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中国富裕層が欲しいものを先んじて買うが正解、2020年のポートフォリオ戦略=田中徹郎

年頭恒例になりました、「2020年の世界経済」「今年の相場の予想(株、債券、国際商品、現物資産)」「推奨ポートフォリオ」などを予想していきます。(『一緒に歩もう!小富豪への道』田中徹郎)

プロフィール:田中徹郎(たなか てつろう)
株式会社銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。

世界の経済情勢から、2020年型ポートフォリオを考える

アメリカと中国はどう動くのか、2020年の世界経済

まず今年の世界経済に影響を与えそうな出来ごとを列挙し、順にその影響を考えてみたいと思います。

<米中貿易摩擦>

昨年同様、この問題は世界経済にとって最大の関心事になると思います。ただしこの一年で両国の国内事情はずいぶんと変わりました。

まずはアメリカ側です。今年アメリカでは大統領選挙がありますので、トランプさんは昨年以上に支持率を意識せざるを得ません。

トランプさんの関心事は「中国に対する強硬姿勢が票になるか否か」の一点だと思います。

もちろんアメリカにはいろんな考えを持った人がいますが、国民の最大の関心事は何かと問われると、やっぱり「経済」ということになるのではないでしょうか。

それも「中長期的なアメリカ経済」といった高尚なものではなく、たとえば自分が持っている株が上がるかどうか、自分の給料が上がるか下がるか…。大半のアメリカ国民、はこんな目先の利益にひっぱられて投票するのではないかと思います。

確かに「中国に対する強硬姿勢」も票になるのでしょうが、強硬姿勢を強めすぎると、より重要な「経済」にマイナスです。

トランプさんが「中国に対する強硬姿勢」と「経済」を天秤に掛けるなら、その答えは明白で、「経済」に力点を置かざるを得ないはずです。

このような観点から、トランプさんは中国との妥協点を探す一年になるでしょう。

一方の中国はどうでしょう。

お忘れのかたも多いと思いますが、中国にとって今年は経済的に重要な年です。なぜなら同国は今年のGDP規模を、対2010年比で倍増させると公言しているからです。

直近の四半期(2019年7-9月期)のGDP成長率はすでに6.0%まで下げましたが、目標達成にはこのあたりが限界で、ここからさらに失速すると、習近平さんの責任を問う動きが共産党内部で起こるでしょう。

ですから中国は少なくとも今年一年、「アメリカとの覇権争い」のトーンを薄めることになると思います。

つまりある程度アメリカと妥協しながら、経済にやさしい政策を採るということです。

このように米中ともに、それぞれの大人の事情で妥協点を探す必要があり、それが幸いに世界経済にとって、プラスに働くとみております。

Next: ことしの経済のキーポイント、5Gと通貨秩序の動向とは?



<5G>

5Gに関しては当メルマガでもたびたびとり上げてきましたので、ここで改めて紹介いたしませんが、今年はいよいよ世界的にみて「5G実需の元年」となるでしょう。

5Gはすそ野が広く、検査装置や回線敷設など川上から始まって、半導体や端末装置に至るまで、今年一年かけて徐々に川下に向け、関連需要が盛り上がってくると思います。

なかでも日本の会社は、良い立ち位置にいるといえるでしょう。

すでに完成品分野ではかつての有力企業の多くは姿を消してしまいましたが、電子部品(デバイス)、素材、検査機器、製造装置など、表面に現れてこない「黒子の分野」では、圧倒的な技術とシェアを持つ有力なメーカーがたくさんいます。

<通貨秩序の動揺>

一方で気になることもあります。

世界の中央銀行の歴史は1600年代後半までさかのぼることができますが、それ以降300年以上にわたり、私たちは延々と、中央銀行が管理する貨幣システムを利用しながら生活してきたといえるでしょう。

貨幣システムの根幹は2つあると僕は思います。1つ目は通貨に対する信頼、2つ目は発行量の適切な管理、です。現在の中央銀行を見渡すと、この2点ともに動揺が見られます。

いわゆる長年の「制度疲労」というヤツで、これはもうどうしようもないと思います。

代わってみられるのは新しい通貨秩序の台頭で、その特徴をまとめると1つ目は通貨のデジタル化、2つ目は通貨の拡散ということになるでしょう。

「通貨の拡散」という言葉は僕が勝手に造ったものですが、たとえばビットコインの登場やリブラ構想など、中央銀行に依存しない諸通貨の乱立を指します。

中国はすでにデジタル人民元の発行に向け、準備をしていますし、もしかしたら暗号通貨のような投機的なものではない、「新しい民間デジタル通貨構想」が現実味を帯びてくるかもしれません。

旧来の通貨秩序から新しい通貨秩序へ移行する際に、いったいどのような混乱があるのか、それともスムーズに移行できるのか…。

大局的にはそのあたりが今年の注目点のひとつになるのではないでしょうか。

Next: 株、債券、商品など…2020年の相場はどうなる?



今年の相場の予想(株、債券、国際商品、現物資産)

では相場のほうはどう動くのでしょう。

<株>

先進国に新興国株、昨年は株の保有者にとって良い一年でしたが、今年はどうでしょう。上記でお話ししましたように、今年は米中摩擦も小康期にはいるとみておりますし、5G需要も期待から実需の初期段階に入るでしょう。

中央銀行の政策をみても、たとえばアメリカは大統領選挙の年ですので、FRBは利上げをしづらいはずです。

アメリカの政策金利は世界全体に影響が強く、これは世界経済にとって追い風です。中東や北朝鮮など地政学リスクは気になりますが、メインのシナリオとして世界株は比較的堅調に推移するとみております。ただし国や地域によってバラツキがあるのは、毎年のことです。アメリカ株に対して僕はさほど強気になれません。

今年一年の米国企業の収益は、一般的に5-10%程度の増益とみられていますが、米国株の上昇も、せいぜいその程度にとどまるのではないでしょうか。

すでにアメリカ株のPERはS&P500ベースで18倍程度に達しており、リーマン・ショック以降の平均値を超えています。もし今年一年の上昇率が企業の増益率(予想ベースで5-10%)を超えるなら、PERはさらに上昇し、少し危険なゾーンに入るでしょう。

一方で僕は日本株に対しては強気です。

冒頭でお話ししたように、5G実需の立ち上がりは日本企業とって好材料です。足元のEPS(注)は1,640円近辺にありますが、仮に今期(2021年3月期)の増益率を10%と仮定するとどうでしょう。
注)EPSは一株当たりの利益です、EPSにPERを掛けると株価になります。なおここでのEPSは日経平均構成銘柄のEPSです。

この場合、今期末基準のEPSは1,804円となります。

1,640円×110%≒1,804円

日本企業の適正PERを15倍と仮定すれば、日経平均のめどは2万7,000円ほどです。

1,804円×15倍=2万7,060円

新興国株も悪くないと思います。

アメリカの利上げが無いと読むなら、新興諸国側は利下げが容易になります。利下げは経済にとってプラスですし、アメリカの利上げが無いとしたら、新興国からの資金流出の懸念もさほどありません。

また中国経済が底堅いと読むなら、同国と経済的なつながりが深いASEAN諸国の株は、カイでいいと思います。

Next: 金利やゴールド・原油などの商品は2020年どう動くのか?



<債券と金利>

上で申し上げたように、アメリカは政治の季節に入りますので、FRBは金利を上げづらいでしょう。

再選狙いでトランプさんが減税策をとる可能性がありますが、それがなくても昨年3度行った利下げの効果は続くでしょう。米中摩擦も小康期に入りそうですし、5G実需も出てきます。

このようなことからアメリカの景気はやや加速するとみております、したがって金利はやや上昇傾向で、現在1.8%程度の10年債金利は2.5%程度を目指す可能性が高いとみております。ですから米国債への投資をお考えの方は、少しお待ちになったほうがよいのではないでしょうか。

同様に理由で日本の景気もやや加速、長期債の利回りは水面上に浮上するとみております。

<国際商品相場>

昨年のトピックスは、なんといってもパラジウムの急騰でした。金も上がりましたが、パラジウムは5割以上も上昇です。では今年はどうでしょう。

今年の金価格上昇の三大要素は以下の3つです。

1. 中央銀行による金の買い
2. アメリカの利下げ
3. 地政学リスクの高まり、特に中東VSアメリカ

中央銀行の金購入は今年も続くのではないでしょうか、多くの中銀は外貨準備を米ドルからほかに分散したいと考えており、この動きは今後も続くのではないかと思います。アメリカの利下げはすでに停止されていますが、依然として低金利状態にあることに違いはありません、金利を生まない金の相対的な魅力は、今年もつづくのではないでしょうか。

中東や北朝鮮の情勢が安定に向かうとは到底思えません、紛争や戦闘が起きる都度、金は買われるという構図は今年も続くのでしょう。さらに日米欧は相変わらず紙幣の供給を続けており、相対的な実物資産の価値は高まるでしょう。

金はこのような観点からも今年は値上がりする可能性が高いとみております。

一方でパラジウムは少し先が見えてきたのかもしれません。依然として供給が需要に追いついていませんが、今年なかばあたりには鉱山会社による増産体制が整い始めます。

中国の環境規制によって、ガソリン車一台当たりのパラジウム使用料は増えていますが、そう遠くない将来、需給のバランスは回復に向かうのではないでしょうか。このような見立てから、パラジウムは今年前半あたりがピークで、そのあとは徐々に下降トレンドに入るとみております。

次は原油相場です。

年明け早々に起きたアメリカ/イラン間の抗争により、一次的に原油相場は上がりました。今後両国の争いがどの程度深刻化するのか、そしてそれが中東全体に拡散するのか、など不透明感が漂っており、今年の原油相場から目を離せません。

長期的な原油相場の水準は、下は1バーレル=50ドル、上は同70ドルという見立ては変えておりませんが、今年は高値を追わず安全に、もし50ドル割れがあれば拾うというスタンスで、臨みたいと思います。

毎年穀物についても少し触れるようにしていますが、異常気象といわれる割には世界の穀物生産量は安定しており、直近では4年続きの豊作です。原油とは別の意味で予測不能…。

今年もまた想定レンジを割ったときのみ出動というスタンスを維持したいと思います。

Next: 現物は長期目線で、昨年から上昇する中国コインとカラーストーン



<現物資産>

現物資産については、いつも申し上げていますように今年という短い期間ではなく、長期的な視野に立って一定額を保有しておくべきではないかと思います。

昨年を振り返りますと、とにかく中国人が好む資産の値上がりが目立ちました。ストレートに申し上げますと、中国コインとカラーストーンです。

中国コインはリーマン・ショックがあった2008年あたりからジワジワ値上がりしていましたが、ここ数年でさらに加速した印象です。

カラーストーンの世界でも、中国人の存在感は増すばかりで、ルビーやスピネル、サファイア、ヒスイなど中国人が昔から好んできた石が買われました。

もしかしたら深読みしすぎかもしれませんが…。この現象の背景には、中国でいま準備が進みつつある「デジタル人民元」の導入があるのかもしれないと僕は考えてます。

人民元のデジタル化を進める中国当局の狙いは、人民元を米ドルと並ぶ基軸通貨に押し上げ、今後の覇権争いの布石を打つためだと思います。

すでにアジアやアフリカに形成されつつある中華経済圏や、中央アジアから東欧に伸びる一帯一路経済圏で、どのようにして人民元の地位を押し上げべきか…。より便利に使える通貨として人民元を位置付けるためには、人民元のデジタル化が有効だと考えているに違いありません。

さらにその副産物として、富裕層が蓄積してきたアングラマネーをあぶりだす効果も、人民元のデジタル化にはあるはずです。まさかデジタル人民元の導入と同時に、旧人民元を使用停止するといった手荒な政策は採らないとは思いますが、万一そうなった場合どうでしょう。

中国では地下経済が拡大しているようですし、貧富の差もわが国の比ではありません。富裕層ほど旧人民元廃止への危機感は強いはずで、そのテのマネーの一部が実物資産に流れ込んでいるのではないかと僕は思います。

もしこの見方がまちがっていなければどうでしょう。

さきほども申しましたように、仮に中国当局が近々デジタル人民元の試験導入を決めたとしても、おそらくその時点で旧人民元を使用停止にすることはないでしょう。逆に言えば中国富裕層にとって、旧紙幣の保有はリスクであり続け、その結果、あいかわらず中国富裕層マネーは実物資産に流れ込み続ける…。これが向こう数年の、もっともありそうなシナリオではないかと僕は思います。

繰り返しになりますが、実物資産投資の世界ではすでに中国人は巨大な存在です。過去数年と同じく、今年も「中国人が好む資産を先回りして買え」が有効ではないかと思います。

もう一つ想定しておきたいのは金融危機の再来です。世界はようやく先のショックから立ち直りましたが、この間ずいぶんと無理をしてきました。低金利(もしくはマイナス金利)と紙幣の過剰供給(QE)です。これほど異様な政策を続けてきたにもかかわらず、世界はあいかわらずデフレと低成長に包まれたままです。

この異様な金融政策を、いったいいつまで続ければよいのでしょうか。バブルはそれと気づかないうちに形成されますが、今の債券高、金利安は、すでにバブルではないのでしょうか?バブルの破綻を予見するのは至難の業で、いつやってくるかは神のみぞ知るです。

そのよう視点からも、私たちは一定額をペーパーアセットとは離れた世界に置いておかなければなりません。逆に言えば、そのような資産の質的分散を実践しているからこそ、安心してペーパーアセットの世界で収益を追求できるのではないでしょうか。

Next: 2020年に構成するべきポートフォリオの内容とは?



推奨ポートフォリオ

少し疲れてきましたが、最後は恒例の推奨ポートフォリオです、これを書かないわけにはゆきません。ここまでお話ししてきたような見通しにたつなら、2020年型ポートフォリオは

・やや積極性を高める
・金融ショックや通貨システムの動揺に備え、実物資産の保有を進める

という考えに基づいて必要最小限の組み換えを行う、というスタンスでいいと思います。

具体的な方針は以下の通りです。

日本株は5G関連銘柄中心に持ち高を増やす
・アメリカ株は現状維持
新興国株はやや強気、ASEAN株中心に持ち高増やす
・アメリカ国債の購入は10年債金利2.5%到達が目安
・商品相場は金と銀、プラチナなど貴金属中心、ただしパラジウムの新規購入はせず、逆に売り時を探す
金融ショックへの保険を実物資産でかける
・実物資産は「中国人の先回り」という発想で行う
・都内不動産は適正相場にある、ただし極力レバレッジをかけず、地道な投資を心掛ける

そのような考えに立った以下の推奨ポートフォリオですが、毎年申し上げていますように、これは一つのサンプルで、実際にはお一人お一人の資産状況やライフプランによって異なります、あくまで一つの投資のヒントとしてご活用ください。

<2020年型ポートフォリオ>

●先進国株(15%)
1.日本株個別銘柄
2.日本株ETF
3.世界ヘルスケア株ETF

●新興国株(15%)
1.ASEAN株ETF
2.新興国株分散型ETF
3.中国株ETF

●コモディティ関連資産(15%)
1.金ETF
2.プラチナETF
3.銀ETF

●債券(0%)

●ヘッジファンド(15%)
1.マネージド・フューチャーズ
2.株式ロング・ショート
3.裁定取引型

●不動産系資産(20%)
1.都内好立地不動産現物
2.ヨーロッパ現物不動産

●不動産以外の実物資産(20%)
1.カラーストーン(非加熱ルビー、スピネル、ヒスイ、非加熱サファイア)
2.クラシック・コイン(中国、アジア、ヨーロッパ各国、中南米)
3.貴金属地金

Next: このポートフォリオが出来上がった、背景となる考え方とは?



金融ショックのリスクを見込んで、現物資産の重要度が年々増している

昨年まではヘッジファンドと(不動産以外の)実物資産を併せて「オルタナティブ」としておりましたが、今年からヘッジファンドと実物資産を分けました。

ペーパーアセットではない実物資産の保有が、年々重要になっていると感じるからです。

また今年は株やコモディティなど、「強サイクル性資産」のウエイトを45%とし昨年から5%下げました。これは強いサイクル性を持ったペーパーアセットから、金融ショックや紙幣の過剰印刷などの影響を受けにくい、実物資産へのシフトが重要だと考えたからです。

ただし先進国(15%)、コモディティ(15%)のウエイトは変更しておりません、新興国株のみ昨年の20%から15%に下げました。新興国株を5%下げましたが、決して新興国株に弱気というわけではありません、あくまで日本株を中心とした先進国株に対する相対的な評価からです。

先進国株の3として「世界ヘルスケア株ETF」を挙げさせて頂きました、これは米中摩擦の影響や中東・北朝鮮発の地政学リスクをより小さくしか受けないからです。

さらに昨今の医薬品開発への投資額の巨額化も頭に入れて選びました、医薬品業界は今後もM&Aを繰り返し、集約化させる可能性が高いでしょう、

もちろんM&Aは株価の上昇要因です。

新興国株の筆頭にASEANを選んだのは、前半で申し上げたように、今年の中国経済は底堅いと考えるからです、同国と経済的な結びつき強いASEANには朗報です。中国株そのものにも注目しています、新興国株の3つめ目に挙げさせていただきました。

コモディティでは前段で金を推奨させていただきましたが、2に挙げたプラチナにも期待しています、兄弟金属のパラジウムとの比較感から見直されるとみております。

銀は金よりハイリスク・ハイリターンです、ここ数年目立った相場はありませんが、そろそろエネルギーが蓄積されている感じです、在庫の増加は弱材料ですが、金に引っ張られて今年は上昇するとみております、リスクが取れる方は一考の価値ありです。

アメリカ国債を組み入れてもよいのですが、少なくとも足元の価格には割高感があります、購入されるなら10年債金利が2.5%越えが目安ではないかと思います。その場面がなければ今年は見送りです。

ヘッジファンドは昨年マズマズでしたが、傾向としてヘッジファンドの収益の源泉である「市場の歪み」が、年々少なくなってきている印象です。

市場に供給されたマネーが巨大すぎ、かつ、かれらはすべての瞬間を市場の「歪み探し」に費やしております、そんな市場の環境で、かつてのようなコンスタントかつ、高いリターンを得ることは難しいでしょう。

そのような厳しい環境の中でも、ある程度収益を期待できる運用戦略として、上記3つを挙げさせていただきました。

Next: 東京オリンピックの終了で日本の不動産は下がるのか?



東京の不動産価格は決して高くない、オリンピック後でも下がらない

続いて現物です。

あいかわらず日本の不動産はオリンピック以降下がるという声をよく耳にしますが、僕はあまり気にしていません

前回の東京オリンピックと違い、そもそもさほどの関連投資が実行されてきたわけではありませんし、それを期待した不動産バブルが起きたわけでもありません。

不動産の高安を計る指標として収益率がありますが、投資家の手取り収益率をみますと、都心の優良物件で3.8-4.0%前後といったところです。これは世界の主要都市に比べて決して低くありませんし、東京と競合する近隣国の主要都市に比べると、むしろ高すぎるほどです。

都内を見渡せば、新橋駅前の再開発や山手線の新駅、さらには東京駅八重洲口の大規模開発など、都市開発が目白押しです。これからも東京は進化し続けるでしょう。

東京都心の案件を持つということは、あるいみでその東京の一部を所有するということでもあります。長い目で見ても決して悪い買い物だとは思いません。

最後はコインとカラーストーンです。

いずれも中国人が好む資産の保有という観点から、今年も成果が期待できます。中国コインは引き続き短期的な成果を期待できますが、ほかにもアジア諸国のコインはねらい目です。

一般的に富裕化が進めば、自国の歴史やその遺物、あるいは美術品に対する関心が高まります。世界の成長領域であるアジアのコイン群には、まだ安値に放置された銘柄群が散見されます。

これら諸国ではわが国同様、西洋基準の大型コインの歴史が浅く、特に19世紀以前の銘柄は数えるほどしかありません。アジア諸国のコインなら、第二次世界大戦以降に発行された金貨や銀貨ですら、発行枚数の少ない銘柄は仕込んで置く価値があるでしょう。

カラーストーンでは、あいかわらずミャンマー産の非加熱ルビーとサファイアの需給バランスが崩れており、ミャンマー現地ですら1カラットを超える良質な石は希少品になってしまいました。

市場の注目はスピネルやヒスイまで広がっておりますが、幸いスピネルならまだ1カラットを超える良質な石が入手できます。

中国人やアジアの富裕層に先んじて手に入れておくという戦略は、依然有効ではないかと思います。

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image by:GaudiLab / ShutterStock.com

一緒に歩もう!小富豪への道』(2020年1月10日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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