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大企業か、ベンチャーか。就職でどちらを選ぶか迷う人が幸せになれないワケ=午堂登紀雄

転職や就職といった人生の岐路において、「どちらを選ぶべきか」と悩む人は多いと思います。そこで多いのが「大企業かベンチャーか」という悩み。私の経験上、結論は「どちらを選んでも大差ない」です。(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』午堂登紀雄)

※本記事は有料メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』2020年1月27日号を一部抜粋したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。

就職ではなく「就社」を目指してない?自分の特性で選ばないと損

大企業かベンチャーか

転職や就職といった人生の岐路において、「どちらを選ぶべきか」で迷い悩む人は多いと思います。

そこで多いのが「大企業かベンチャーか」という悩み。

私の経験上、結論は「どちらを選んでも大差ない」です。

どちらを選んだとしても、うまくいく人はそれなりにうまくいくし、うまくいかない人はどちらを選んでもやはりそれなりの結果にしかならない。

だから仮に迷ったとしても、「そこで自分は何をするのか」「自分がやりたいことができるのか」という主体的な意識と、「ワクワクする」という直感とで選ぶことです。

迷う人は、「環境が自分を変えてくれるのではないか」「環境が自分に何かを与えてくれるのではないか」「(根拠はないけど)何かいいことがあるのではないか」と環境に依存している可能性があります。

たとえば、「大手企業に行けば、何かすごいプロジェクトに任命されて、大きな仕事ができるかもしれない」とか、「ベンチャーに行けば何でもやらされて、若くして役員に抜擢されるかもしれない」などという、「他人が何かしてくれるかもしれない」という根拠のないスケベ心です。

これはキャリアに行き詰った人が、海外留学やインド旅行をするメンタリティに似ています。「行けば変われるんじゃないか」という、これまた根拠のない変身願望です。

でも結局、その時はいったん逃避できたものの、帰国して現実に引き戻されたとき、自分と自分を巡る環境は何も変わっていないことに愕然とします。

それどころか、明確な目的や戦略を持たず勢いに任せて行ってしまったため、一貫性のない旅行や留学というのが人事の人間にはバレバレで、むしろ再就職の足かせになったりすることがあります。

環境だけでは成功しない

他人の芝生は青く見えるではないですが、活躍している人の記事などを見ると、どうしても環境のおかげで成功できたと感じてしまいます。

しかし自分の主体性ではなく環境で判断すると、期待通りではなかったときに行き場がなくなります。「転職なんてするんじゃなかった」というわけです。

そうならないよう、キャリアの選択で迷ったら、まず自分のキャリアに対するコンセプトを持つ必要があります。

それはたとえば、自分は何をしているときが充足感を感じ、その適性を活かしてどのような仕事をしていくのかを考えること。

同時に自分の性格と傾向をよく知り、環境が自分に何かをしてくれると期待するのではなく、どういう環境であれば自分の素のままで活動できるかを考えることです。

Next: 就職ではなく「就社」を目指してない? 人を不幸にするネームバリューの罠



就職ではなく「就社」を目指してない?

そういうキャリアコンセプトを持たないと、自分の価値観に根差した職業選択ができなくなります。

すると、会社名とか給料とか、ネームバリューや雰囲気とかで選んでしまう。

大学生にありがちな「就職したい会社ランキング」が典型例で、なんとなく有名で、周囲に自慢できて、福利厚生が手厚くて、安定していて…みたいな選び方です。

それこそまさに就職ではなく「就社」であり、やりたくもない仕事をさせられ不満を持ち、3年以内で退職、みたいになってしまう。

環境やスペックにこだわった職業選択ではいずれ行き詰まるのです。

筆者の場合

などと偉そうに言っている私ですが、もちろん私も迷い悩んできました。

さかのぼること中学生の頃。父親とのソリが合わず、とにかく家を出たかった。そして出るならとにかく東京だ、ということで、東京の大学を受験しました。

それで唯一合格した中央大に進学したのですが、期待とは大きく異なり、とにかくつまらない。教授はやる気がないようで、授業もおもしろくない。

サークルに入ってみても満たされることはなく、すぐに幽霊部員に。それでついに大学には行かず、バイトに明け暮れるようになりました。

人見知りで引っ込み思案の私は、どの大学に行っても同じような結果になっていたと思います。

3年生になる直前、留学したくなって次年度の学費を払わずにいたところ、このままだと除籍になると実家に連絡が行き、「とりあえず卒業だけはしておいたら」という母親の説得に応じることにしました。

そして次に見つけた目標が「公認会計士」で、バイトをしながら学費を稼ぎ、専門学校に通いましたが、ついていけなくなり途中で心が折れて挫折。とりあえず受験はしたものの、やはり不合格に。

就職活動にはすっかり乗り遅れたタイミングで、仕事が決まらないまま卒業しました。

卒業式にも出席せず、卒業証書は後日事務局に取りに行きました。そんな感じなので、大学時代の友人知人はいま皆無です。

Next: 挫折だらけの職業選択。自分の特性・傾向を踏まえて選ばないと地獄



選んだのは「ひとりで黙々とできる仕事」

卒業後はとりあえずフリーターを続けましたが、私のバイトを選ぶ基準は、「ひとりで黙々とできる仕事」「人間関係がまっさらな仕事」でした。前述のとおり、人見知りで引っ込み思案ゆえに、対人関係が苦手だったからです。

そのため選んだのは「ビル清掃」とか居酒屋の「新店オープニングスタッフ」でした。

前者はひとりで黙々とでき、後者はすでに出来上がった人間関係の中には入れないと思ったからです。

この頃すでに、自分の特性・傾向を踏まえた職業選択の素地ができてきたように思います。

そして、「せっかく時間があるから」という理由で車の免許を取りました。このとき選んだのは都心の教習所。

なぜかというと、都心の複雑で交通量の多い場所で鍛えられれば、他のどこでも運転っできるようになるだろうと思ったからです。

だから当時、郊外に住んでいた私の自宅近くの教習所は選択外。また、合宿免許も友人から「楽勝で卒業できる」と聞いていたので除外です。

車の運転は技術と慣れなので、ラクして免許を取る意味はないと思っていたからです。この頃からすでに、「道が複数あれば、困難な方を選べ」という昔の成功哲学を実践していたように思います(自画自賛・笑)。

挫折だらけの職業選択

とはいえ、さすがに就職しないとヤバいだろうという焦りが生じ始め、とりあえず会計士の勉強で通っていた専門学校主催の会計業界就職フェアに参加してみました。

いままで会計の勉強をしていたし、日商簿記検定1級は取得していたので、入り口として会計事務所がいいかなという単純な発想でした。

そこで数か所の会計事務所から「正式に面接に来ないか」と誘われ、2か所で迷いました。

1か所はいわゆる「ザ・会計事務所」という雰囲気の地味な事務所でしたが、所長は朗らかでアットホームな雰囲気でした」

もう1か所は、会計事務所という枠にとらわれず、コンサルティングなど先鋭的な仕事もどんどん拡大していくという野心的な事務所でした。スタッフの年齢も若く、勢いがあった。

ここで私は後者を選んだのですが、入社してすぐ計算ミスを繰り返すようになり、何度確認してもミスがなくならない。結局は早々と「使えねえヤツ」という評価を受けるようになってしまいました。

ミスをしては怒られ、終業後も居酒屋に呼び出されては説教の毎日。ストレスで朝が起きられなくなり、遅刻してさらに怒られる始末。私は生気を失い口数も少なくなり、ウツ寸前だったと思います。

そして1年後、またミスして所長と上司に呼び出され「どうするんだ!」と問い詰められ、「はい…辞めます」と力なく答えることしかできませんでした。

ただこれは、どちらを選んだとしても、同じ結果になったのだろうと思います。「1円を合わせるような細かい業務は向いてない」からです。

Next: 大企業か、ベンチャーか。コンビニ業界で選んだのは?



未完成の企業のほうが貢献できるかも

次に選んだのはコンビニですが、ここでは3社受かりました。大手1社と新興2社です。

とはいえ業態がコンビニですから、やる仕事はどこもそう大差はありません。ではどこにするか。

新興2社のうちの、さらに後発の企業を選びました。最後発ゆえに業務手順などが十分に固まっておらず、自分でも何か貢献できるんじゃないか、前回のみじめさを払しょくするには、完成された大企業ではなく、未完成の企業のほうが、生き残れるんじゃないか、という発想です。

この選択は、いま振り返るとよかったと思っています。未完の企業ゆえに、がんばればがんばるほど結果が出て、評価されるようになったからです。

確かに「大企業でもベンチャーでも差はない」とは言えないような気もします。ただ私の場合、前述のとおり選別の軸が比較的明確だったため、あまり迷わなかったですね。

もっとハードそうな就職先へ

そして次の転職先に選んだのは経営コンサルティングの世界。いくつか受かったうち、「もっとも厳しい環境であろう」と思えるファームを選びました。

自分のキャリアがどうとか、年収がどうとかではあく、自分を鍛えるにはそれしかないと思ったからです。だから年収ダウンでの転職で、階級は新卒と一緒のスタートです。

それでも歯を食いしばって続けるうち、それなりの評価をいただけるようになり、退職したときの年収は、入社時の2倍になっていました。

自分の性格・資質にフィットする組織はどこか

そうやって振り返ると、私も環境依存の選択をしてきたように思えますが、私の場合、転職にあたってはやりたい仕事が明確で、それが自分の性格・資質にフィットする組織はどこかという選び方でした。

つまり環境に依存するというよりも、自分の性格で力を発揮しやすいのはどういう環境なのか、という選び方をしたわけで、「なんとなくいいことあるかも」という動機ではなかったのでうまくいったのだと思います。

もちろん、コンビニにしろコンサルにしろ、別の会社を選んでいたらなら、それはそれでまた違った結果に(たとえば今よりも大成功とか)なったかもしれませんが、いまが幸せなので結果オーライとということなのでしょう。

たとえば仕事の変遷過程として「レイバー(労働)」「ワーク(働く)」「プレイ(遊ぶ)」があり、なんとなく肉体労働者がレイバー、サラリーマンがワーク、音楽家やスポーツ選手がプレイと分類されている印象があります。

しかし私の感覚的には、「やらされる」のがレイバー、「やらなきゃいけない」のがワーク、「やりたいからやる」がプレイです。

そう考えると、どんな仕事であっても主体的に取り組むなら、仕事=娯楽という、プレイしながらお金をもらえるようになります。

Next: 日本の大学か、海外の大学か。人生の悩みは尽きない



日本の大学か、海外の大学か

ほかにもキャリア選択の悩みというと、国内か海外かという迷いがあります。

たとえば日本の大学に進学するか、海外の大学に進学するか。これが社会人なら、国内企業に就職・転職するか、外資や国外の企業に就職・転職するか…。

これも、自分がやりたいことができるなら、「どちらでもいい」ということになりますが、もし私がそれを選べる状況に直面したなら?

たとえば国内の大学だけではなく海外の大学にも合格した、就職・転職活動をしたら内資・外資両方から内定をもらえた、勤めている会社で海外赴任の話が持ち上がった、などです。

私なら、あえて「外の空気を吸ってくる」だろうと思います。

海外に行けば、自分たちとはまったく異質の価値観は刺激にあふれています。それを実感するのは早い方が良い。

なぜなら、そういう自身の内的な変化を、より長期間、自分の仕事や生活に反映させることができるからです。

例としてどうかと思いますが、変な話、日本人と結婚したあと外国人の魅力に気づくか、外国人の魅力を知ったあとで、でもやはり日本人と結婚するほうを選ぶかで、自分の判断の納得度が格段に違う、というのはわかりやすいのではないでしょうか。

むろん、実際には行ってみなければわからない。たとえば後悔することになったとしても、それも自分の糧になるはずだと私は考えています。

だからもし、そういうチャンスに恵まれたら、ぜひ手を挙げていただきたいな、と思います。

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午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』(2020年1月27日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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