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韓国、30~40代のリストラ急増で「失業時代」へ。日本に来る韓国余剰労働力=勝又壽良

韓国は、文在寅政権が発足以来、就業構造が崩壊した。そこにコロナウイルス禍である。すでに正規雇用の整理に入っており、「失業時代」へ突入したと言える。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2020年4月9日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

「失業半島」に変わった韓国

韓国は、文在寅政権が発足以来、就業構造が崩壊した。

自営業が、韓国経済の末端を支え、雇用の場を提供してきた。サラリーマンは、定年や中途の退職後に「自分の店を持つ」のが夢だった。その理想郷が、最低賃金の大幅引き上げと週52時間労働制で存在不可能になった。

自営業には、過去2年間で約29%もの最低賃金大幅引き上げに耐えられる収益力がなかった。また、週52時間労働制は、残業時間も含むもので、支払い賃金総額は大きく膨れあがった。

こうして、先ず自営業から労働者の解雇が始まり、この波は中小企業にまで広がっている。韓国は、「失業半島」に変わったのだ。

逆走する韓国の働き方改革

もちろん、最低賃金引き上げ、労働時間短縮は「働き改革」で実現すべきテーマである。

だが、短兵急な実現は弊害を伴うもの。賃金支払い側が、それに見合う体制を整えられない段階で、罰則を伴う実現を迫ったからである。最低賃金引き上げと労働時間短縮には、企業の諸規制を撤廃し、労働市場の流動化という環境整備が前提になる。

文政権は、反企業主義の立場である。資本家は労働者を搾取するという、「マルクス主義」の見方である。労働者の敵である資本家が苦しむのは、当然の報いという認識である。

これでは、生産性引き上げなど不可能であり、文政権になって失業者が増える結果となった。

だが、これを隠すために、公費による短時間アルバイトを大量に雇って、失業者増加をカムフラージュしてきた。やることが全て、正統派経済政策からかけ離れていたのである。

過去、3年に及ぶ文政権の経済政策は、企業を圧迫するものばかりだ。これが、大企業を中心に海外転出へ拍車をかける結果となり、産業空洞化を引き起こしている。

ここへ降って湧いたのが、新型コロナウイルス禍である。文政権が当初、感染終息に向けた楽観論を流したことが仇となり、爆発的な感染者急増をもたらした。感染者累積数は、1万人を超えている。

文政権は、意図せざる結果とは言え、韓国経済を徹底的に脆弱化させる方向へリードしてしまった。

この損失のリカバリーは、もはや不可能であろう。もともと、国民の半分は改革に反対の層である。労働者の利益だけに固執する進歩派政党支持の党派性が、国民全体の利益増進理念を排除する欠陥をもたらした。その根底には、「資本家は敵」という前世紀の遺物が牢固として根付いている。ここからの脱却は、不可能と言えるほど強固だ。仮に、保守派が政権へ復帰しても、改革は不徹底にならざるを得まい。

韓国経済は、衰退局面から脱し得ないままに、後退過程を辿るほかないと見る。

Next: 安定的な雇用の受け皿は、製造業の発展に依存する。その製造業の好不況を――

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