新型肺炎の被害は広がる一方で終わりが見えない。そして、それは中国依存25%の韓国経済に多大な悪影響を及ぼす。中国と一緒に沈むことは確実と言えるだろう。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2020年2月9日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
必要な部品が届かず、完成品を売る先も消滅。事態はさらに悪化へ
刻一刻と近づくパンデミック
今回の当メルマガは先週に引き続き、武漢肺炎に関連する韓国経済への影響を見ていく。まずは、ここ1週間の動きをまとめたメモを紹介しよう。
2月3日:感染者数1万7,205人、死亡者数361人。前回のSARSを上回る。武漢から離れた温州も都市封鎖。タイ政府「新型肺炎、エイズ・インフル薬で治癒」。
2月4日:感染者数1万9,701人、死亡者数425人。WHOテドロス事務局長「各国の中国人の入国禁止に懸念表明」日本政府、肺炎の症状を条件から外し、武漢渡航歴を湖北省全体に広げる。
2月5日:感染者数2万3,000人超、死亡者数490人。横浜停泊のクルーズ船で10人以上が陽性で3,700人が2週間隔離。 ミクロネシアが日本人の入国制限。「新型コロナウイルス 故意の拡散は死刑」中国高裁が通知、検査拒否は懲役7年も
2月6日:感染者数が2万8,060人、死亡者数564人・ 中国メディア、2万4,589人死亡と一瞬報道してすぐに画面変更する。国内の感染者数が45人に。クルーズ船での感染者は10人追加。
2月7日:感染者数不明、死亡者数632人。湖北省だけで2万1,112人。武漢の中国人医師が死亡 都市封鎖が55カ所。WHOのトップ辞任要求30万。安倍総理「東京五輪中止はない」。
2月8日:感染者数3万4,546人、死亡者数722人。米国人女性死亡。深セン市(人口1,302万人)も封鎖。クルーズ船で感染拡大64人。日本は合計89人。
2月9日:感染者数3万7,000人 死亡者数803人 武漢で1日100体以上の遺体を焼却炉で焼く。さらにエアロゾル感染を確認。
これらがこの1週間、私がまとめた主なニュースである。このように先週よりも状況はかなり悪化している。
中国政府、感染者数を「隠蔽」? 拡大する都市封鎖
さらに、この感染者数や死亡者数そのものが中国政府による「隠蔽」で、実態はもっと多いのではないか?と言われている。
その根拠となるニュースを取り上げておく。中国のメディアが「2万4,589人死亡」と一瞬だけ報道して、すぐに画面を変更したというのだ。
これは感染者数と死亡者数が実はイコールではないかという疑いを持つには十分だ。仮にこれが真実なら、本当の死亡者は3万7,000人を超えているということになる。
しかし、実際、中国政府は都市封鎖を次々と行っており、それはもう55以上の都市である。
死亡者数が803人ぐらいでここまで厳重態勢を敷くかどうかという疑問があり、武漢で1日100体以上の遺体を焼却炉で焼いていたことや、さらにエアロゾル感染を確認したことから、中国政府の数の隠蔽工作は疑うべきだろう。
このように武漢肺炎はひどくなる一方である。
そして、それは中国依存25%の韓国経済に多大な悪影響を及ぼす。ここからは韓国経済について解説する。
Next: 韓国の観光・航空・自動車に「壊滅的」被害。中国から部品が届かない…
韓国の自動車産業「壊滅的」被害
今のところ、武漢肺炎で大きな影響を受けているのは韓国の観光・航空と自動車の生産工場となっている。
特に製造業では「ワイヤーハーネス」という言葉がキーとなっている。このワイヤーハーネスとは何なのか。調べたところ、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線を束にした集合部品のこと。自動車の車内廃線や、多くの電気配線を必要とする機械装置で使われるそうだ。
しかも、このワイヤーハーネスは生産する車ごとの特注品であって、すぐに他のワイヤーハーネスを使うなどということはできないようだ。
つまり、オーダーメイドなので、韓国の自動車工場はワイヤーハーネスの在庫が尽きたことで、それ以上、何もできなくなって生産中断を余儀なくされた。
代替品がないので、中国の工場が奇跡的に稼働を再開し、ワイヤーハーネスを生産して韓国に運ばれるまでは、生産は不可能ということだ。
はっきり言って、これは絶望的な状況だ。
なぜか韓国では「中国の工場は10日から稼働する」という甘い見通し広がっている。稼働したところで、春節明けではフル生産はできないだろう。
被害は1,000億ウォン(約92億円)? そんなものでは済まされない…
韓国メディアによると、武漢肺炎の影響で、韓国の自動車生産の被害額は少なくとも1,000億ウォン以上だといわれている。
もちろん、数日で工場が稼働して生産が可能でならの最低金額である。だとすれば、1,000億ウォンの損害で済むはずもなく、雪だるま式に損害は増えていく。
しかも、自動車だけではない。
韓国半導体の部品も中国に輸出するのはストップされた。中国は大規模な半導体の工場を造って生産しようとしていたわけだが、武漢肺炎でそれがすべて保留となった。少なくとも3ヶ月は延期されたという。
つまり、部品を売る先も急になくなった。そのため、資金回収もできなくなった。余裕のない韓国の中小企業には致命的である。
しかし、本当の問題はこれから発生していく。
Next: 終わりが見えない新型肺炎。韓国経済は中国と一緒に沈んでいく…
終わりが見えない新型肺炎
中国が元の経済状態に戻るのがいつになるのか、誰も予測できない状況だ。
「3ヶ月後に輸出できる」という韓国の見通しもあるが、あくまでも予定である。韓国経済には、ここさらに深刻な問題が矢継ぎ早に発生してくるだろう。
感染者数、死亡者数の増加。さらの都市の封鎖の拡大。こういったニュースを知れば知るほど、絶望的な状況が見えてくる。
そして、世界のサプライ・チェーンは韓国企業の生産を待ってはくれない。韓国や中国がダメになれば、ほかの国がそれを補う。
韓国は、中国と一緒に沈んでいくことが確定していると言える。
韓国経済を看取るうえではとても興味深いことになったとは思うが、日本経済も打撃を受ける。東京五輪が中止になる可能性だってあるので、注意したいところだ。
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- 403回「武漢肺炎で危機的な韓国製造業。国内の工場中断。中国への輸出も激減」(2/9)
- 402回「武漢肺炎で韓国市場の売りが加速!?ついに1200ウォン目前の危機へ」(2/2)
※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2020年2月9日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』(2020年2月9日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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数年ごとに起きるデフォルト危機。世界経済が後退すれば、投資家が真っ先に資金を引き揚げていく新興国市場。輸出依存が96%という恐ろしい経済構造。ヘッジファンドに玩具にされる韓国市場。中国の属国化へと突き進む2014年。並行してスタグフに悩まされる現実。そして、1100兆ウォンを超え、雪だるま式に膨らむ家計債務の恐るべき実態。経済の問題点とは何なのか?なぜ、また、第四次経済危機が迫っているといえるのか。それは読めばわかる!投資、ビジネス、教養、雑談ネタにも最適な、最も韓国経済の実情を知ることが出来るメルマガ。