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迫る韓国総選挙。文政権の「人気取り政策」空回りで与党劣勢、外交危機で国家滅亡か=勝又壽良

韓国の総選挙が今春に近づいている。文在寅氏は今後20年間は進歩派政権を続けるという青写真を描いてきた。しかし、その「悪だくみ」は早くも破綻しかねない情勢だ。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

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※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2019年1月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

総選挙も大統領選も3つの武器で連戦連勝? 文政権の醒めない夢

4月15日に迫る韓国総選挙

韓国の総選挙は、4月15日である。あと、85日を残すのみとなった。

与党「共に民主党」は、第1党の座を確保しなければ、文政権の後半はレームダック化を余儀なくされる。さらに、次期大統領選挙の戦いで劣勢を強いられる。間違えば、保守党に政権が渡るのだ。

文在寅政権は、朴槿惠政権が不名誉な弾劾によって退陣した経緯もあり、当分は保守派が力を盛り返すことがないと高を括ってきた。「積弊一掃」を合い言葉に、前政権関係者を徹底的に痛めつけ、検察へ告発して獄窓につないできた。これにより、今後20年間は進歩派政権を続ける。そういう青写真を描いてきたほどだ。

この「悪だくみ」が、次回総選挙で早くも破綻するかも知れない情勢となっている。「奢れるもの久しからず」を地で行くような話だ。

それは、最新の世論調査に表れている。与党「共に民主党」支持率が落ちて、第1野党「自由韓国党」の支持率が伸びているのだ。

最新の世論調査で与党が劣勢

世論調査会社リアルメーターが、1月16日に発表した世論調査は、政党支持率で次のような結果が出ている。

(1)与党「共に民主党」が37.0%で、前週から4.1ポイント下落
(2)最大野党「自由韓国党」は32.4%で同1.1ポイント上昇
(3)今回から調査対象に含まれた新党「新しい保守党」は5.3%で3位に登場
(4)統合をにらんだ協議に入った「自由韓国党」と「新しい保守党」の支持率合計は37.7%になり、「共に民主党」の37.0%を上回った

この世論調査結果が出ると、大統領府と与党は浮き足立つのはいたしかたない。厚かましくも今後20年間、政権を担う予定でいただけに、その衝撃は決して小さいものではあるまい。

Next: 文政権が悪あがき?「南北融和で支持率上昇」という妄想



「南北融和で支持率上昇」という迷信に取り憑かれている

政権・与党は巻き返し策として、南北交流事業の再開に異常な熱意を見せている。南北が融和すれば、支持率が一挙に上昇するという迷信に取り憑かれているようだ。

北朝鮮は、昨年2月の米朝首脳会談決裂後、ミサイル発射実験を繰返している。韓国国民の北への警戒感が強まっていることは確実だ。韓国が、その北朝鮮と交流事業(例えば、観光共同開発)を再開できるだろうか。北朝鮮は、韓国の存在をはっきり無視しており、韓国の申入れをまともに受け止める雰囲気が見られないからだ。

北朝鮮が、極貧でありながら従来のように韓国へ「物乞い」せず、強気態度を取っている背景を考えるべきである。

それは、中国が全面支援する約束を与えているからだろう。現に2017年10月、中国共産党の内部資料でそれが明記されている。ただし、北朝鮮は最終的に核を放棄しなければ、北朝鮮の最高幹部とその家族へ「一方的な措置を取る」(暗殺を意味する)という強圧的な文書の存在が明らかになった。

こういう事実を見ると、北朝鮮が4月の総選挙までに態度を豹変させて、金正恩氏が韓国を訪問する。文政権が描くベスト・シナリオが、実現するのは難しいであろう。

そこで文政権・与党は、駐韓米国大使のハリー・ハリス氏の人身攻撃を始めた。ハリス大使が、米本国の訓令を受けて、韓国政府の計画する南北交流事業に慎重論を唱え、米国との「事前調整」の必要性を指摘したからだ。米国務省は、同様の趣旨を渡米した韓国高官に伝えている。韓国は、米国務省高官には沈黙し、ハリス氏をヤリ玉に上げている。

韓国は、ハリス氏の「ヒゲ」を問題にしている。これは、韓国の統監(1905年)になった伊藤博文が、ヒゲをはやしていたこととダブらせ、「現代の総督」と非難・揶揄しているもの。なんとも児戯にも等しい振る舞いだ。米国では、人種差別であるというメディア(CNN)まで現れている。

韓国は、人身攻撃をしてまで南北事業を行ない、総選挙のプラス材料に仕立てたいという切羽詰まった状況に追い込まれている。

これは、先にも指摘したように、「20年間政権維持構想」にしたがい韓国を「社会主義化」する計画が、足元から崩れる恐怖感に突き動かされている結果であろう。

Next: 3つの武器で「総選挙」も「大統領選」も連戦連勝?文政権の醒めない夢



粗雑な進歩派政権20年構想

文政権は前記のように、長期政権構想のレールを敷いている。具体的には、次の3点がポイントである。

(1)検察組織を変革して捜査権力を縮小させた。これで、検察のキバを抜いておけば、政府高官が捜査される懸念がなくなること
(2)最低賃金の大幅引上げで、大企業労組を味方につけたこと
(3)原発を廃止して、市民団体に太陽光発電の補助金を蒔くシステムができたこと

与党は、この3つの武器を持てば、総選挙も大統領選挙も「連戦連勝」と続けられると想定したに違いない。

政治的な安定を背景に、北朝鮮との統一を進めて「一国二制度」を構想している。これにより、朝鮮半島の平和的統一を実現する。そうなれば、米軍は韓国から撤退する。当然、米韓軍事同盟は解消する。これで、朝鮮半島は朝鮮民族が「主人」となるという夢である。

朝鮮は、日韓併合された1910年以前に戻る、のだ。

文在寅大統領の描く夢は、北朝鮮も中国もすべて「善意」で行動するという大前提に立っている。これを信じているとすれば、文氏は希代の「坊ちゃん政治家」として名を残すだろう。

北朝鮮も中国も、そんな生易しい相手でないのだ。隙があれば、相手の懐に手を突っ込んでくる強者である。そうでなければ、専制政治を続けるはずがない。人間としての良心があれば「民意尊重」という、まさに文氏がお題目にしている政治理念を実行しているはずだ。

そういう矛楯を考えないとすれば、文氏は政治家落第である。

昨年12月23~24日、中国の北京と成都で日中韓3カ国首脳による一連の会談が行われた。その際、文大統領は習近平国家主席と会談して、注目すべき発言をしている。習氏が米国を批判しつつ、韓国を「戦略的協力パートナー」と呼んだのに対し、文氏は「韓中は共同運命体という考えを改めて感じることになる」旨述べたと報じられた。この「韓中共同体」発言は、単なるリップサービスではない。将来の韓国と中国は、そういう同盟関係になりたいという潜在意識が言わせたに違いない。

Next: 文在寅氏は外交的に盲目?中国との同盟を目指してはいるが…



中国と同盟目指す文氏の迷い

実は、文氏が外交的に「盲目状態」であることを指摘したい。

先の台湾総統選で、現職の蔡氏が過去最高の得票数で再選を果たした。蔡氏は、中国の唱える「一国二制度」がまやかしであると国民に訴えて共感を得た結果だ。

これは、香港が「一国二制度」でありながら、現実は「ウソ」であり民主化デモが勃発した。この香港の例から見て、台湾はその二の舞を避けるという蔡氏の主張が勝利を得たのだ。

この総統選では、「台湾の自由を守る」という旗のもとに、海外留学中の学生や、海外で生活している人たちが自弁で帰国して、蔡氏に一票を投じた積み重ねが大勝をもたらしたもの。香港の混乱を見れば、自由の有難みが嫌と言うほど分かるのだろう。

「蔡英文を救ったのは、今度も『香港デモ』だった。台湾人は、民主と自由の価値のため血を流して闘う香港市民を見て『カネより重要なもの』を痛切に感じた。腹いっぱいになったブタにはなれない、というわけだ」(『中央日報』1月19日付コラム「台湾も拒否した中国との運命共同体」)

台湾の人々は、中国の唱える「一国二制度」が、秦の始皇帝が採用した「合従連衡」の現代版であることを直感で知ったに違いない。秦は、相手6ヶ国を統一する手段として、相手の「同盟」を崩し、秦と一対一の「連衡」に持ち込み、結果的に相手を征服する二段構えの外交戦術を取った。

習近平氏は、香港で用いた手段を台湾でも実行しようという魂胆であった。それが、蔡氏に見破られたというべきだ。

文在寅氏は、それを知ってか知らずか、「中国と同盟関係になりたい」と言った。オオカミの前に獲物を差し出すような愚かな話に聞える。民主主義国の大統領が、専制政治の独裁者に向かって言うべき言葉でない。

米国と同盟を組んでいる韓国元首が、きわめて軽率、不埒な発言をしている。先にも指摘したように、文氏の潜在意識が言わせたものであろう。これでは、5000万韓国国民の命運を担う大統領として失格である。

文氏は、中国の人口が昨年14億を超えたことに畏怖の念を抱いているのかも知れない。この世界一の人口大国の中国が、米国を上回る経済規模(GDP)になると誤解をしていると思われる。

これが、同盟国の米国から抜け出て、中国の陣営に加わるという長期戦略を描かせているに違いない。

これは、完全に中国の潜在的な成長力を見誤っている――

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勝又壽良の経済時評』(2019年1月20日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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勝又壽良の経済時評

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経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。

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