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韓国でサムスン株を買うブーム到来?コロナに負けじと借金してまで買い支える熱狂ぶり

新型コロナは韓国経済にも直撃している。一時KOSPI1500割れという絶望的な状況で韓国人が取った驚きの行動は……サムスン電子の株を購入することだった。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)

※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2020年4月5日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

韓国株を買い支える「東学アリ運動」

今回の当メルマガは、世界的に大流行してもはやリーマン超えから世界恐慌時に匹敵するぐらいの脅威に認定されつつある新型コロナウイルスによって投げ売りされた「韓国市場の動向」について解説したい。

「KOSPI1500割れ」という大暴落で韓国国民が取った驚くべき行動とはいったい何なのかを紹介していく。まずは、3月末の韓国市場の動向を見ていこう。

<3月末の韓国市場>

日付   KOSPI  米ドル/ウォン KOSDAQ 先物 外国人(ウォン)
23日 1,482.46 1,266.5 443.76 201.87 -6,424億
24日 1,609.78 1,249.6 480.29 220.32 (不明:売り減少)
25日 1,704.40 1,229.9 505.59 232.84 -3,360億
26日 1,686.24 1,232.8 516.61 229.34 -5,335億
27日 1,717.73 1,210.6 522.80 233.79 -3,765億

これはいつもの韓国市場のデータであるが、この週からかなり面白い要素が加わっている。それが「東学アリ」というパワーワードである。

KOSPI1500割れぐらいから「東学アリ(もしくはアリ)」と呼ばれる韓国人の個人投資家たちが、突然に現れた。

そして、外国人・機関投資家たちと「KOSPI」でバトルを始めたのだ。

これを読んで、私がついにわけのわからないことを言い出したと思った人は正常だ。私もこれを知ったときは同じ感想だった。

ここから、東学アリについて説明しよう。

やがて優良企業は回復する?

JBpressによると株価が急落し出した1月頃から、韓国では若者から専業主婦、退職世代に至るまで、サムスン電子の株を買うブームが起きているそうだ。
※参考:コロナ禍収束に賭けた韓国人、サムスン株買い漁る 外国人・機関投資家の売り圧力に信用取引で個人株主が対抗 – JBpress(2020年3月27日配信)

これは日本でもそうだが、株が大きく下がると、「新型コロナウイルスが終息すれば、優良企業は業績を回復して戻すだろう」という見方、さらに配当権利日が3月27日にあったために、それを見越して証券会社の新規顧客は増えたという。

韓国も最初はそんな感じだった。しかし、ここからが違う。

Next: 韓国のKOSPIにおける時価総額の2割はサムスン電子だと言われている――



サムスン電子の株を買うブーム到来

韓国のKOSPIにおける時価総額の2割はサムスン電子だと言われているわけだが、サムスン電子の株は従来、多くの外国人・機関投資家によって支えられてきた。

ところが、新型コロナウイルスで韓国市場から、サムスン電子株の投げ売りが始まった。

それをチャンスと捉えて、サムスン電子の株を購入し出したわけだ。

もちろん、その行動は投資の視点からは理にかなっている。韓国経済が破綻しても、サムスン電子は生き残れるだろう。

問題はそれがなぜか、一大ブームになっているところだ。

そして、外国人投資家が連日投げ売るのを、逆に個人投資家が「購入」して対峙する動きは、まさに国を救う「国士」のように賞賛されていく(おかしいというのはこの際、置いておいて欲しい。いちいち突っ込んでいたら終わらない)。

そして、いつしか「東学アリ運動」と呼ばれるようになる。

「今から136年前の1884年、反封建・反侵略を掲げて農民が蜂起。このときの社会改革運動は『東学農民運動』と呼ばれる」とJBpressに書いてあるが、とにかく、こうして「東学アリ」は爆誕したのだ。

どうやら、韓国では株に投資する個人投資家は非力だが、数が多いので「アリ」と呼ばれているそうだ。

借金してまでサムスン電子株を買う「東学アリ」たち

だが、普通に考えて個人投資家が外国人・機関投資家に勝てるはずがない。資金力や情報収集力に雲泥の差があるからだ。

しかし、アリには秘密兵器があった。資産不足を補う究極の方法、それは「信用買い」である。つまり、借金してサムスン電子の株を購入していたわけだ。

彼らはSNSで「2021年のサムスン電子株主総会は光化門広場で開かれる」「その心は、韓国のほとんどの人たちがサムスン電子の株主だから」という。

以上、これが韓国市場における新しいファクターである。

経済や株、投資が好きな人にとっては、ものすごく楽しめるニュースじゃないだろうか。私もこのニュースを読んで、来週以降が楽しみでならない。

アリはどこまで外国人・機関投資家と戦って勝利を勝ち取ることができるのか。

韓国企業の業績大幅下方修正で、外国人の投げ売りの勢いはこれからも増していく。それを支えるアリたち。

「KOSPI1500割れ」からの予想外のシナリオに、私は驚きを禁じ得ない。映画化してもいいと思う。パラサイトよりも面白そうだ。

Next: では、これを踏まえて、3月末の「外国人・機関投資家 vs アリ」の戦いを――



3月末の韓国市場

では、これを踏まえて、3月末の「外国人・機関投資家 vs アリ」の戦いをご覧いただこう。

<23日>

(締め切り)KOSPI個人9,214億買い越し
(締め切り)プログラム5,617億売り越し
(締め切り)KOSPI機関3,622億売り越し
(締め切り)KOSPI外国人6,424億売り越し

まず、23日であるが、KOSPIは1,482.46である。そして、数値を見ればわかるが個人投資家の購入が目立つ。外国人・機関投資家は投げ売り。つまり、アリが信用買いでKOSPIを支えている。

<24日>

24日についての売買動向はわからないが、いくつか興味深いニュースがある。

KOSPIは1609.78と大幅に上昇。愛国アリの歓声。サムスン電子、2009年以降最大の10.5%急騰。投資したアリの借金急減。信用取引6兆ウォン台に下がる……とある。

サムスン電子の株が10%も急騰してアリの勝利である。この日、外国人の売りは減少していたが、それよりもアリがサムスン電子株を購入して株価を押し上げた。それがKOSPIの大幅回復である。

<25日>

(締め切り)KOSPI個人4,537億買い越し
(締め切り)プログラム4,557億売り越し
(締め切り)KOSPI機関1,072億売り越し
(締め切り)KOSPI外国人3,360億売り越し

ニュースを見ると、
KOSPI5.9%急騰。7日目に1700線回復、外国人の売り越し15日連続…総10.2兆ウォン
アリ会に株価2日連続急騰。取引代金歴代最大(総合2報)
空売り禁止したが、例外を許可する。気を揉むアリ
……とある。

25日はさらにKOSPIが急騰。もちろん、外国人・機関投資家は投げ売り。しかし、アリたちは負けなかった。なんと株価2日連続急騰で、取引代金前歴代最大である。まさにアリがサムスン電子を支えているのだ。

<26日>

(締め切り)プログラム5,810億売り越し
(締め切り)KOSPI個人7,173億買い越し
(締め切り)KOSPI機関2,155億売り越し
(締め切り)KOSPI外国人5,335億売り越し

ニュースを見ると、
信用取引ローン 11営業日連続で減少。6兆4075億ウォン
コロナが握ったソウルの住宅価格。10日間で2億急落
外人注いでアリ含んで。株式取引代金24兆 歴代最大
今度は「東学現代車運動」? アリ、サムスン電子に引き続き現代車に
「国民株」固めたサムスン電子…新規10人中6人“ベッティング”
外人と「サムスン電子守護」白兵戦。 「東学アリ」万歳呼ぶか
……とある。

26日も外国人・機関投資家は投げ売り。それなのに個人がそれを支える展開。さすがにKOSPIは少し下げているが、アリはまだまだ善戦しているといえよう。しかも、今度は現代車まで範囲を拡大するそうだ。

<27日>

(締め切り)プログラム4,047億売り越し
(締め切り)KOSPI個人1,730億買い越し
(締め切り)KOSPI機関1,302億買い越し
(締め切り)KOSPI外国人3,765億売り越し

ニュースを見ると、
サムスン電子・現代自動車「東学アリ運動」勝利が見える
スマートアリの帰還。今度は勝つ
「東学アリ運動」の勝利で終わるか。広がる楽観
……とある。

27日はだいぶ個人投資家の購入が減っている。その代わり、機関投資家が購入。外国人は投げ売り。しかも、既にアリの勝利宣言まで飛び出すという。まだ、ほんの短期間ではないか。新型コロナウイルスの脅威はまったく過ぎ去ってないのに、楽観しているらしい。

3月末からはこのように、激しい戦いが連日起きていたのだ。今後がとても楽しみになったと思う。まさに連邦とジオンみたいなものだ。

以上、今週はこれで終わる。次回も熱い「外国人・機関投資家vs東学アリ」の戦いを見ていくか。それとも米韓為替スワップ600億ドルが早速使われるようになるので、そっちを特集するか。かなり迷っている。

どちらになるか楽しみにして頂きたい。

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  • KOSPI1500割れという絶望的な状況で韓国人が取った驚きの行動は・・・サムスン電子の株を購入することだった(4/5)

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※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2020年4月5日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』(2020年4月5日号)より一部抜粋・再構成
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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数年ごとに起きるデフォルト危機。世界経済が後退すれば、投資家が真っ先に資金を引き揚げていく新興国市場。輸出依存が96%という恐ろしい経済構造。ヘッジファンドに玩具にされる韓国市場。中国の属国化へと突き進む2014年。並行してスタグフに悩まされる現実。そして、1100兆ウォンを超え、雪だるま式に膨らむ家計債務の恐るべき実態。経済の問題点とは何なのか?なぜ、また、第四次経済危機が迫っているといえるのか。それは読めばわかる!投資、ビジネス、教養、雑談ネタにも最適な、最も韓国経済の実情を知ることが出来るメルマガ。

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