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【2月米雇用統計】新型肺炎でも雇用は悪化せず?良くても悪くても止まらぬドル安=ゆきママ

不安定な相場が続いています。先週、ダウ平均が史上最大の下げ幅を記録したかと思えば、今週は史上最大の上げ幅を記録し、連日1,000ドル近い乱高下が続いています。もはや市場は混乱気味、疑心暗鬼に陥っていると言えるでしょう。

そして、そんな中で迎える今日の雇用統計は果たしてどうなるのか、いつものよう現在の状況を振り返りながら、詳しく解説していきます。(FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

今夜は1ドル=105.00〜106.50円を想定。有効なトレード戦略は?

FRBの緊急利下げを消化しきれないまま利下げ織り込みが続く

FRB(米連邦準備制度理事会)は3日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を緊急開催し、0.50%の金利引き下げを決定しました。

新型コロナウイルスによる混乱に加え、これが消化不良を引き起こして、非常に不安定な相場が続いています。

緊急利下げは異例中の異例であり、しかも0.50%という大幅な利下げを行った後というのは、経済のパフォーマンスが非常に悪くなることが知られています。

0.50%という大きな利下げをしなければならない事態というのは、かなり経済が危険な状態にあることの裏返しであるため、その後のパフォーマンスは悪くて当然なのですが、問題は今回もそうなってしまうのではないか、という疑念を市場が抱いてしまっていることです。

要は緊急で0.50%も利下げしたのだから、米国経済は相当怪しいのではないか、見通しは暗いのではないかという見方に急激に傾いているわけです。

したがって、今回の雇用統計が予想を大きく下回るようであれば、米経済の先行き不安ということで、市場が一段とリスクオフ(回避)姿勢に傾く可能性がありますから、最大限警戒しておきましょう。

Next: 先行指標はまずまず良好。雇用統計もしっかりした数字が期待されるが…



先行指標はまずまず良好で雇用統計もしっかりした数字が期待されるが…

先行指標は赤字が目立ちますが、ADP雇用報告は前回が4年8ヵ月ぶりの高水準と強すぎただけですし、新規失業保険申請件数は、引き続きかなりの低水準で問題のない数字でしょう。

先行指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

出色だったのはISM(米供給管理協会)が発表した2月の非製造業指数でしょう。総合指数は1年ぶりの高水準であり、雇用指数も7ヵ月ぶりの高い数字となっています。

製造業も前回から改善していますし、米国経済の大部分を占めるサービス業で強い数字になったことは心強いですし、基本的に今日の雇用統計もまずまず問題ない数字が期待されるでしょう。

一方で、ここ最近の市場の反応、相場の値動きというのは、良い数字に対してはあまり反応を見せておらず、コロナウイルスの影響を受ける前の数字と見なしている感があります。

したがって、今回の雇用統計で予想並みの問題のない数字が出たとしても、無視される可能性は大いにあるでしょう。

逆に、予想を下回ってしまった場合、いつも以上、過度に反応するパターンになりそうですから、そのつもりで今回のイベントを想定しておきたいところです。

Next: 雇用市場が良くても悪くてもドル安は止まらず?



良くても悪くてもドル安は止まらず?今夜の想定レートは1ドル=105.00〜106.50円

とにかく、市場の利下げ織り込み、米長期金利(10年債利回り)の低下が止まりませんから、これがドルの上値を抑制することでしょう。

再来週17-18日に行われるFOMCの結果を見ない限り、米金利低下による日米金利差縮小のドル安という流れは止まらないように思います。

また、良ければ良かったで、ある程度はポジティブな動きを見せるかもしれませんが、強い数字はコロナの影響前として、それほど重視されず、一方で弱い数字が出ると、悲観的な見方に拍車がかかって押し下げ要因となりそうです。

ドル円(日足)チャート

先行指標を踏まえれば、まずまず予想並みの数字が出ることが期待されますが、予想並み程度、あるいは相当に強い数字が出たところで、この急激な金利低下のトレンドが反転するとは思えず、ドル安は継続しやすいでしょう。したがって、ドル円の上値は常に圧迫されることになります。

そして、仮に弱い数字が出ればリスクオフの株安からの円高が想定され、雇用市場の悪化と受け止めて一段と利下げ織り込みが進んでおかしくありませんから、ドル安も重なることになります。

Next: しばらくは戻り売り・ショート戦略が有利?今夜のトレード戦略は…



しばらくは戻り売り・ショート戦略が有利

市場構造の変化から、株安でも過度な円高にはなりにくくなっていますが、現状の値動きなどをトータルで考えると、しばらくは戻り売り・ショート戦略が有利ということになるでしょう。

今夜に限っていえば、発表前にショートポジションを作っていて良いでしょう。おそらく、予想並み、あるいは数ヵ月ぶりレベルの強めの数字が出たとしても、上値は重く全戻しパターンかと思います。仮に初動で反発したとしても、戻りを確認して追加売りで良いかと思います。

利食い目処としては、105.00円の大台節目などが挙げられます。株価などの下げ止まりなどを確認したら、一旦利食いです。

繰り返しになりますが、株安でも円高の動きはかなり限定的になっていますから、ダウが25,000ドルの大台を割り込まない限りはほどほどで利益確定することを心がけましょう。

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image by:Vladiri / Shutterstock.com

本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年3月6日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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