度か2万4,000円を超える場面もあり、「2020年のさらなる上昇」が期待される大納会となったわけです。

ただ、日経平均の月足、あるいは週足を見ればわかりますが、この2万4,000円は、これまで、2018年1月と10月に2度トライして、いったん抜いたものの、結局押し戻されてしまった、強いレジスタンスライン(上値抵抗線)です。

日経平均の2万4,000円トライは、2019年12月で3回目ですが、これまた、年末に押し戻され、まだしっかり超えることができていません。

こんどこそ、「三度目の正直」となるのでしょうか?

つまり、2020年を迎えて、日経平均は、2万4,000円をしっかり上抜き、レジスタンスだった2万4,000円がサポートライン(下値支持線)に転換して、さらに上値を追うような、強い値動きを見せることができるのでしょうか?

上昇の「起点」は2012年のアベノミクス

日経平均の週足、月足といった長いスパンのチャートを見れば一目瞭然ですが、2019年の堅調な相場の起点は、2012年から始まった「アベノミクス」です。それまで8,000円付近で低迷していた日経平均が、アベノミクス相場が始まって激変。一気に上昇トレンドを形成したのです。

アベノミクス以前、8,000円付近にあった日経平均は、アベノミクス相場が始まってから、約7年間で2万4,000円になりました。約3倍、1万6,000円もの上昇です。

2019年も、このアベノミクス相場が続いていたからこそ、堅調な相場になったと言えるでしょう。

日銀はこの間、東証の時価総額、約600兆円の約5%にのぼる、約28兆円のETFを買い込んでいます。これに事業法人、つまり大企業が追随した。さらには「流れに乗った買い」が得意な外国人投資家の買いも呼び込んで、ようやく、2万4,000円への3度目のトライに「こぎつけた」というのが、日本の株式市場の現実です。

日銀はETFだけでなく、国債も「しこたま」買い込んでいます。その額、なんと450兆円、これは市場全体の40%を超えています。

巨額のETF購入と国債購入。「常軌を逸している」とも言える、こうした捨て身の金融緩和の結果が、日経平均2万4,000円なのです。

Next: 日経平均は2万4,000円がピーク?日銀の「無計画」な金融緩和は続かない



日銀の「無計画」な金融緩和は続かない

日銀の巨額のETF、および国債の購入。この大規模な金融緩和は、いったい「いつまで」続くのでしょうか?つまり「日銀はいつ金融緩和を終える」のでしょうか?

また、金融緩和を終えたあと、誰がどのように「後始末」を行うのでしょうか?

この質問に回答できる人はいません。

日銀の黒田総裁に聞いても、ニタニタ笑うだけで答えはありません。なぜ答えられないか?「何も決まっていないから」です。

わが日本政府は、何の計画もないまま、ただ「目先の株価を吊り上げる」ことを目的に、年間国家予算の何倍もの金額を注ぎ込んでいるのです。

しかも、株は上がれど、国民の暮らしは少しもラクになっていません。実質賃金は、2000年を100としたとき、2017年の段階で90割れ。少子高齢化、ろくな仕事はなく低賃金が常態化、そこに増税が追い打ち。

ハッキリ言って「何の効果も意味もない金融緩和」ではありませんか。

日経平均が2万4,000円を超え、3万0,000円を目指すためには、日銀はさらなる金融緩和を行わなければなりません。

しかし、そんな余力は「もうない」し、やる意味もない、と見ておくべきでしょう。実際、2019年から日銀は、静かにETFの購入額を減らしているのです。

今の相場は常に「暴落」と背中合わせ

このような状況下で、日経平均が2万4,000円を超え、3万円に向かうことは難しいと、僕は考えています。

いったい、どのような「推進力」あるいは「原動力」で、それを成し遂げるというのでしょうか。

アメリカ市場は堅調ですが、米中貿易摩擦は「覇権争い」ですから、完全な解決は難しいと考えます。

現在の市場を動かしているのは、AIによるアルゴリズム取引であり、ちょっとしたキーワードで、いつ暴落が引き起こされるか、わかりません。

いったん暴落が始まると、ブレーキが効かなくなるのも、AI相場の特徴です。現在の相場は、常に「暴落」と背中合わせなのです。

日米の株価を比べてみれば、「米強日弱」の相場が常態化していることが、よくわかります。

米国の株式市場が変調をきたせば、米ドル/円が下落し(円高になり)、日本株が売られて日経平均が下がります。

僕は今後、日銀が徐々に「見えない金融緩和の縮小(ステルス・テーパリング)を進める可能性が高い中、日経平均は2万4,000円をピークに、調整する可能性が高いと考えています。

Next: 2020年、日経平均は春と秋に2度暴落する



2020年日経平均は春と秋に2度暴落する

今年、「春と秋に2度、日経平均は暴落する」というのが、僕の予想です。
※参考動画「2020年日経平均は春と秋に2度暴落する

春の暴落は、2019年の上昇の反動によるもの。秋の暴落は、オリンピックの終了や、アメリカ大統領選挙による、米国の不透明感によるものであると、僕は想定しています。

春の暴落で、日経平均は2,000円~3,000円幅で下げ、秋の暴落で、日経平均は、3,000円~5,000円幅で下げ、その傾向はさらに2021年に引き継がれる。

2020年~2021年にかけて、日経平均は、1万6,000円程度にまで水準を下げる、というのが僕の予想です。

アベノミクス相場が始まる前、日経平均は8,000円でした。

これが2万4,000円にまで膨張したのですが、金融緩和の限界から、とりあえず「半値戻し」の1万6,000円まで下落する、というのが、テクニカル的に見ても自然な流れであると、僕は感じています。

あなたは「29年ぶりの高値」から買い上がりますか?

前年末に株価が堅調だと、「今年も上がる」という予想が出やすくなります。しかし、相場は「29年ぶりの高値」なのです。株は安い時に買わなければなりません。

「29年ぶりの安値」で買うのならわかります。しかし「29年ぶりの高値」から始めて、さらに高値を追うトレードは、極めて危険であると言わざるをえません。

2020年の相場は「売り目線」が基本でしょう。

アベノミクスの終焉とともに、株価は、とりあえず1万6,000円に向かう、という僕のシナリオが実現するかどうかは、わかりませんが、2020年、少なくとも、24,000円からの「高値追い」は無謀である可能性が高いことを意識しながら、慎重なトレードをするべきであると、僕は思います。

Next: 米ドル/円は今後、遅くとも2年程度で1ドル=100円を目指す



2年程度で1ドル=100円へ?

本稿では、日経平均の見通しを述べるにとどめますが、筆者(長谷川雅一=RadiOyazi)の動画では、為替についての見通しも述べています。

端的に言えば、米ドル/円は、今後、遅くとも2年程度で1ドル=100円を目指すというのが筆者の予想です。詳しくは上記の動画をご覧ください。チャート画像も引用しつつ、わかりやすく解説しています。

また、筆者はYouTubeで「ラジオヤジのYouTube研究所」というチャンネルを開設し、毎日、相場についてのコメントや、投資についての有益な情報を発信する「相場天気予報(日刊)」「今週の相場展望(週刊)」というレギュラー動画番組を配信しています。参考にしていただければ幸いです。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年1月8日)
※記事タイトル・太字はMONEY VOICE編集部による

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