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コロナ危機、7月の収束を予想する投資家が65%?2020年末までの両極2シナリオとは=吉田繁治

コロナショックは、株価から実体経済にまで及んできました。いつ収束するのか。投資家の間で主流となってきた2シナリオと2020年末までの相場予想を解説します。(『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)

※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2020年4月15日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

1. 時期の予想をめぐって

メディアが分析しきれていないことに踏み込みます。今回の「米国の金融対策」では、日本とは相当に違う米国金融の仕組みを知っていなければ、意味が分からないでしょう。それについても後半で解説しています。

大都市の街路からは人が消え、コロナショックは、株価から実体経済に及んできました。戦争は知りませんが、都市はこんな感じだったのか。希代の思想家オルテガ・イガセットが言ったように、1500年の農業時代から転移した資本主義は「大都市への人の密集と国際化」でした。

原始からのウイルスは、人に寄生して生きるための変異の戦略を、DNA(RNA)にもっています。短期とはいえ、国内と国際の経済取引を生む密集がなくなった。

人は、将来を考えます。将来を想定しないと、動けない。見通しをつけるため、米国と日本のコロナショックの内容を検討します。

【株価】

MYダウは、
・1万8,500ドルの一番底から(3月23日:ピークから-37%)
・2万3,700ドル台に回復し(4月10日:ピークから-20%)
となりました。

金融市場では、心理的な安堵が広がっています。

今後、NYダウ、日経平均、FT100が上がるという安心ではなく、中央銀行のマネー増発で、急性期の金融危機がとりあえず避けられたという認識から、投資家の買い超が起こったからです。
参考:https://nikkeiyosoku.com/nydow/

日本含む世界の株価では、資本規制のある中国を除き、NYダウの動きが波及します。米ドルは、国際的な流通で60%以上を占めているからです。

拡大版地域通貨のユーロ圏を除いた、アジア(中国、日本、インド、東南アジア)、北米、南米、中東、南半球では、90%でしょう。国際通貨としては円の存在感はない。ドルに寄生して、相手国が受け取る国際通貨になるだけです。

NYダウを論じることは、世界の株価を論じることです。基軸通貨は、世界のマネーをドル買いとして吸収し、米国からは世界からのドル買いが、再投資がされる「ハブ通貨」だからです。「媒介通貨」ともいう(筆者注:米国の吸収分が1年に1兆ドルくらい多い。2020年には吸収分が3兆ドルに増えるでしょう)。

【事実をいえば……】

安倍政権の発足直前(2012年10月~11月)、政府は、80円台から105円(2013年12月)への円安を生むため、30兆円のドル買いを、秘密裏に、郵貯・かんぽ生命等の政府系金融機関に、行わせています。

25円(30%)の円安目的の、「円売り/ドル買い」マネーが、米国系投資銀行に入って、ヘッジファンドから、2012年末から日本株の買い越し(5兆円規模)になり、日経平均が8,500円台だった株価が、1万4,000円に上がっています(2013年末)。

これが、「アベノミクスの成果」とされたのですから、内実は白々しいことでした。当時の当メールマガジンにも書いたことです。

通貨と株価の大きな変化には、いつも、資金量をもっとも大きくできる政府と中央銀行、および政府系金融機関が関与する原因があります。

コロナショックが引き起こすのは、急性期の金融・経済危機です。狭心症(経済取引の急減)が終わったあとの2021年は、まだ見通しがつかない。仮に、2021年まで続くと、間違いなく世界スケールの大恐慌になっていきます。

Next: 投資家へのアンケートでは、20年の6~7月までの収束を見ている人が65%で――



2. 投資家の予想(20年4月初旬の時点)

通貨投資家へのアンケートでは、以下のようになっています。
・米国の新規確認感染数のピークアウトの時期予想を材料に、20年の6~7月までの収束を見ている人が65%
・8~9月以降から2021年に長期化すると想定している人が25%
・残りの10%は不明

NY州のクオモ知事が外出禁止を発令したのは、3月22日でした。その直後は、NY州の確認感染数が1日5,000人から8,000人でした。2週目の1日あたりの増加は8,000人から1万人で安定し、急増の傾向はなくなっています(ただし東京は増加傾向)。

NYでは入院の増加数も鈍っています。確認された新規感染数は、グラフでは4月にはピークアウトしたように見え、8週後の6~7月収束説が出てきたのです。

上記のアンケート結果では、NYダウが37%下落した1番底(3月23日)から回復傾向を続けると予想している人が、投資家の65%(3人のうち2人)の多数派ということです(早期収束派65%)。

6~7月に収束しても、その後の第二波で二番底をつけると見ている人は、25%の小数派です(長期派25%)。

投資家の判断は、今後の米国の、新規の確認感染数にかかっています。あなたは早期収束派、第二波を想定する長期派のどちらでしょう。

(筆者注:メディアがいう感染数は、本当は、PCR検査したあとの確認数としなければなりません。オーストラリアで、無差別にサンプリングしてPCR検査したところ、確認感染数の2倍の感染者がいることがすでに分かっています。豪州より感染率が高い東京では、3倍から4倍でしょうか。)

注目すべきは中国の今後

中国は、国内の新規感染がほぼゼロに下がったとして、武漢の封鎖をも解き、外出・出勤・経済活動が正常化に向かっています(4月10日)。起点になったのは、習近平主席が「3月末に収束」としたことです。

中国での第一波は、2019年の12月からでした。政府が発表する新規感染では、4か月後の3月末に収束しています。現在の新規感染は、海外からの訪中客に限られるという。外出の禁止と隔離を、中国のように徹底すれば、3か月で第一波が収束するのは実証的な事実でしょう。

ただし、武漢には今も1万人から2万人、無症状または軽症の感染者がいるとトランプ大統領は言い、封鎖の解除から第二波も予想されています。

第二波がないのは、市民の60%以上が感染して(無症状は約80%)、抗体ができたときでしょう。武漢は、そうなっているかもしれない(不明)。しかし他の都市では、抗体がなく感染しやすい人が多いはずだからです。

新型コロナウイルスは、生存のために変異し人間に抗体ができても、二度かかるという報告も出始めています。そうすると、第二の波が来ます。WHOの最新の見解では、感染して抗体ができる人と、できない人がいたという。わかっていないことが多い。

初期には「DNA(RNA)に人工でしか作ることができない特徴があり、抗体はできない」という恐ろしいことをいう科学者もいましたが、それに近いような状況が出てきました。

「WHOの感染症専門家、マリア・ファンケルクホーフェ氏は記者会見で、中国上海市で行われた最近の研究から、「(回復後に)検出できるほどの抗体反応を示さなかった人もいれば、非常に高い反応を示した人もいたことが分かった」と説明した。抗体の量が少なければ、再び陽性になる恐れがある。韓国でも、いったん回復してから陽性と診断された人が111人に達した(日経新聞:4月14日:電子版)」

発生源でも、中国政府のいうコウモリか、武漢の研究所で人工のウイルスを接種されていた小動物(マウスやラット)が逃げ、外部に流出したのか、謎のままです。

収束したように見えていた北海道での感染増加もあります。世界的には、感染情報が見えない中国武漢の、封鎖解除のあとを見なければならない(4月下旬)。封鎖の解除は、医学的な見地からではなく、統治のための経済成長に気を使う習近平主席の命令で、行われたからです。

【短期収束:第二波はないとする説】

米国:確認感染数増加は2月から。4か月目は5月(→ 5~6月に収束)
日本:確認感染数増加は3月から。4か月目は6月(→6~7月に収束)

と予想できます。

この見方が、投資家の2/3の多数派です。このため、NYダウは1万8,500ドルの一番底(3月23日)から2万3,900ドル(4月14日)までほぼ半値の5400ドル戻しています(ピークは2万9,500ドル)。

日経平均は、日銀の株ETFの買い(1回2,000億円)を主因に、1万9,600円まで戻したのです。

(筆者注:先進国でもっとも早かったイタリアでは、まだ新規感染増加が続いています。※4月9日は610人、前日比+68人/+12%)。

Next: 実際に、レバレッジをかけて投資している人は、タイミングを誤れば破産に――



【3か月先の予想に賭ける投資家】

実際に、レバレッジのかかる通貨(FX)、株(先物、CFD)、債券(先物)、原油先物の売買をしている人は、タイミングを誤れば、破産にもつながります。レバレッジ投資をしていない経済評論家やアナリストとは、材料の判断では、次元の違う真剣さがあります

米国でも、第一波の収束(5月から6月)のあとは、都市封鎖が解かれるので、9月~10月の米国大統領選挙の前から、第二波があるかもしれないとして、買い出動してないのが投資家の25%です。

4月・5月に先物やCFD(差金取引)の売買か、現物で市場参入する人は、自分が
(1)早期収束派
(2)第二波があると見る長期化派
のどちらなのかの判断を決めていなければならない。

いち速く封鎖を解除した中国の4月~5月の感染数の推移を見ればこれが分かります(本当のデータが公表されたとして)。

・第二波がなければ、ドル高(円安)、株価上昇
・第二波があれば、ドル安(円高)で、株価は二番底に向かう

でしょう。

性質が分かっていない新型コロナウイルスに変異があること、あるいは抗体のできない人がいることが事実なら、第二波があって長期化する可能性が高くなります。

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コロナショックの相貌と2020年末までの予想~ビジネス知識源プレミアム 4月15日号

【目次】
1. 時期の予想をめぐって
2. 投資家の予想(20年4月初旬の時点)
3. 価格が戻った、金の性格
4. 通貨レートは、相対軸のもの
5. コロナショックで日米欧が通貨を大増発することに結果について
6. ハイパーインフレ論の誤り
7. 今回のNYダウ回復の原因は、FRBの無期間・無制限のドル増発の決定だった
8. 過去の2度の金融・経済恐慌との違い
9. 借入金より金利が低い社債の危険性が発現している
10. 原油価格の20ドル台への下落が、米国株暴落の起点になった
11. ロシアとサウジの、原油生産での戦略
12. 新興企業の社債のジャンク化
13. 今回は、MBSに代わる合成証券のCLO
14. 不動産のREIT証券の、急落の意味
15. 高かった米国債のイールド
16. 日本の対外純資産、米国の対外純負債
17. 通貨と国の対外資産、対外負債
18. ドル切り下げの、米国にとっての利益効果
19. 米ドルがもつ罠(わな)
20. ドルの大増発と、通貨・株価の予想

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image by:Shyntartanya / Shutterstock.com

※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2020年4月15日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-Mailで』(2020年4月15日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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