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なぜ上場企業は内部留保460兆円を使って休業しない?緊急事態宣言でも消えぬ満員電車=今市太郎

国内上場企業の内部留保金は460兆円に膨れ上がっています。非常事態宣言下の今こそ休業して内部留保を従業員の給料に当てるべきですが、通勤ラッシュは消えません。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2020年4月15日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

上場企業の内部留保「460兆円」へ

安倍政権下での日銀による金融緩和政策の継続、ならびに日本企業の法人税率の低下、さらに従業員の給与の引き上げを渋った結果、国内上場企業の内部留保金は460兆円にも膨れ上がる状況になっています。

内閣府が発表する国内GDPは、数字を大きくするための画策から本当の数字はよくわかりませんが、だいだい年間500兆円程度とした場合、この額はほぼ国内GDP1年分に匹敵します。

ですから、本当に日銭で暮らす零細企業や個人商店と比較した場合には、パンデミックのような不測の事態が起きても、簡単に会社が破綻するという状況とは程遠いほど、資金を潤沢に抱えている状況です。

緊急事態宣言が出ても濃厚接触電車で通勤するサラリーマン

今回の新型コロナウイルスに関しては世界同時進行で起こっている悲劇的事態ですから、足元ですぐにベストプラクティスとなる対応がどういうものなのかを判断するのは非常に難しい状況です。

それにしても、先行して感染者が爆発的拡大をして一定の制圧にこぎつけた中国の例や、かなりうまくいき始めている韓国や台湾の例などを見るにつけ、緊急事態宣言でサービス業や料飲店の営業自粛については半強制的な要請をしながらも、テレワークができない首都圏などの多くのサラリーマンが延々ともっとも危ないとされる濃厚接触を毎日のように繰り返す電車での通勤を継続している姿は、さすがにパラドキシカル(逆説的)そのもの。

これで5月の連休明けに収束の方向が見えたとしたらまさに神業なのではないかとさえ思うほど、暗い見通しが多くの人々の生活にのしかかりつつあります。

迂闊(うかつ)な発言はできませんが、都内の大きな病院の院内感染の状況などを見るにつけ、もう東京は手遅れの一線を超えてしまったのではないかとさえ思う次第です。

感染がなかなかピークアウトしない米国NY市の人口は860万弱で、東京都の3分の2程度でしかありませんが、感染者は10万4,400人を超えて、死者も6,000人を超えています。

人口規模から考えた場合、緊急事態宣言を出しただけで事実上は何の手も打っていない東京都などと比較した場合、もっと都内で感染被害者が出てもおかしくありません。

Next: なぜ企業は内部留保金をここで投入しない?足もとで膨大なリスクを冒して——



なぜ企業は内部留保金をここで投入しない?

足もとで膨大なリスクを冒してもせっせと会社に通い、そもそも自宅待機にもしない会社というのはどういう規模でどんな業態なのか、詳細が知りたくなります。

日本のサラリーマンのうちIT機器を使いこなしながらテレワークで成果を出せるいわゆるインフォメーションワーカーは、せいぜい全体の15%程度と言われていますから、対面のビジネスが必要になる業態の企業の場合には、どうしても出社せざるを得ない状況にあることは理解できます。

また休業にしても国からその補償が得られるわけではないため、無暗に休みにすることができない企業が多いこともよくわかります。

しかし、460兆円という莫大な内部留保を抱える企業であれば、特に大手・準大手を中心にしてどのような業態にしても、ここから1か月もしくは2か月(日数にして土日の休みを除けば40日から50日)程度、業務を完全休業にして最小限の人数で回して行くことを考えられるところは相当数あるはずです。

それでも資金的に耐えられないそれ以下の企業規模のところへの支援を集中すれば、法律的に都市封鎖や電車の運行停止などという状況を作り出さなくても、十分にウイルスの感染拡大を阻止する行動を実現することができるのではないかと思うのですが、これは単純に私だけが抱く幻想なのでしょうか?

中途半端な行動制限の実施がなんの成果もあげられないというのが、まさに現状に見えて仕方ありません。

確かにここから先、この新型コロナのウイルス騒動がどうなるのかの全容が見えていないタイミングで、せっかくの内部留保金を思い切り吐き出すことに躊躇する経営者が多いことはわかります。

しかし企業内で大量感染者を抱えてしまった場合、その後の企業経営にはもっと大きな影響が出ることも事実ですから、このあたりの損得勘定はより精査して判断すべき時ではないかと思います。

株価よりも実体経済は危機的状況

また、そもそもこの内部留保は円安や株高、減税という政府による政策でもたらされたある種の不労所得的な意味合いも大きいわけですから、現状のような危機的な状況にこそ有効利用すべきもののはず。

なのですが、そうした気配がまったく感じられないのは非常に残念と言わざるをえません。

足もとの状況を見るにつけ、日本企業の経営者には本当に危機感があるのかあるいは現状認識を正確に行えているのか、疑問は募るばかりの状況です。

米株を差し置いて妙に上昇する日経平均の推移なども、経営者から危機感を奪う要素になっているのかもしれません。

しかし、相場を通して見る日本の状況よりも、リアルな社会・経済状況ははるかに悪化しているのは間違いなく、このままの状況を延々と続けることに非常に危機感を覚える時間帯です。

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2020年4月配信分
  • 本邦企業の内部留保460兆円一体いつ使う?まさに今でしょ?というお話(4/15)
  • これから続々発表の各国ハードデータ〜景気の底入れはまだまだこれから(4/14)
  • FRB禁じ手のジャンク債買い付けで相場は本当に元に戻るのか?(4/13)
  • いよいよ玉砕か生き残りか 断末魔の時間帯に突入(4/11)
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  • 都市封鎖で決定的ダメージを受ける社会的・経済的弱者〜政府はすべて見殺しにするのか?(4/8)
  • OPECプラス減産は本当に可能なのか?〜失敗ならまたドル円は大幅下落(4/7)
  • 非常事態宣言発令で上昇する日経平均に違和感たっぷり(4/6)
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  • 新型ウイルス想定死者数まで示唆したトランプによる戦時内閣(4/2)
  • 視界不良の新年度相場(4/1)

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image by:oneinchpunch / Shutterstock.com

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今市太郎の戦略的FX投資』(2020年4月15日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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