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日本も追従すべき?都市封鎖を放棄してウイルスと共存するスウェーデンの戦い方=矢口新

緊急事態宣言発令でも都市封鎖とはならないようで、私はほっとしている。というのも、実施なら経済悪化は確実だが、感染拡大阻止に必ずしも役立つとは証明されていないからだ。さらに、ロックダウンをせずにウイルスとの共存を選んだスウェーデン式の戦い方もある。(『相場はあなたの夢をかなえる ?有料版?』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ?有料版?』2020年4月7日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。信済みバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

都市封鎖を放棄したスウェーデンは感染者が少ない?

日本政府は新型コロナウイルス対策として緊急事態宣言を発動、事業規模で108兆円の経済対策を行うと発表した。

緊急事態宣言は、このままクラスター感染が広まれば医療崩壊が避けられないとした医療機関からの要請もあったものだ。イタリアやスペインの例を見ても分かるように、医療崩壊は何としてでも避けなければならない。

一方、日本政府の緊急事態宣言では、都市封鎖などのロックダウンとはならないようで、私は少なからずほっとしている。というのは、ロックダウンがもたらす景気悪化要因は確実に実現されるが、感染拡大阻止には必ずしも役立つとは証明されていないからだ。

米国では2週間の新規失業保険申請件数が1,000万件と急増した(下図参照)。

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例えば、オーストリアは欧州でも比較的早くロックダウンを行い、人口889万人のうち感染者数は4月6日時点で1万2,297人となっている。

一方、スウェーデンでは、通常の社会生活・経済活動を行いながら、人口1,023万人とオースリアに比べて15%も多いが、感染者数は7,206人と41%も少ない。

仮に両国の人口が同じなら、スウェーデンはオーストリアに比べて約半数の感染者数なのだ。

また人口1,028万人とスウェーデンとほぼ同じのポルトガルは、感染者数1万1,730万人で、スウェーデンの約1.63倍となっている。隣国のノルウェーは人口532万人とスウェーデンの52%だが、感染者数は5,865人と81%もいる。こちらは人口が同じならスウェーデンの約1.48倍の高率だ。ポルトガルもノルウェーも少なくとも部分的なロックダウンを行っている。
参考:Inside Sweden’s Radically Different Approach to the Coronavirus – WSJ(2020年3月30日配信)

もっとも、どの数値も現時点のもので、今後はどうなるか分からない。

しかし、仮にスウェーデン方式が機能するとなると、スウェーデンは今後の世界に大きな寄与をすることになる。

Next: 大半の国が採用しているコロナウイルス対策は、一気にウイルスを叩き潰す――

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